ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

書籍紹介

お薦めする人権関係図書です。書籍紹介の「内容の概略」は出版社の紹介文を引用しています。

人権全般

ルポ 不機嫌な老人たち
著者 林 美保子
出版 イースト・プレス
定価 860円
発行 2020年8月12日
定年後は、年金でのんびりとした老後を、というのはもはや過去のこと。長すぎる老後、敬老意識の希薄化、早すぎる技術革新、コミュニティー・家庭の崩壊、経済的不安定……、かつて経験したことのないような急激な社会変化の中で戸惑い、傷つき、苛立つ老人たち。
当たり前としてきた価値観がことごとく否定され、「暴走老人」、「困った高齢者」、「わがまま老人」といった言葉で揶揄され、社会問題としてセンセーショナルに取り上げられる、彼らの本当の胸の内とは。その被害と実情を、被害者、専門家、高齢者への丹念な取材から読み解く。
正義を振りかざす「極端な人」の正体
著者 山口 真一
出版 光文社
定価 760円
発行 2020年9月16日
最も炎上を巨大に、深刻なものにするのは、ネットメディアでなければまとめサイトでもない。実は、テレビなどのマスメディアなのである。
ここに興味深い研究結果がある。帝京大学准教授の吉野ヒロ子氏による炎上認知経路に関する分析の結果、炎上を知る経路として最も多かったのはテレビのバラエティ番組(58.8%)だったのだ。一方、ツイッターは23.2%にとどまっている。
つまり、炎上とはネット上の現象にもかかわらず、実際にはマスメディアが最も広く拡散させて「極端な人」に情報を届けているということがいえる。さらに、マスメディアは、炎上したことを取り上げてより厳しく追及する役割も果たしている。
SNS暴力 ~なぜ人は匿名の刃をふるうのか~
著者 毎日新聞取材班
出版 毎日新聞出版
定価 1,300円
発行 2020年9月19日
2020年5月、SNS上で誹謗中傷を受けた末、女子プロレスラーの木村花さんが亡くなった。ネット上で、SNSによる暴力が過激化。匿名になることで、言葉が凶器へと変わり、容赦なく人の心を切りつける。
果たして加害者はどんな人物で、動機は何なのか。背景には、社会の構造的な問題があるのだろうか。記者が徹底的な取材で掘り下げる。一方、被害の深刻化、多様化が進み、いつ誰が被害者になってもおかしくない。
被害に遭ったらどう対処すべきなのか。そして今、何が議論されるべきなのか。ネットの功罪を検証し、SNSの未来を探る。
18歳から考える人権 第2版
著者 宍戸常寿 編
出版 法律文化社
定価 2,300円
発行 2020年11月11日
人権によって私たちはどのように守られているのか?
ヘイトスピーチ、生活保護、ブラック企業……人権問題を具体例から読み解く入門書。SDGs、フェイクニュース、コロナ禍の解雇・雇止めなど、人権に関わる最新テーマにも言及。
人権侵害にかかわる差別事例判例集
著者 部落解放・人権研究所 編
出版 解放出版社
定価 5,000円
発行 2020年3月20日
ハンセン病、HIV、LGBT、自死(遺族)、アイヌ、部落、外国人をめぐる判例の解説と分析を各分野でながらく取り組んできた弁護士や専門家が行う。差別や人権侵害に対応する現行の法制度の課題について検討をする。
赤ちゃんポストの真実
著者 森本 修代
出版 小学館
定価 1,500円
発行 2020年7月5日
やむなき事情で育てられない赤ちゃんを病院が匿名で預かる。その後、特別養子縁組を目指す。2007年に慈恵病院が開設したのが「赤ちゃんポスト」である。「命を救う」という理念のもと10年以上運用されてきたが、同病院に続く施設は現れない。法整備も進まない。内情を知ると一筋縄ではいかないことがわかる。
「匿名」という壁をこえ、地元記者が細い糸をたどるようにポストに預けた母、預けられた子を訪ねた。また数多くの医療・福祉関係者や熊本市長や県知事にもあたった。賛否ではなく、赤ちゃんポストが照射する「真実」をひたすら拾い集めたルポルタージュ。
母はなぜ我が子を赤ちゃんポストに預けたか――。
その背景を取材した著者の本作品からは、日本社会の「歪み」が見えてきます。
ポストへの理解を深めるだけでなく、出産という選択を迫られた母親たちの心情を知る上でも、必読の一冊です。
レイシズム
著者 ルース・ベネディクト
出版 講談社
定価 920円
発行 2020年4月10日
日本人論の「古典」として読み継がれる『菊と刀』の著者で、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトが、1940年に発表し、今もロングセラーとなっている RACE AND RACISMの新訳。
ヨーロッパではナチスが台頭し、ファシズムが世界に吹き荒れる中で、「人種とは何か」「レイシズム(人種主義)には根拠はあるのか」と鋭く問いかけ、その迷妄を明らかにしていく。「レイシズム」という語は、本書によって広く知られ、現代まで使われるようになった。
「白人」「黒人」「黄色人種」といった「人種」にとどまらず、国家や言語、宗教など、出生地や遺伝、さらに文化による「人間のまとまり」にも優劣があるかのように宣伝するレイシストたちの言説を、一つ一つ論破してみせる本書は、70年以上を経た現在の私たちへの警鐘にもなっている。
訳者は、今年30歳の精神科医で、自らの診療体験などから本書の価値を再発見し、現代の読者に広く読まれるよう、平易な言葉で新たに訳し下ろした。
グローバル化が急速に進み、社会の断絶と不寛容がますます深刻になりつつある現在、あらためて読みなおすべきベネディクトの代表作。
国際人権入門 ~現場から考える~
著者 申 惠丰
出版 岩波書店
定価 800円
発行 2020年8月20日
日本社会で現実に起きている事件を題材に、発展を続ける国際人権法の豊かな世界を解説した実践的入門書。
人は、なぜ 他人を許せないのか?
著者 中野 信子
出版 アスコム
定価 1,200円
発行 2020年1月24日
炎上、不謹慎狩り、不倫叩き、ハラスメント...
世の中に渦巻く「許せない」感情の暴走は、脳の構造が引き起こしていた!人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人など、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなり、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになってしまいます。
著者は、この状態を正義に溺れてしまった中毒状態、「正義中毒」と呼んでいます。これは、脳に備わっている仕組みであるため、誰しもが陥ってしまう可能性があるのです。
他人の過ちを糾弾し、ひとときの快楽を得られたとしても、日々誰かの言動にイライラし、必要以上の怒りや憎しみを感じながら生きるのは、苦しいことです。
本書では、「人を許せない」という感情がどのように生まれるのか、その発露の仕組みを脳科学の観点から解き明かしていきます。
「なぜ私は、私の脳は、許せないと思ってしまうのか」を知ることにより、自分や自分と異なる他者を理解し、心穏やかに生きるヒントを探っていきます。
大地よ!
~アイヌの母神、宇梶静江自伝~
著者 宇梶 静江
出版 藤原書店
定価 2,700円
発行 2020年2月26日
アイヌとして生き、アイヌの精神性を問う、女の一生。
昭和三陸地震(一九三三年三月三日)のさなかに生を授かり、幼年期から思春期、和人から差別を受けつつも、北の大地=アイヌモシリの自然の中で父母の慈愛に包まれて、貧しいながらも豊かな時を過ごした少女時代。勉学を志して二十歳で札幌の中学へ。中学校卒業後、東京へ。 高度成長期、東京で結婚、そして出産。溢れかえる物質文明の中で、自分が求めてきたものは何かと懊悩する日々。そこから詩を書き始め、壺井繁治らと出会う。一九七二年二月八日の『朝日新聞』の「生活欄」に投稿した「ウタリたちよ、手をつなごう」が掲載され大反響となる。やがて六十三歳にして世界で初めて〝古布絵〟によるオリジナルな表現手法を発見し、作品制作の活動に入る。
アイヌとして生きる女性が、自らの内なるアイヌ、内なる大地を切り拓き、その生涯をかけてアイヌの精神性を問うた軌跡。
あぶない法哲学
~常識に盾突く思考のレッスン~
著者 住吉 雅美
出版 講談社
定価 900円
発行 2020年5月20日
私が自由意思で自分の臓器を売ることがなぜ禁じられるのか? ギャグに著作権を認めたらどうなる? カジノは合法なのに賭け麻雀が違法なのはなぜ? 全人類に共通の良心なんてある?
法と道徳、功利主義、人権、国家、自由、平等……私たちが生きていくうえで目をそらさずに考えたい「法哲学の問い」を、たくさんの具体例を紹介しながらわかりやすく解説!
青山学院大学の”個性派教授”による、読んで楽しい法哲学教室!
最新パワハラ対策
完全ガイド
著者 和田 隆
出版 方丈社
定価 1,500円
発行 2020年2月1日
パワハラ対策、待ったなし!令和2年6月1日から、いよいよ、パワハラ法が施行される。これによって、企業はパワハラへの対応が義務付けられる。
本書は、厚労省が作成した、法の運用ガイドラインを収録し、企業現場に即した、パワハラ対策の全てを解説する。「パワハラ防止=個人が最大限に能力を発揮できる企業環境」を実現するためのノウハウ満載!
歪んだ正義
~「普通の人」が なぜ過激化するのか~
著者 大治 朋子
出版 毎日新聞出版
定価 1,600円
発行 2020年8月3日
「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく。
テロリズム、学校襲撃、通り魔、コロナ禍に現れた「自粛警察」に共通する暴力のメカニズムを気鋭のジャーナリストが解き明かす。
事業者必携
入門図解 職場のハラスメント(セクハラ・パワハラ・マタハラ)の法律と対策
著者 千葉 博
出版 三修社
定価 1,900円
発行 2019年12月31日
職場でパワハラ、セクハラ、マタハラなどを予防したり被害を訴える者がでた場合に、管理者や担当窓口はどのように対処すべきなのか、基本となる考え方や法律知識を平易に解説。
休職や社会保険、労働保険の知識、ハラスメント防止規程なども掲載。
2019年5月に国会で成立した労働施策総合推進法等の改正にも対応。
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
著者 中川 裕
出版 集英社
定価 900円
発行 2019年3月15日
ゴールデンカムイのアイヌ語監修者が、漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、画期的入門書。原作ファンならば漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載となっている。もちろん、それだけではなく「アイヌの先祖はどこから来たか?」「アイヌ語から解き明かす北海道の地名」「徹底解説! アイヌ文学」など、原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山。(新書表紙イラスト・野田サトル)
中小企業経営に生かす
CSR・SDGs
~―持続可能な調達の潮流とCSR経営-
著者 藤野 洋
出版 一般財団法人 商工総合研究所
定価 1,500円
発行 2020年1月1日
SDGs(持続可能な開発目標)、ISO20400(持続可能な調達)、人権デューデリジェンスといった国際的な潮流は、中小企業の経営にも大きな影響を及ぼしつつあります。先進的な中小企業は既に対応を始めており、ビジネスモデルを進化させ、CSR経営を実践しています。これには、多様なステークホルダー間の連携とその支援が重要です。本書は豊富な事例を基に中小企業がCSR・SDGsにどのように取り組むのか、大企業を始めとするステークホルダーは中小企業をどのように支援するのかを論じています。
リベラリズムの終わり
~その限界と未来~
著者 萱野 稔人
出版 幻冬舎
定価 840円
発行 2019年11月28日
自由を尊重し、富の再分配を目指すリベラリズムが世界中で嫌われている。
米国のトランプ現象、欧州の極右政権台頭、日本の右傾化はその象徴だ。
リベラル派は、国民の知的劣化に原因を求めるが、リベラリズムには、機能不全に陥らざるをえない思想的限界がある。
これまで過大評価されすぎたのだ。
リベラリズムを適用できない現代社会の実状を哲学的に考察。
注目の哲学者がリベラリズムの根底を覆す。
余命3年社長の夢
著者 小澤 輝真
出版 あさ出版社
定価 1,400円
発行 2019年7月12日
2012年に進行性の難病である「脊髄小脳変性症」発症し、余命10年と宣告された、北海道・北洋建設の代表取締役。この病気は小脳が徐々に萎縮し、運動機能が衰え、手足が不自由になり、話し方がたどたどしくなっていきます。やがて肺の機能が衰え、最終的には呼吸が止まります。一方で、大脳は正常で頭の働きは何も問題はありません。著者は車いすを押し、全国の刑務所・少年院へ面接に行き、社員として受け入れるだけでなく、再犯防止についての修士論文を書き、時には法務大臣と面会をし、元受刑者のための環境づくりを訴えます。
世界人権宣言の今日的意義
世界人権宣言採択70周年記念フォーラムの記録
監修 横田 洋三
大谷 實
坂元 茂樹
出版 国際書院
定価 1,200円
発行 2019年9月
世界人権宣言の法的側面からの議論を通して世界人権宣言の現代社会における意義および役割を考える。
21世紀国際社会における人類の行方をみる上で個人の尊厳を今こそわたしたちが真摯に問う時だ
この顔と生きるということ
著者 岩井 建樹
出版 朝日新聞出版
定価 1,400円
発行 2019年7月
僕の息子は、顔がゆがんで生まれた──。
顔の変形やアザ、マヒなど特徴的な外見のため、学校や恋愛、就職で困難に直面した人々を描くルポ。
筆者の長男も、顔の筋肉が少なく、笑顔をうまくつくれない。
悩める記者が見つめた、当事者の未来

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