同和問題
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差別する人の研究
~変容する部落差別と現代のレイシズム~著者 阿久澤 麻理子
出版 旬報社
定価 1,700円
発行 2023年9月26日
- 差別の現れ方、正当化する言説は時代とともに変わっていく。
例えば、部落差別はかつての結婚・就職ではなく、その土地に住むことに対する忌避が強く現れる。
また、昨今は「社会的弱者であることをふりかざし、福祉に甘えている。逆差別だ」などという偏向した言説も目立つ。
こうした差別の変容はなぜ、どのように起きるのか。
現代的レイシズムを基点に、差別「される側」ではなく「する側」の構造をあきらかにする。
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「寝た子」はネットで起こされる!?
~ネット人権侵害と部落差別~著者 川口 泰司
出版 福岡県人権研究所
定価 1,500円
発行 2023年6月8日
- 二〇一六年「部落差別解消推進法」が成立・施行した。インターネットやSNSを悪用した差別の悪化・深刻化が立法事実となった。ネット上で拡散するデマや偏見。ネット版「部落地名総鑑」や部落出身者リスト、部落を撮影した動画や画像がアップされている。部落/出身者を「暴き」「晒す」差別扇動が続いている。もう、「寝た子を起こすな」論は通用しない。「寝た子」はネットで起こされる。
全国水平社創立から百年を迎えた今、部落差別の現実、差別禁止法の必要性、ネット対策、人権教育のあり方について考える一冊。
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被差別部落に生まれて
~石川一雄が語る狭山事件~著者 黒川みどり
出版 岩波書店
定価 2,500円
発行 2023年5月17日
- 戦後を代表する冤罪事件「狭山事件」。被差別部落に生まれた、ただそれだけの理由で石川一雄は殺人犯として逮捕された。貧困ゆえの無学に苦しんだ生い立ち、三〇年に及ぶ獄中生活と部落問題への眼ざめ、仮釈放後も続く無罪を勝ち取るための闘い――その半生を辿りながら、部落差別が冤罪を生み出したことを明らかにする。
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増補 近代部落史
~明治から現代まで~著者 黒川みどり
出版 平凡社
定価 1,700円
発行 2023年1月10日 - 1871年の「解放令」発布から現代にいたるまで、人々の意識に内面化され維持されてきた被差別部落の差別構造をていねいに解き明かす一冊。原著刊行後の動向を入れた増補版。
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満州分村移民と部落差別
~熊本「来民開拓団」の悲劇~著者 エイミー・ツジモト
出版 えにし書房
定価 2,000円
発行 2022年8月15日 - 被差別部落の融和事業、農村の満州開拓移民事業の国策が重なった、極めて特異な形で大陸に送り出された「来民開拓団」は、稀にみる悲惨な最期を迎えたとしてその名を残す。敗戦とともに原住民の襲撃にあい、証言を後世に残すために脱出した1人を除いた子供を含む276人全員が集団自決するに至った全容を明らかにする。歴史背景から当事者の証言、資料を丹念に積み重ね、現在までを追い、悲劇の遠因としての国策を厳しく断罪。ソ連兵への「性接待」で知られる黒川開拓団との関係など、貴重な史実多数。
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殉義の星と輝かん
~百年生きる「解放歌」と柴田啓蔵~著者 森山 沾一
和泉 俊幸
横田 司
坂田 美穂
出版 福岡人権研究所
定価 1,600円
発行 2022年5月20日 - 「殉義【じゅんぎ】の星」とは、正義のために死した人間が生まれ変わる天空の星のこと。柴田啓蔵(一九〇一~八八年)の造語であり、彼が作詞した「解放歌」(一九二三年)の最後を飾る詞(ことば)である。作詞に影響を与えた「全国水平社宣言」(一九二二年)は、ユネスコ世界記憶遺産(アジア太平洋地域)に登録されている。柴田は一九〇一(明治三四)年、九州・筑豊の被差別部落に生まれ、稀有の才能を幼少潮から発揮した。島崎藤村『破戒』時代の差別の中、九州を逃れて旧制松山高等学校に進学。文学をめざしていたが、一九ニニ(大正十一)年、全国水平社創立大会の開催(京都)を知った後、人間の自由・平等・博愛をめざして水平社運動に飛び込むー。その後、数々の挫折、数奇な運命を経て、七十歳を過ぎて以降の記憶・記録・資料をもとに、本書は纏められた。次の地球百年への希望を求め、人間解敬をめざす人々に向けた書である。
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被差別部落アウティングNO!
~「全国部落調査」復刻版裁判の東京地裁判決をめぐって~著者 部落解放同盟中央本部 編
出版 解放出版社
定価 1,600円
発行 2022年4月10日 - 2021年9月27日、東京地裁で「全国部落調査」復刻版事件に関する判決が出た。各地の被差別部落に関する情報を無断でインターネット上にさらすアウティングを続けている鳥取ループ・示現舎は2016年、戦前の調査報告書で、部落の一覧表として機能する「全国部落調査」の復刻版を出版しようとし、さらに復刻版のデータや「部落解放同盟関係人物一覧」をウェブサイトに掲載した。これに対して部落解放同盟中央本部と同盟員は、2016年4月、それらの差し止めと損害賠償を求める裁判を起こした。判決は、復刻版の出版差し止め、ウェブサイト掲載情報の削除、損害賠償の支払いを命じた。基本的には解放同盟側の勝訴といえるものの、判決は、部落出身を公表するなどしている原告についてはプライバシー権侵害と損害賠償を認めず、プライバシー権侵害が認められなかった原告の都府県と原告がいない県については出版禁止やウェブ掲載削除の対象から除外しているほか、「差別されない権利」も認めなかったなどの問題点をかかえている。控訴審での闘いにむけて、原告と弁護団、研究者による判決内容の分析と裁判にかける思いをまとめた。
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部落の私たちがリモートで好き勝手にしゃべってみた。 著者 部落解放・人権研究所 編
上川 多実 著
武田 緑 著
藤本 真帆 著
三木 幸美 著
本江 優子 著
出版 解放出版社
定価 1,500円
発行 2022年5月20日 - 各地で活躍する次代を担う部落出身5名の「おしゃべり」を通して、「部落問題の今」を知ることができる、入門書として最適の書です。
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人間に光あれ
~日本近代史のなかの水平社~著者 藤野 豊
黒川 みどり
出版 六花出版
定価 1,800円
発行 2022年2月24日 - その地域に生まれたというだけで差別されることを拒み
人はその人のまま尊厳があり、平等に扱われなければならないと高らかに謳った、部落解放運動。すべての差別に、それが許される理由などないことを先駆的に示し多くの反差別運動に影響を与えた全国水平社の歴史をたどる。
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ごめん! 聞いてごめんな
~みやらけの人々の聞き取り~著者 大賀 喜子 編著
出版 解放出版社
定価 2,400円
発行 2022年1月27日 - 大阪の被差別部落“みやらけ”。結婚を機にムラにとけこんで、そこで出会った苦労をものともしない、しぶとく大らかに生きる人々の忘れられた声をていねいに掘りおこした聞き書き集。口と耳で部落の近現代のあゆみを語り継ぐ。
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大阪マージナルガイド 著者 吉村 智博
出版 解放出版社
定価 1,600 円
発行 2021年9月15日 - 大阪では三郷と称していた時代から、中心地の周縁部にさまざまな被差別民が居住し、警察業務や皮革業、墓所の管理、葬送などをになっていた。大正期に第二次市域編入が行われると、人口も東京をしのいで名実ともに大都市“大大阪”が姿をあらわす。都市機能が充実し、人びとの生活に繁栄・発展・享楽がもたらされる反面、大都市行政の運営をになうようにして被差別共同体の近接に墓所、火葬場、塵芥処理施設、屠場、避病院、監獄など公共性をもちながらも、賤視される施設が組み込まれていく。
これまで語られてこなかった近世の被差別民の役割と近代における都市機能の関係をたどるもうひとつの大阪歴史案内。『かくれスポット大阪』(2013年)、『続かくれスポット大阪』(2015年)をリニューアルした決定版。
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全国水平社1922-1942
~差別と解放の苦悩~著者 朝治 武
出版 筑摩書房
定価 940円
発行 2022年2月7日 - 全国水平社が創立されてから、二〇二二年で一〇〇周年を迎える。その存在は二〇年間であったが、近代日本社会に存在する部落差別からの解放を、部落民自らが求めて結成した画期的な社会運動団体である。戦時体制下に組織は消滅するが、苦悩に満ちたその軌跡は、自由と平等を願う私たちに多くの教訓を与えてくれるはずである。
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写真記録 部落解放運動史 ~全国水平社創立100年~ 著者 (編者)部落解放同盟中央本部
出版 解放出版社
定価 10,000円
発行 2022年3月3日 - 全国水平社創立以来、今日まで100年の部落解放運動の歩みを、年代順に写真・資料でたどる。(前史として「解放令」から水平社創立までの歴史も簡単に紹介)。基本的に1年の動きを見開き2頁でまとめ、重要テーマについては研究者による解説を掲載。また、日本近現代史との関連で部落解放運動の歩みをとらえられるよう各年の部落問題年表・一般歴史年表も収載。『写真記録 全国水平社五十年史』以来、中央本部発行の写真記録シリーズ編集の際に収集した資料に、解放新聞社所蔵の写真を合わせた約1200点にのぼる写真・資料によって、部落解放運動100年の歩みを生き生きと伝える。
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東京の部落解放運動100年の歩み 著者 (編者)部落解放同盟東京都連合会
出版 解放出版社
定価 3,000円
発行 2022年3月24日
- 全国水平社創立100周年を記念して、部落解放同盟東京都連合会が「東京の部落解放運動」100年の歴史をまとめた運動史。東京水平社設立から現代に至る通史と各支部や女性部、青年部の歩みも掲載。
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入門 山口の部落解放志 著者 山口県人権啓発センター 編
出版 解放出版社
定価 1,500円
発行 2021年5月30日 - 本書は、山口県の部落問題にかかわった人物に焦点をあてた部落問題の入門書です。なぜ、こんな不当な差別が始まったのか、なぜ、今日まで続けられてきたのか? こんな不当な差別にさらされながら、昔の人はただ黙って耐えるだけだったのだろうか? 部落差別に怒りを抱く人なら、こんな疑問が当然のように湧いてきます。この疑問への解答は、歴史を究明していくことで見つかってくるはずです。部落差別と向き合った人物から、部落解放の歴史を学びます。
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被差別部落認識の歴史 ~異化と同化の間~ 著者 黒川 みどり
出版 岩波書店
定価 1,620円
発行 2021年2月16日 - 差別をする側、差別を受ける側の双方は部落差別問題をどのように認識してきたのか――明治維新後一八七一年の「解放令」発布から現代にいたるまで、人々の意識の中で部落差別が作りだされてゆく歴史を描き出し、その後の被差別部落研究に大きな影響を与えた名著、待望の文庫化。原著刊行後の動向を分析した補章を加える。
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暴露と曲解 部落ってどこ? 著者 奥田 均 / 高橋 典男 / 土屋 光子
出版 部落解放・人権研究所
定価 1,000円
発行 2020年10月1日 - 部落差別解消推進法が2016年に施行されましたが、その成立の背景のひとつである、同和地区情報の暴露をはじめとしたインターネット上の部落差別はいまだに後を絶ちません。他方で、本法の附帯決議では、教育・啓発や実態調査によって「新たな差別を生むことがないよう」うたわれていますが、それを曲解して、当事者の声や実態を顧みずに施策が進められようとしています。本書は、こうした同和地区の所在地情報をめぐる混乱に一石を投じる内容です。部落差別の解消に取り組む方にとって必読の書です。
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部落差別解消推進法を学ぶ 著者 奥田 均
出版 解放出版社
定価 1,600円
発行 2019年7月10日 - 2016年12月に部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)が制定された。同法第1条には「部落差別のない社会を実現することを目的とする」と明記されている。「部落を変える」時代から「社会を変える」時代への力強い宣言である。ついに「建設」の時代が本格的に開始されるときが来た。
一方、この法律は部落問題を考えるうえで実に優れたテキストである。いや部落問題だけではなく、さまざまな差別問題や人権課題に取り組むうえでの大切な論点がちりばめられている。本書は、この問題意識を整理し、法律から部落問題を学ぶための入門書である。
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いま、部落問題を語る
~新たな出会いを求めて~著者 山本 栄子・山本 崇記
出版 生活書院
定価 3,200円
発行 2019年10月21日 - 部落差別の解消・解放に向けて多くの課題を抱えたままの日本社会。それに比して、差別に抗う担い手は圧倒的に少なくなっている。水平社100年を前に、部落史・部落問題研究、同和教育・人権教育、部落の若者たち、隣保館という社会福祉資源、識字教室、カースト制度・アジアスタティーズ(日本学)、同和行政、部落解放運動という八つの視点から、いま、私たちには何が必要なのかあらためて問う!
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差別と弾圧の事件史 著者 筒井 功
出版 河出書房新社
定価 2,000円
発行 2019年6月 - 被差別民を中心に、差別と弾圧を受けた十三の事件の真相を追う。
上州鼻緒一揆、別府的ヶ浜事件、福田村売薬商殺し、洞村移住強要事件、オール・ロマンス事件など、暗黒の近代史