ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

書籍紹介

お薦めする人権関係図書です。書籍紹介の「内容の概略」は出版社の紹介文を引用しています。

人権全般

「公正」が最強の成功戦略である
~「いい人では勝てない」のウソ~
著者 デイヴィッド・ボダニス
訳者 夏目 大
出版 光文社
定価 2,000円
発行 2022年9月22日
人は嫌なヤツにならずに成功できるのか。できない、と考える人は多いだろう。「ナイス・ガイでは勝てない」という名言もあるくらいだ。だが、本当にそうだろうか。人は悪くならなくては、非道徳的なマキャベリストにならねば成功できないのだろうか。著者は、何人もの人物の興味深い事例を通じて、非道徳的になるよりも良い道があることを教えてくれる。たとえば、ある建設業者がエンパイア・ステート・ビルディングを1年足らずで建設できたのも、ジャングルでゲリラ部隊を率いたイギリス人女性が勝利を収めたのも、能力があったのはもちろんだが、それに加えて彼らの公正な態度のおかげである。航空機のパイロット、かつてのアメリカ大統領、「ゲーム・オブ・スローンズ」のプロデューサーなどの事例からも、人を押さえつける理不尽な態度がなくても、大きな成功を収めることができるとわかる。「ナイス・ガイでは勝てない」という名言を残した本人は、結局、その理不尽な態度のせいで失敗した。そういう事例からも、通説とは逆に、善人であること、公正であることがいかに成功する上で大切なのかがよくわかるだろう。
人権尊重の経営
~SDGs時代の新たなリスクへの対応~
著者 櫻井 洋介
出版 日本経済新聞出版
定価 2,600円
発行 2022年11月24日
サステナビリティの時代、経営における最大の課題は「ビジネスと人権」だ!しかし、「人権に関する一般的な理解度の国際比較」ランキングで、日本はなんと最下位だった!(Ipsos、2018年調査)指導原則、ILOの中核条約、NAP、人権DD……企業活動がグローバル化するなかで、人権との関わりも大きくなってきたことに伴い、企業の責任として「人権尊重の経営」を求める動きが加速している。誰の権利を守るのか?どういう権利をどのように守るのか?「ビジネスと人権」に関する企業の取り組みは、まだ発展途上であり、欧米の多国籍企業であっても、完璧に指導原則の要請事項を実践、体現できているところは存在しないといえる。そもそも、サプライチェーン上の人権リスクを完全にゼロにすることは不可能である。そのなかで、自社として「ビジネスと人権」の課題にどう向き合うことができるのかを真摯に考えられることこそが、これからの企業経営にとって重要であるといえる。しかし現状では、ビジネスと人権に関する国際文書は記載が曖昧なものも多く、一読しただけではなかなかその内容を理解することは難しい。そこで本書は、人権概念そのものを理解したうえで「ビジネスと人権」に取り組んでいくことを念頭に、読者が具体的なイメージを持てるよう、筆者の専門領域である「人権×労働」の観点から、現場における事例等を数多く紹介。国内外の最新状況と共に、世界が突きつける課題を整理し、日本企業が絶対に押さえておくべき知識を網羅的に解説する。
すべての企業人のためのビジネスと人権入門
著者 羽生田 慶介
出版 日経BP
定価 2,000円
発行 2022年8月8日
世界では、企業の「人権リスク」に対して厳格に対処するためのルールづくりが着々と進んでいる。しかしつい最近まで、日本企業の「人権」対応の取り組みは、とても遅れていた。国際NGOが発表している人権対応スコアでは、名だたる日本を代表する企業が軒並み「ほぼ0点」の扱いを受けている。国連の持続可能な開発目標(SDGs =サステナブル・ディベロップメント・ゴール)の各項目に対する意識調査によると、日本は「人権」に対する意識が希薄だ。本書を手に取った皆さんの中には「そうは言っても、人権がどう自社のビジネスに関係するのかイメージが湧かない」という人がいるかもしれない。「人権リスク」はビジネスの特別な場面ではなく、ごく日常に潜んでいる。本書は、企業が「ビジネスと人権」に取り組むための基礎知識と、具体的な実践方法、さらには「人権リスク対策」を通じてビジネスを拡大するためのヒントをまとめた。
アサーティブ・コミュニケーション
著者 戸田 久実
出版 日本経済新聞出版
定価 900円
発行 2022年7月22日
「アサーティブ」とは「自分を主張する」という意味だが、ここでは、相手を尊重しながらも自分自身の意見を伝えるという意になる。組織の多様性、そして心理的安全性が言われる職場において、誰もが臆することなく、一方で誰もが相手を追いつめることなく、意見を言える環境が求められている。本書は、『日経文庫 アンガーマネジメント』の著者が、怒りをうまくコントロールした先にあるコミュニケーションとして、アサーティブ・コミュニケーションの考え方と実践法を語る。
ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた
著者 斎藤 幸平
出版 KADOKAWA
定価 1,500円
発行 2022年11月2日
うちに閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法である。だから、現場に行かなければならない。(「学び、変わる 未来のために あとがきに代えて」より)
理不尽に立ち向かう人、困っている人、明日の世界のために奮闘する人――統計やデータからは見えない、現場の「声」から未来を考える。
人権の世界史
著者 ピーター・N・スターンズ
訳者 上杉 忍
出版 ミネルヴァ書房
定価 3,200円
発行 2022年11月30日
本書は、18世紀に欧米で現れた人権概念の現代までの世界史を鳥瞰する。「普遍的人権」概念は様々な抵抗を受けつつ拡張と収縮を繰り返してきた。世界貿易と資本主義の拡張に伴い、「普遍的人権」概念を他地域に押しつける植民地主義的人権論は、反動を引き起こしつつも、西欧からその他地域へと広がってきた。子供、女性、同性愛者、環境保持の権利等「新しい人権」概念も含め、その成立と展開、変容を辿る。
COVID-19の倫理学
~パンデミック以後の公衆衛生~
著者 児玉 聡
出版 ナカニシヤ出版
定価 2,200円
発行 2022年7月31日
コロナ禍以後の新たな時代を生きるためのヒントを学ぶ教科書、京都大学の教員たちによる人気オンライン講義シリーズ「立ち止まって、考える」が待望の書籍化。外出自粛要請は正当化できるのか?限られた人工呼吸器を誰に配分するか?ワクチン接種は義務化すべきか?大型クルーズ船停留措置、ワクチンの優先接種、医療資源の配分、ロックダウン……パンデミック下で引き起こされた様々な難問について、当時どのような議論がなされ、今後どのように議論していくべきなのか。危機的な状況のなか行われた、これからの公衆衛生(感染症対策や健康増進のための予防活動)について議論するための特別講義を収録!!
犯罪の証明なき有罪判決
~23件の暗黒裁判~
著者 吉弘 光男(編集)
   宗岡 嗣郎(編集)
出版 九州大学出版会
定価 3,200円
発行 2022年2月15日
冤罪はなぜ起こるのか。

刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪判決において「刑の言渡し」ができ(刑訴法333条)、「犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければならない」(刑訴法336条)と規定する。しかし日本の刑事裁判実務では、裁判官の「自由心証主義」が過度に重視され、現行法上の有罪判決の前提である「犯罪の証明」が軽視されてきた。その結果、「裁判官の自由な判断」により誤った有罪判決を生み出す「暗黒裁判」が後を絶たない。

本書では、70数年に及ぶ現行憲法・刑事訴訟法の下で、絶えることなく続発する誤判事件の実態について、最初期から現代にいたる膨大な誤判例の中から23件の裁判を分析することで、誤判の決定的な原因を探った。そこには、別件逮捕を用いた自白獲得や共謀共同正犯の承認、情況証拠のみに基づく事実認定、捜査段階の調書への全面依拠、客観性を欠く供述証拠の「真偽」の判断等、憲法が保障する被疑者・被告人の人権を無視した実務の実態があった。本書はとくに論理的可能性と実在的可能性の違いに着目し、主観的・情緒的な「心証形成」を制約する、客観的・理性的な「証明」の論理を示すことによって、裁判官が誤判を犯す原因を明らかにし、冤罪を防止するための方策を提言する。
ペアレントクラシー
~「親格差時代」の衝撃~
著者 志水 宏吉
出版 朝日新聞出版
定価 810円
発行 2022年7月13日
現代日本は「ペアレントクラシー(親の影響力が強い社会)」という言葉で形容できるほど、社会階層の固定化が進んでいる。
かつてないくらいに、子どもの社会的地位、学歴と保護者の学歴、経済力とに強い相関関係が見られるようになっているのだ。
生徒、保護者、学校、教育行政の観点から日本がペアレントクラシー化に至った経緯を分析し、教育の公正の実現に求められる策は何かを提言する。
「ヤングケアラー」とは誰か
~家族を“気づかう”子どもたちの孤立~
著者 村上 靖彦
出版 朝日新聞出版
定価 1,700円
発行 2022年8月12日
小学生の15人に1人が「家族の世話」を担い、社会問題として顕在化してきたヤングケアラー。メディアでは身体的な疾患や障害をもつ家族の介護をする子どもがクローズアップされることが多いが、実際には、精神疾患の母親をケアするケースも多い。
介護や家事労働だけが「ケア」ではないのだ。
長期脳死の兄の「身代わり」として親の前で頑張って見せる子、母親の薬物依存を周りに言えない子、ろう者の母親の手話通訳をするうちに「私」が消えていく子、母親を責めるようだからと自身をヤングケアラーだと認めたがらない子――。
本書では、家族をケアする子どもたちが体験する孤立を「語り」から考える。彼ら彼女らの言葉に丁寧に耳を傾け、ディテールにこだわって分析を重ねていく。すると、これまでほとんど知られることのなかった、ヤングケアラーたちの複雑かつあいまいな体験や想い、問題の本質が浮かび上がってくる。また、そこから、どのような「居場所」や支援を必要としているのかも見えてくる。
スマホで薬物を買う子どもたち
著者 瀬戸 晴海
出版 新潮新書刊
定価 840円
発行 2022年7月19日
カラフルな絵文字に隠語の数々、派手な宣伝文句が氾濫するSNSや、秘匿アプリを通じて、今日も違法薬物が売られている。親に隠れて手を出すのは中高生や大学生、売人もまたごく普通の若者たちだ。スマホを介した「密売革命」によって、子どもたちの薬物汚染は近年、急速に蔓延している。ひと昔前とは様変わりした最新ドラッグ事情から、安易な誤解で広がる大麻の脅威まで、元「マトリ」トップが実例とともに徹底解説。
ほんとうの定年後
~「小さな仕事」が日本社会を救う~
著者 坂本 貴志
出版 講談社
定価 920円
発行 2022年8月18日
年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70代男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く……全会社員必読! 知られざる定年後の「仕事の実態」とは?

漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか。豊富なデータと事例から見えてきたのは、「小さな仕事」に従事する人が増え、多くの人が仕事に満足しているという「幸せな定年後の生活」だった。日本社会を救うのは、「小さな仕事」だ!
心理的安全性を作る言葉55
著者 原田 将嗣(著者)
   石井 遼介(監修)
出版 飛鳥新社
定価 1,500円
発行 2022年8月5日
いま大注目の「心理的安全性」を取り入れるなら、
本書の言葉からいつものひと言を変えることで......
会話が増える!
チャレンジが始まる!
チームが変わる!
「言い換え」でわかりやすくお伝えします!
×じゃあ任せたから、頼んだよ →
〇誰に相談すると進みそうですか?
×ムリでしょ →
〇その視点はなかった!
×仕事は増えるけど頑張ろう →
〇やめたほうがいい仕事ってなんだろう?
「多くのリーダーが変化を体感した言葉が厳選されています」
ベストセラー『心理的安全性のつくりかた』著者
石井遼介
アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した
~潜入・最低賃金労働の現場~
著者 ジェームズ・ブラッドワース(著者)
   濱野 大道(訳者)
出版 光文社
定価 1,100円
発行 2022年6月14日
英国の“最底辺”労働に著者自らが就き、その体験を赤裸々に報告。アマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバーのタクシー――ワンクリックに翻弄される無力な労働者たちの現場は、マルクスやオーウェルが予言した資本主義、管理社会の極地だ。グローバル企業による「ギグ・エコノミー」という名の搾取、移民労働者への現地人への不満、持つ者と持たざる者との一層の格差拡大は他人事ではない。横田増生氏推薦の傑作ルポ。
私の沖縄問題
著者 部落解放・人権研究所 (編著)
出版 解放出版社
定価 1,600円
発行 2022年7月10日
過去半世紀にわたって沖縄に押しつけられた問題は、本土の問題である。本土が変わらない限り問題は解決しない。沖縄に押しつけてきた問題とはなにか、戦争と差別に反対をし、平和と人権を守るため被害、加害の両側から考える。
日本にレイシズムがあることを知っていますか?
~人種・民族・出自差別をなくすために私たちができること~
著者 原 由利子
出版 合同出版
定価 1,600円
発行 2022年7月29日
〈在日コリアン〉〈在日外国人〉〈被差別部落〉〈アイヌ民族〉〈琉球・沖縄〉〈さまざまなマイノリティ〉が共存する社会
レイシズムが跋扈(ばっこ)する社会では、人びとは自由に〈空気〉が吸えない。いまレイシズムをなくすカギは、一人ひとりが気づき、批判の声をあげること!
日本社会の人種・民族・出自差別の歴史と構造
レイシズムの本質と危険性
どうすれば差別のない社会がつくれるのか
国連、政府、市民の役割とはなにか
いま、私たちが知っておくべき 社会の分断を回復する知恵 行動への一歩
積み重なる差別と貧困
~在日朝鮮人と生活保護~
著者 金 耿昊
出版 法政大学出版局
定価 3,800円
発行 2022年4月1日
在日朝鮮人と生活保護の問題は、戦後日本における排外主義の標的となってきた。はたしてそれは「不適正」な「特権」なのだろうか。さまざまな歴史資料から在日朝鮮人の苦難に満ちた暮らしを描きだし、生活保護制度からも排除されていった事実を明らかにする。南北分断、朝鮮戦争、北朝鮮への帰国、高齢者の無年金問題などを経て、現在まで続く民族差別と貧困の道のりをたどる。
ウトロ ここで生き、ここで死ぬ
著者 中村 一成
出版 三一書房
定価 2,800円
発行 2022年4月27日
一世は全員鬼籍に入った。多くの二世ともお別れした。ウトロの歴史を目撃してきた飯場跡や集会所、南端のフェンスなど、地区内にあった、あるいは今も存在する幾つかの物言わぬ「証人たち」を訪ね、そこにまつわる人々の記憶を掘り起こし、彼彼女らの記録として残したい。それは、ウトロの人々から少なからぬ時間と言葉を頂戴した者の一人としての義務でもある……かつて地区の玄関に立てかけられた看板の文言を思い出す。打つ手がなくなった2002年、それでも闘い抜くと決めた団結集会で採択された集会宣言である。住民たちの記憶と願いを撚り合わせ、今後の闘いの肝を記した宣言「オモニの歌」は、この言葉で結ばれた――「われら、住んでたたかう」。
裁判の中の在日コリアン
~日本社会の人種主義・ヘイトを超えて~
著者 在日コリアン弁護士協会(LAZAK) (編者)
出版 現代人文社
定価 2,300円
発行 2022年3月20日
2008年に刊行された初版以降にあった事件を加筆、大幅増補改訂。さらに、「徴用工」「慰安婦」「日韓請求権協定」「名前(本名と通名)と国籍(帰化)」の問題についてのコラムも充実。
在日コリアンを当事者とした裁判や事件について、在日コリアンの弁護士や事件に携わってきた弁護士が、当事者の視点から執筆した。初版から14年、「多様性と協調」が謳われる時代とは裏腹に、在日コリアンをとりまく環境はますます厳しいものとなっている。2009年に起きた朝鮮学校を襲撃するヘイトクライム事件以後、在日コリアンの排斥を訴える過激なデモが全国各地で行われ、インターネットを中心に「ヘイトスピーチ」が氾濫、書店の店頭ですら目に留まりやすい場所に嫌韓本が並べられるようになった。2017年には、在日コリアンの弁護士も標的にされた「大量懲戒請求事件」が起きた。なぜ、在日コリアンをとりまく人権状況は、これほどまでに悪化してしまったのかーーー。
人権としての特別支援教育
著者 藤本 文朗 監修者
   小野川 文子 監修者
   小畑 耕作 編者
   近藤 真理子 編者
   宮本 郷子 編者
出版 文理閣
定価 1,818円
発行 2022年3月20日
子どもの発達と学習を保障する権利としての障害児教育、決して「特別」ではない特別支援教育のために編まれた、学生・教員・ボランティアに向けた新しいテキスト。

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