私たちは企業の立場から人権の輪をひろげるため、人権に関するさまざまな情報を発信しています。

あゆみ

就職差別解消促進月間

問われる企業と社会の人権感覚

 6月の「就職差別解消促進月間」を前に、就職差別について考えてみませんか。

 就職は、生活の安定確保や労働を通じた社会参加など、人間が幸せに生きていくうえで基本となるものであり、採用にあたっての募集・選考は、応募者の適性と能力に基づき公正に行われなければなりません。

 しかしながら、企業の依頼を受けた調査会社が応募者の家族の状況などを調べるという、就職差別につながるおそれの強い身元調査事件が起きています。

 このため、東京都では6月を「就職差別解消促進月間」とし、就職差別をなくし就職の機会均等を確保するため、東京労働局及び公共職業安定所と連携してさまざまな啓発活動を展開していきます。

日本アイビー社・リック社による差別調査事件

 1998年(平成10年)6月、日本アイビー株式会社(親会社)とリック株式会社(子会社)の二つの調査会社が部落差別身元調査をはじめとする差別調査を行っていたことが、部落解放同盟大阪府連の調査と2社からの自主申告によって明らかになった事件。同年7月1日、解放同盟大阪府連の要請に基づいて、2社が公的機関を含む約1400社に及ぶ顧客リスト等を提出。一方、大阪府は7月2日、<大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例>に基づき立ち入り検査を行った。親会社は経営コンサルタントを表面上の業務とし、子会社は調査部門を担当。顧客企業は親会社の会員となり、表向きは経営コンサルタントを含む総合的な企業支援システムに加入しているように装いながら、実際には身元調査などの採用調査を目的に加盟しているところが多かった。確認会での<親会社全体に占める業務の7〜8割は子会社の仕事>という証言からも、きわめて巧妙なシステムであったことがわかる。
 98年7月から10月にかけて6回にわたる確認会が行われ、顧客企業等から渡された採用予定者の履歴書をもとに行われていた部落、民族、国籍、思想、宗教、人物評、支持政党調査などの差別調査の詳細が明らかにされた。また、調査結果を総合的に評価するため4段階(A・B・C・D)のランク付けが行われていた。<履歴書>は、部落出身者とわかった時点で<※>印がつけられ、調査がストップ。部落出身者であると断定された段階で、評価さえも記入されていなかった。
 このような事件を克服するためには、上記2社の反省だけではなく、事件を教訓とした調査システムと調査業界の抜本的改革、行政機関による取り組みの強化や全国的な法規制・法救済の必要性、経済界の取り組みの強化や採用をはじめとする社会システムの改革が求められる。
北口末広『人権社会のシステムを』(解放出版社、1999)

「部落問題・人権事典」(部落解放・人権研究所解放出版社)より抜粋


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