ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

ご存知ですか

人権に関するさまざまな知識のコーナーです

「点ブロスマホ」

公益社団法人 東京都盲人福祉協会

スマホを見ながら点字ブロックの上を歩くことを「点ブロスマホ」と呼ぶそうです。歩きスマホの方と衝突した経験のある東京都盲人福祉協会常任理事の宮川純さんにお話を聞きました。
宮川さん
歩きスマホの方と今までに数十回衝突しています。そのうち2回、救急搬送されました。2回とも衝突した方は、その場から逃げてしまいました。たまたま通りかかった方が救急車を呼んでくれて大事にはいたりませんでした。

私は大柄ですが、その私でも速度を緩めず正面から衝突されたら転倒してしまいます。これが高齢者だったらケガだけではすまないかもしれません。

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次に、東京都盲人福祉協会事務局長の山本和典さんに「視覚障がい者にとって点字ブロックとは」について、お話を聞きました。
山本さん
点字ブロックは、1965(昭和40)年に視覚障がい者の安全な歩行に寄与することを目的に社会事業家の三宅精一氏が考案し、世界約150カ国で敷設されている日本が誇るべき発明品です。

点字ブロック

視覚からの情報に大きな制限のある全盲者などは、白杖(はくじょう:白い杖)の先や足裏から情報を得る形で、またロービジョン(弱視)の方々は、視覚的な手がかりとしても利用できますので、視覚障がい者の安全な歩行にとっては大変有効で、なくてはならいものと言えるでしょう。つまり、点字ブロックを使用している視覚障がい者にとって、点字ブロックは、「常に安全で安心な存在」でなければなりません。しかし、残念ながら点字ブロック上に駐車・駐輪している車や自転車、立ち話をしている人などは後を絶たないのが現状です。それに加えて、昨今はスマホを使用しながら、点字ブロックを目で追いつつ歩くといったいわゆる「点ブロスマホ」が非常に大きな社会問題となっています。

点字ブロックの上に駐輪

駐車中の車や自転車も、転倒やケガにつながる障害物として危険ですが、「点ブロスマホ」の場合は、お互いある程度の速度で歩いている者同士が衝突するわけですからその衝撃力は、大きなケガなどに直結する大変危険な行為と言えます。

点字ブロックが視覚に障がいがある方々にとって、「常に安全で安心な存在」であり続けるためにご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、皆さんが街中で、白杖や盲導犬を使用して歩いている方を見かけた時には、どうぞ積極的にお声がけいただくようお願いします。点字ブロックを使っている方が、必ずしも困っていないとは限りません。「どう支援したらいいかわからない」場合には、ご本人に聞いてみてください。例えば「何かお手伝いできることはありませんか?」でいいと思います。「ひとりで大丈夫」と言われたときは、「そうですか、ではお気をつけて」と言ってお見送りいただければいいのです。特に危険なプラットホームや信号横断の場面では、声がけに喜んでいただける方が多いはずです。ぜひ、街中で視覚障がい者を見かけたら、気負わず声をかけてみてください!

白杖や盲導犬を使用して歩いている方を見かけた時に声をかける


2023.5 掲載

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