ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

ご存知ですか

人権に関するさまざまな知識のコーナーです

デジタル障害者手帳(障害者手帳の電子化)

東京人権啓発企業連絡会 広報委員会

障害者手帳をスマートフォンで代用できることをご存知でしょうか?
障害者手帳を持っている方が、アプリをダウンロードして登録すれば、公共機関や商業施設などで障害者手帳の代わりに画面を提示することで、割引などが受けられるというものです。アプリには、福祉機器の仕様や求めるサポートの内容も登録できます。

この障害者向けのスマートフォンアプリ「ミライロID」を開発した、株式会社ミライロITソリューション部長の井原充貴さんにお話を伺いました。
井原さん 『国内には約960万人の障害者がいると言われています。障害者手帳による運賃割引は1952(昭和27)年から始まりましたが、それを受けるためには障害者手帳を常に持ち歩き、窓口で提示する必要がありました。しかし、障害者手帳には名前や生年月日、場合によっては住所や車のナンバーまで記載されているため、毎日パスポートを持ち歩いているような不便な生活を強いられていました。

また、障害者が公共交通機関や各種サービスを利用する際の割引を受ける方法は、サービスを提供する事業者に一任されていることから、これまでは割引を利用する度に、障害者手帳の現物提示を求める事業者がほとんどでした。事業者にとって、障害者手帳は自治体ごとに様式が異なるため、窓口で対応する職員は初めて目にするフォーマットのものもあり、確認に時間がかかるなど少なからず負担にもなっていたようです。

「ミライロID」の導入により、障害のある人と事業者、相互の負担を軽減し、スムーズにすることで、障害のある人が外出しやすくなる社会を実現したいと考えました。』

身体障害者手帳(東京都)ミライロIDホーム画面のイメージ

※障害者手帳・・・地方公共団体から発行される、障害を証明するための手帳です。身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種類があります。障害者手帳の色、形状、レイアウト等の具体的な仕様については各自治体で定めているため、全国に265のフォーマットがあります。



スマートフォンアプリ「ミライロID」の手順
ミライロIDステッカー

サービスを利用する側、提供する側それぞれが抱えている課題について、デジタルの力で解決しようと2019年にリリースされたこの無料アプリは、2021年3月には全国の鉄道会社120社(JR各社を含む)で導入されました。これにより、使用可能な事業者数が飛躍的に伸び、2021年9月30日の時点で3,090の事業者で使えるようになりました。

一方、これまで障害者割引を導入していなかった飲食店やコンビニエンスストアなどが障害者にアプローチできる新たな手段として「クーポン」発行のサービスが提供されており、今後の新たな展開や更なる機能充実が期待されます。

ミライロID鉄道利用時


2022.5 掲載

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