ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

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人権に関するさまざまな知識のコーナーです

ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」
~「ダイアログ・イン・サイレンス」を体験してきました~

東京人権啓発企業連絡会 広報委員会

「音のない世界で、言葉の壁を超えた対話を楽しむ」のが「ダイアログ・イン・サイレンス」です。体験の案内役は、音声に頼らず対話をする達人、聴覚障がい者です。

参加者は、音を遮断するヘッドセットを装着し、静寂の中で、集中力、観察力、表現力を高めていきます。

そしてボディーランゲージなど、音や声を出さず、互いにコミュニケーションをとる方法を発見していきます。

「ダイアログ・イン・サイレンス」が1998年にドイツで開催されて以降、フランス、イスラエル、メキシコ、トルコ、中国でも開催され、これまで世界で100万人以上が体験しています。日本では2017年に初めて開催され、約1万人が体験しました。

今回、広報委員会のメンバーが、2グループに分かれて2日間にわたり「ダイアログ・イン・サイレンス」を体験してきました。メンバー の声を交えて紹介します。

・・・・・「はじめは案内役のジェスチャーの意味がわからず、強いストレスを感じました」
参加者は「声を出さないこと」と案内を受け、ヘッドセットを装着して部屋に入ります。皆一様に緊張の面持ちです。

部屋に入るとすぐに案内役がジェスチャーで何かを伝えようとしてきます。しかし、何も聞こえない、言葉が発せられない状況では相手が伝えたいことが何なのか、最初は全然理解できません。

手のダンス
・・・・・「コミュニケーションは、全身で真っ直ぐ受け止め、全身で真っ直ぐ伝えること」
案内役が何を伝えようとしているのか、ジェスチャー・表情・目から読み取ろうと集中している自分に気がつきました。

常日頃、私たちは、いかに音に頼って生きているのかということを思い知らされました。コミュニケーションをとる際には、視覚や聴覚に頼ることが多かったことを自覚するとともに、五感をフル活用することで、よりお互いが理解できることを実感しました。
・・・・・「各部屋のテーマが工夫されており、楽しさの中に多くの気づきがありました」
手で表現したものが何か、チーム対抗でクイズをしましたが、チーム内のコミュニケーションの大切さを学べました。

音楽を表現するテーマでは、最後には皆で合奏することで一体感を感じました。

形の部屋
・・・・・対話で大切なこと「目を合わせる」「あきらめない」「伝わらないことを楽しむ」
聴覚障がい者の案内役が挙げた対話で大切なことの中の「伝わらないことを楽しむ」という考え方に、思わずハッとさせられました。「対話はできて当たり前」と思いあがっていましたが、「本当に?」と問い直すことの大切さを実感しました。

新入社員の育成など、オンラインでコミュニケーションが取りづらい今の時期に、チームの結束力や相手を思う気持ちの醸成などに、大いに役立つと感じました。ぜひおすすめします。

手話の部屋
ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」を運営しているダイアローグ・ジャパン・ソサエティの佐川久美子さんから、施設の概要などについてご紹介いただきました。
■ダイアログ・ダイバーシティミュージアム
2020年8月に東京・竹芝にオープンいたしました。ダイバーシティを体感いただけるソーシャルエンターテイメントを展開しています。今回、広報委員の皆さまに体験いただいた「ダイアログ・イン・サイレンス」の他、2つのプログラムをご紹介します。
■「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは
完全に光を閉ざした暗闇を目に頼らない視覚障がい者が案内役となり、さまざまなシーンを体験します。

1988年にドイツの哲学者アンドレアス・ハイネッケ氏が発案し、世界50カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験をしています。日本では1999年に初開催以来、短期開催を続けてきました が、視覚障がい者の雇用の場としても確立すべく、2009年以降、開催を続けています。光一筋入らない空間では、声が頼りになり、参加者同士が自然に協力し、日常の立場や固定観念から解放されて一体感が醸成されます。小学生以上が体験できる一般プログラムの他、企業研修用プログラムもあり、これまでに600社以上に導入されています。

ダイアログ・イン・ザ・ダークを象徴する白杖
〈企業研修プログラムについて〉
参加者は5〜8名で1チームとなり、チームに1名の視覚障がい者のトレーナーがつきます。暗闇では性別、年齢、容姿、障がい、肩書きなど、すべて意味を失い、参加者は声を掛け合いながら、チームでワークに取り組みます。視覚以外の感覚を使い、必然的に協力しあう環境の中で、一人ひとりが主体的に気づきを得ていきます。

「コミュニケーション向上」「チームビルディング」「イノベーション能力向上」「リーダーシップ養成」「ダイバーシティ推進」等のテーマでさまざまな属性を対象に研修を実施しています。一度に最大3チームまで同時受講できます。

ビジネス研修の様子
◎ご参加者の声
「想像以上に気づかされることが多くありました。自分と周囲の距離を改めて考えさせられました。共通の尺度、価値観を形成する重要性を認識しました。」(証券会社様 管理職 40代) 「日常、明確に指示をすることに心がけているが、まだ不足していること、自分の思い込みが強いことがわかった。今後気をつけていきたい。」 (建設会社様 管理職 30代)
■2022年秋開催予定「ダイアログ・ウィズ・タイム」とは
70歳以上の人生経験豊富な高齢者が案内役となり、「生き方との対話」と称したプログラムです。年齢を重ねることによる身体的な変化も体験しつつ、案内役の人生にも触れながら自分の生き方を考えるきっかけになるエンターテイメントです。高齢者が携わる新しい形の仕事を創出するとともに、世代間の溝や加齢に対するネガティブなイメージをポジティブに転換していきます。ミュージアム設立とともに開催予定でしたが、コロナウイルス感染症の拡大を受け、開催が延期となり2022年秋に開催予定です。

ダイアログ・ウィズ・タイムの開催風景


ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」


2022.7 掲載

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