ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

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人権に関するさまざまな知識のコーナーです

資料館探訪 話題の渋沢史料館に行ってみました

渋沢史料館外観

▲渋沢史料館外観

はじめに
前号の広報誌「明日へ」63号で、近代日本経済社会の基礎を築いた渋沢栄一氏をご紹介しました。現在も残る数多くの企業の設立・育成にかかわってきただけでなく、すぐれた人権感覚を持つ人物であったことを、皆さんに知っていただけたかと思います。
また、本年は同氏が主人公となるNHK大河ドラマ『青天を衝け』が放送されていますので、皆さんの注目はますます高まると思われます。
前号の取材のご縁で、今回、渋沢史料館を訪問する機会を得ましたので、この64号でご紹介させていただきます。

東京人権啓発企業連絡会 広報委員会

渋沢史料館について

渋沢史料館は、栄一氏の活動を広く紹介する博物館として、1982年に開館。東京都北区にある旧渋沢邸跡地に建っています。同氏の生涯と事績に関する資料を収蔵・展示しており、旧渋沢庭園に残る大正期の2棟の建築「晩香廬」(ばんこうろ)と「青淵文庫」(せいえんぶんこ)(いずれも国指定重要文化財)の内部公開も行っています。

渋沢栄一氏の数々のスナップ

史料館はリニューアルされ、2020年11月に一般公開となりました。今回は渋沢栄一という人物について「ふれる」「たどる」「知る」という3つテーマでアプローチすることができます。

「ふれる」は、どのような日常生活をおくっていたのか、活動の根底にある思いはどのようなものだったのか、演説や講演会でどのようなことを語ったのか、などに展示品からふれます。

「たどる」は、栄一氏91年の生涯を、年齢ごとの展示ユニットでたどっていきます。
「生まれた年(1840年)から順に見ても、あるいは好きな年齢だけを見るのもOK!どうぞ自由に栄一の生涯をたどってください」と案内がありました。(写真の上部にある数字は渋沢氏の年齢です。)

渋沢栄一を「たどる」

「知る」は、栄一氏が携わったさまざまな事業や活動、そして多くの人々との交流を紹介しており、「たどる」や「ふれる」で紹介している内容をさらに掘り下げて知ることができました。今回のリニューアルオープン時は、「栄一と養育院」、「栄一と商業教育」、「栄一と徳川慶喜」、「栄一と国民外交」の4つのテーマを展示していました。どれも、興味深い内容でした。

隣接する国指定重要文化財も、素晴らしい建物です。中に入って見ることができます。

渋沢栄一を「知る」

晩香廬は、栄一氏の喜寿を祝って造られた洋風茶室で、丈夫な栗材を用いており、暖炉・薪入れ・火鉢などの調度品、机・椅子などの家具にも、設計者の細やかな心遣いが見られます。内外の賓客を迎えるレセプション・ルームとして使用されたそうです。

青淵文庫は、栄一氏の80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格した祝いを兼ねて造られ、渋沢家の家紋「丸に違い柏」に因んで柏の葉をデザインしたステンドグラスやタイルが非常に美しい洋館です。書庫として、また接客の場としても使用されたそうです。当初収蔵されていた「論語」をはじめ多くの漢籍は、1963(昭和38)年、渋沢家から東京都立日比谷図書館に寄贈され、現在は東京都立中央図書館に所蔵されています。

史料館には、栄一氏に関する書籍や写真絵葉書などの販売もあり、気に入ったものをその場で購入することができます。

青淵文庫

渋沢史料館を見学して

史料館を見学して印象に残ったのは、「渋沢栄一をたどる」のコーナーでした。栄一氏の91年の生涯を1年ずつたどっていくのですが、幕末・明治・大正・昭和を通じて栄一氏のさまざまな活動・実績が見て取れ、とても一人のものとは思えませんでした。数多くの会社設立に携わるだけではなく、約600もの社会事業にも関わり、「日本資本主義の父」と呼ばれるとともに、ノーベル平和賞の候補にもなったこともうなずけます。

関わった社会事業の代表的なものとしては、東京養育院・博愛社(のちの日本赤十字社)・日本女子大学校・日本結核予防協会・中央盲人福祉協会の創設があげられます。女子教育をはじめ福祉事業など、弱い立場の人たちに寄り添った事業にかかわってこられたことに驚くとともに、栄一氏の活動の幅広さに圧倒されました。これらの事業を進めていくうえで、栄一氏が説く「忠恕(誠実さと思いやり)」の大切さが、活動の根底にあることも実感させられました。

また、今から100年以上も前に、企業は利益だけではなく、「社会的責任も重視する」ことが大切であることを訴えてきました。これは、いま世界が取り組んでいるSDGsの考え方にもつながるのではないかと思い、栄一氏の先見性に驚きを感じ、同時に誇らしい気持ちになりました。

最後に

現在は新型コロナウィルス感染防止対策のため、完全予約制で人数も絞っての見学となりますが、一般の入館料は300円、学生(小中高生)100円で、気軽に訪問できます。ウェブサイトで、開館日の確認を行うことが可能で、入館予約もこの中で行えます。

今はホームページ中の豊富な資料に触れていただき、安心して外出ができるようになったら、ぜひ訪問してみてください。

同じ敷地にある飛鳥山公園の散策もできますよ。昔からの桜の名所です。あわせておすすめします。

飛鳥山公園

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2021.12 掲載

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