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見聞

資料館探訪〜水平社博物館 全国水平社創立90周年にあたり、水平社博物館を訪ねました。

▲水平社博物館

 水平社博物館は、奈良県御所(ごせ)市柏原にあります。1922(大正11)年3月3日に全国水平社が創立されました。

 御所市柏原は、水平社創立の中心となった西光(さいこう)万吉さん、阪本清一郎さん、駒井喜作さんらの生誕地です。差別からの解放を願う被差別部落の人々が、自らの力で立ち上がり、団結し、闘って行く決意で結成した全国水平社。この水平社発祥の地として知られる御所市柏原は「人権のふるさと」と呼ばれています。

 「水平社発祥の地—御所市柏原に水平社歴史館を建設しよう!」と呼びかけられ、1998年5月に「水平社歴史館」として開館。1999年4月に「水平社博物館」と改称。

 2003年1月に小・中学生も楽しみながら人権学習ができるようにと、常設展示室を改装し、ビジュアル設備をふんだんに盛り込みリニューアルオープンされました。水平社歴史館開館以来、老若男女、遠近を問わず、たくさんの方々が訪れ、今年(2012年)3月末で来館者数は26万人を超えたそうです。



◆ 水平社博物館

▲モニュメント 博物館は2階建ての建物です。1階玄関ホールに入ると左側に「人権ふるさとマップ」があり、柏原地域周辺の見所と水平社創立に至るまでの過程を約3分間の映像と地図で紹介しています。

 その左側には、全国水平社の活動家6人(松本治一郎さん、朝田善之助さん、泉野利喜蔵さん、井元麟之さん、北原泰作さん、松田喜一さん)を紹介するビデオコーナーがあります。

 2階は常設展示室と特別展示室とで構成されています。「人権ふるさとマップ」の横の階段を上がっていくと右側に「テラス」があり、左側に「常設展示室」の入り口があります。


▲阪本清一郎の回想録 テラスから戻り、常設展示室に入ると正面に水平社を生み出し、運動を支えた原点「阪本清一郎の回想録(直筆)」があり、回想録の一部が朗読されます。如何に当時の差別が激烈で容赦のないものかが心の奥底まで響き渡るような衝撃を覚えます。

 そこから進んでいくと、順番に『水平社創立前史』、『ファンタビューシアター』、『全国水平社の展開』、『全国水平社を支えた人々』、『ビデオコーナー』、『エピローグ』、と続き、それぞれが、わかりやすく展示解説されています。



●水平社創立前史

 全国に多くの被差別部落があるのになぜこの地に全国水平社を創立する力があったのかはこの経済力だとも言われています。全国水平社創立以前にすでに被差別部落民自身による自主的部落改善運動が準備されていて、こうした運動は奈良県、そして全国的運動へと発展していきました。

 1909年9月、西光寺で柏原青年共和団が結成され、その後、燕会と親友会に別れ、阪本清一郎さんを中心とした燕会は全国水平社へと発展していきました。1921年8月燕会は燕神社を建立し、ここで部落差別をなくすために話合いを重ねました。西光寺の裏山の右手上には燕神社が望まれます。

 燕会の青年たちは「よき日の為めに」というパンフレットを作成して、全国の部落に送り、部落解放をめざす団体「水平社」を創ることを訴えました。


●ファンタビューシアター

▲ファンタビューシアター それまで全国各地で差別に苦しめられてきた部落の人びとが立ち上がり、柏原の青年が中心になって準備をすすめてきた全国水平社は、1922年3月3日、京都市岡崎公会堂で産声を上げ、その名を歴史に刻むことになりました。堂内が熱気に満ち、全観衆が感動に震えた創立大会の様子を体感できます。


●全国水平社の展開

 1922年に誕生した全国水平社の闘いは、「燎原の火」の如く、各地に広がり、差別糾弾闘争、生活権要求闘争、戦時下の運動など、その活動は多くのものを生み出しました。

●全国水平社を支えた人々

都道府県別に水平社の活動家を紹介しています。水平社運動の広がりを身近に感じられるはずです。

●ビデオコーナー

西光万吉さん、阪本清一郎さんの映像があります。水平社創立の考え方を創立者本人から聴くことができ、部落解放運動の原点に触れることができます。

●エピローグ

 中村玉緒さんや池乃めだかさん、アメリカ公民権運動の偉大な指導者キング牧師が登場するなど小・中学生も楽しみながら人権学習ができるコーナーです。

●特別展示室

 毎年5月〜8月は、「水平社・部落問題」をテーマに特別展が、そして毎年12月10日〜翌年3月末までは、「さまざまな人権課題」をテーマに企画展が開催されています。

 訪問当時(2012年8月)は特別展「水平社運動・部落解放運動90年の歴史」展が開かれていました。



◆ 最後に

 水平社博物館は、私たち人権啓発に携わる者にとっても、正にその活動の原点ともいえる「人の世に熱あれ人間に光あれ」と謳われたこの熱き宣言が、この柏原の地で生まれた歴史の必然性を実感することができるところです。水平社宣言、そして解放運動の原点を体感し、知ることのできる最適な場所です。是非訪問されることをお勧めいたします。

 水平社博物館は、法隆寺がある斑鳩(いかるが)の里や飛鳥地域、吉野山にもほど近い場所に位置しています。水平社博物館と近隣の史跡巡りを兼ねた大和路散策などもお勧めです。



※1 大和同士会 1912年8月奈良市西之坂町明光寺で、部落改善と社会啓発をめざし、結成されました。
※2 NPO法人ほっとねっと(有料)

2013.3掲載

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