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見聞

「全国水平社」結成に導いた三青年〜部落差別からの解放〜(最終回)

◆ 水平社と平等会

▲創立趣意書『よき日の為めに』の表紙 ▲創立大会への参加を呼びかけたビラ

 1921年、燕会は部落民の自主的で全国的な差別撤廃運動を起こすことを決め、阪本が運動体の名前を人間の平等を水の平らかさに例えて「水平社」と名づけます。だが、この青年たちを危険思想の持ち主とみなした警察の尾行や、それを心配する親たちの反対にあいます。しかし、彼らは創立趣意書『よき日の為めに』の作成や発行・宣伝、同志へのオルグ、資金づくりなど、全国水平社創立に向けて精力的に活動を推し進めてゆきます。
 時を同じくして、各方面の有力者の協力を得た運動団体「大日本平等会」が創立大会を開催するための準備を進めていました。当時の『中外日報』には「平等会は運動資金も充実、何時にても事業に着手し得るが、水平社は資金を得る道すら見つからず…(中略)水平社の方は常に官憲の圧迫を受けて居るから余ほど固い意志を持たねば発会と同時に解散の憂き目を見るやもしれないと、前途を悲観しているものが多い」と書かれています。しかし、この報道が有志の反響を呼び、水平社へカンパが寄せられるという思わぬ結果につながります。
 1922年2月21日、大日本平等会は大阪中之島公会堂に知事や市長らを迎えて創立大会を開催します。形どおりの祝辞や挨拶が終わったときに西光が登壇し、来賓の本願寺僧侶がおこなった挨拶内容に対して鋭く気迫迫る演説をおこない、それに同志たちのアピールが続きました。その最中に頭上から、あと10日後に迫った全国水平社創立大会開催を案内するビラ1万枚が次々に舞い降ります。まさに大日本平等会創立大会は全国水平社創立の宣伝の場と化したのです。

◆解放の夜明け

当時の京都岡崎公会堂
▲当時の京都岡崎公会堂  1922年3月3日、夜半の雨が上がった京都駅前の旅館では、この日を迎えた感慨から水平社創立メンバーは夜明けを待てずに起き出していました。参加することは被差別部落出身者であることを証すことにつながることから、参加してくれる人たちの数を杞憂していたのですが、会場となった岡崎公会堂には、解放の夜明けを待ちわびた各地の熱き同士たちであふれていました。
 午後1時に開会。京都の南梅吉が開会の宣告をした後、阪本が経過報告をおこない、そして西光が起草して仲間と練りあげてつくった「水平社宣言」を駒井が読みあげました。
 静まり返った会場に駒井のよくとおる声が響きます。「全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ…(中略)水平社は、かくして生まれた。人の世に熱あれ、人間に光あれ」と。この模様を機関紙『水平』第1号は、「駒井氏の一句は一句より強く一語は一語より感激し来り、3000の会衆皆声をのみ面を俯せ歔欷(きょぎ すすり泣き)の声四方に起る。氏は読了(よみおわ)ってなほ降壇を忘れ、沈痛の気、堂に満ち、悲壮の感、人に迫る、やがて天地も振動せんばかりの大拍手と歓呼となった」と表現しています。そして、決議文は駒井が仲間として誘い込んだ創立メンバーで最年少の米田富(22歳)が読み上げました。

当時の京都岡崎公会堂
▲創立大会で配布された綱領と宣言

 このようにして創立大会は、参加者一人ひとりの胸に「部落民としての誇り」と「人間の尊厳」とに貫かれた水平社精神を強く刻みこみました。それはまた、被差別部落の人々への迫害の歴史の中から立ち上がった柏原の青年たちによって、日本ではじめての人権宣言が世に出た、記念すべき日でもありました。


◎協力 財団法人 水平社博物館

阪本清一郎
1892年1月7日〜1987年2月19日 全国水平社創立以来、中央委員を歴任して指導力を発揮した。また、ニカワ製造業の経営者、化学者でもある。
西光万吉
1895年4月17日〜1970年3月20日 本名・清原一隆。理論的指導者として運動を牽引した。戦後は独自の不戦和栄政策を提唱。
駒井喜作
1897年5月18日〜1945年11月1日 雄弁家であり、事務能力に優れ、全国水平社創立以降は執行委員として活躍した。

◆もっと詳しくお知りになりたい方は
 「水平社博物館」を是非ご見学ください。
住所 奈良県御所市柏原235-2
TEL.0745-62-5588
休館日 毎週月曜日・毎月第4金曜日(ただし、祝休日の場合は開館し、翌日休館)、年末、年始
入館料金 水平社博物館
個人団体
(20人以上)
小学生200円100円
中・高校生 300円 150円
大人500円400円
※障害をもつ方は無料
交通案内 近鉄橿原神宮前駅より「近鉄御所駅」行乗車
近鉄御所駅より「八木駅(神宮駅西口経由)」行乗車
停留所「群界橋(ぐんかいばし)」下車0.5km
又は、JR掖上(わきがみ)駅より1.2km

URL:http://www1.mahoroba.ne.jp/~suihei/

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