ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

クローズアップ

有識者から当会広報誌「明日へ」に寄稿していただいた記事の転載です

松波 めぐみ:誰も(私も) 取り残されない社会のために
~障害者差別解消法の運用実態を踏まえて~

プロフィール

大阪公立大学 非常勤講師
松波 めぐみ (まつなみ めぐみ)

大阪公立大学ほか非常勤講師
「障害者権利条約の完全実施をめざす京都実行委員会」事務局員

はじめに

障害者差別解消法(以下「解消法」)がスタートした2016年4月1日朝、私は京都のとある駅前で、仲間とともに道行く人にティッシュ配りをしていた。裏面に新しい法律の説明と、自治体の相談窓口の電話番号が記されたティッシュである。私は2008年から京都府で障害者差別解消条例を策定させるための運動にさまざまな障害種別・立場の人と関わってきており、その延長線上での街頭行動だった。法施行が変化のきっかけになってほしいと真剣に願っていた。

あれから6年、少しは風景が変わったと思う時もあるが、変化のスピードは遅く、もどかしい。この間、私は企業関係者や行政職員に向けて、解消法についての研修を数多く行ってきたが、熱心な企業とそうでないところの温度差は大きいと感じる。解消法はいずれ改正され(2021年5月に閣議決定、3年以内に施行)、合理的配慮が民間事業者にも「法的義務」になるが、それに対して、「過度な」要求を障害のある人からされるのでは?という不安の声も聞かれる。

本稿の主題は、解消法のこれまでの運用実態を踏まえて企業側がどう向き合っていくかということである。蓄積されつつある事例と私自身の体験をもとに書いてみたい。

掲載の一部イラストは内閣府・障害者差別解消法リーフレットより。

1.解消法はどんな法律で、なぜ改正されたのか

はじめに、解消法の基本である「社会モデル」の考え方と、解消法の枠組みをおさえておく。ご存じの方は読み飛ばしてかまわない。

障害のある人が生活の中で困難にぶちあたるのはなぜだろうか。この問いに対し、「その人の身体の一部が機能しないから」と答えるのが「障害の医学モデル」であり、まだまだ常識的な考え方だろう。そうではなく、「実際には多様な人がいるのに、健常者しかいないかのようにして社会がつくられてきて、いたるところに障壁=バリアがあるから」と答えるのが「障害の社会モデル」の考え方である。「健常者仕様」で社会がつくられてきたために、排除されてきた人がいるという認識を持つことが大切だ。解消法も、その大元である障害者権利条約(2006年に国連で採択)も、この「社会モデル」の考え方が基本にある。

聞こえない人が日本映画を楽しめないのは、日本語字幕が用意されていないためであって、聴力の問題ではない。車いすユーザーが、入口に段差がある建物に入れないのは、垂直移動の手段が確保されていないためであり、機能障害の問題ではない。少数者を排除する社会のあり方こそが問題なのだ。


◆解消法が定める「二つの差別」とは
解消法は、二種類の”障害のある人への差別”を禁止している。一つめは「不当な差別的取り扱い」。簡単にいえば「差別」だ。入店拒否など、正当な理由なしに障害のある人を排除または制限することを指す。

二つめが「合理的配慮の不提供」である。合理的配慮とは、障害のある人が物理的バリアや情報のバリアがあり困っていて、「こうしてほしい」(スロープを出してほしい、筆談してほしい等)と申し出をした時に、本人と対話しながらバリアの除去(環境の調整)を行うことである。十分な検討もせずに申し出を断ったらそれは「差別」になる。ただし求められた調整の中身が、人手不足や費用等によりどうしても難しい場合は、「過度な負担がある」ということになり、提供できなくても「差別」にはならない。

障害を理由とする差別の解消措置


◆なぜ「事業者は努力義務」だったか
2016年の施行にあたり、国と地方自治体に対しては合理的配慮の提供は「法的義務」と位置づけられたが、民間事業者には「努力義務」にとどまった。その背景には、設備面でも意識の面でも準備不足のまま「義務」にすると、民間事業者は大きな負担に感じ、かえって障害のある人を忌避することになるとの危惧があった。したがって「まず努力義務でスタートし、時間をかけて企業関係者や商店主らを啓発し、いずれは義務に改正する」という道筋が当初から示されていた。

民間事業者への法の周知は遅れ、差別は後を絶たなかった。「民間は義務じゃないから」と言い逃れをされることもあった。そこで障害者団体等は「法の見直し」を求め続け、2019年に障害者政策委員会(※1)で検討が始まった。2021年5月の参衆両院で改正案が可決成立した。改正後は、事業者による合理的配慮が義務になる(第8条2項)ほか、問題解決のしくみの整備がめざされている。

2.障害のある人は差別解消法をどう使ってきたか

ここでは、障害のある人がどんな時に差別に直面したと感じ、どんな行動を起こしたのか、うまくいったのはどういう場合か等を紹介し、若干のコメントを加えたい。事例5までは2021年秋の政策委員会における障害者団体ヒアリングの資料(※2)のものであり、事例6は私の目の前で起こったものだ。


事例1(入店拒否)
車いすユーザーが都内の飲食店で入店拒否された。店には「ベビーカー等の入店お断り」の貼り紙もあった。東京都障害者権利擁護センターに、再発防止のための解消法の説明と、貼り紙の変更を求めた。権利擁護センターから店に説明がなされたが、1年半が経過しても改善が見られない。東京都には差別解消条例(※3)があり、事業者の合理的配慮が義務付けられているにもかかわらず…。(日本ALS協会)

入店拒否イラスト

事例2(施術拒否)
クリニックに「車いすを使っている者だが施術を受けたい」と電話で申し込んだところ、「車いすだと施術は受けられない」と断られる。杖で歩けることを伝えても「障害を持つ人は全員断っている」と。行政に相談したところ法務局に回され、そこで止まってしまった。(DPI日本会議)


事例3(搭乗拒否)
視覚障害者1人で飛行機を利用しようとしたら、搭乗口で断られた。理由を聞くと「安全上の理由で、視覚障害者は介助者がいないと搭乗できない決まりになっている」と言われた。色々と交渉をしたが、目的の飛行機には乗れなかった。(日本視覚障害者団体連合)

事例1のようなケースは時折耳にする。解消法も都条例も違反した事業者への罰則はなく、正当な理由のない差別であっても店側が開き直ればそれまでだ。

事例2は、身体の状況について具体的に対話していれば問題なく施術が受けられたのに、おそらく漠然とした不安から拒否したケースだ。公的な窓口に相談したのに「たらいまわし」にされている。このようなことがないよう、法改正後はワンストップ窓口の設置が求められている。

事例3のように、単独での飛行機利用が「安全」を理由に断られることは多い。視覚障害者は要所要所でガイドしてもらえれば問題なく搭乗できるし、現に多くの人がそうしているにもかかわらず、だ。よく「非常時の安全」を持ち出されるが、リスクはどの乗客にもあり、搭乗拒否の理由にしてはならない。視覚障害者を過度に「リスクが高い」と思い込むのは、偏見である。
次の二つは好事例である。


事例4(スポーツジムの利用)
視聴覚二重障害者(盲ろう者)がスポーツジムを利用したいと申し込んだ。当初は、安全面の問題や支援できるスタッフが足りないという理由で利用を断られていたが、「同じ系列の他の支店では視覚障害者を受け入れている」という事例を紹介した。利用者、スポーツジム側双方による話し合いの結果、利用が認められた。このスポーツジムでは、利用者に盲ろう者がいることをポスターやホームページで啓発も行った。(全国盲ろう者協会)

スポーツジムの利用拒否イラスト

事例5(保険の契約)
家を購入する際の団体信用生命保険について、聞こえない者は三大疾病の特約は付加できないと言われた。「保険商品の知識があり、ろう者の特性を把握した者」が仲介し、金融庁からの差別事例等の情報も取り寄せたところ、聞こえない者と生命保険会社との対話がうまくいった。(全日本ろうあ連盟)

保険の契約イラスト

事例4は「前例」(※4)の情報と、話し合いによって事態が好転したケースである。一般の人から見て障害がとても重度の場合、「安全」を盾に断られがちだが、ふだん本人がどのように行動しているか、どのような支援があればいいかについて丁寧な対話をすれば、現実的な解決策が見つかるものだ。このジムは話し合いによって認識と態度を改めた。こうした変化を促すのが解消法の真骨頂だと思う。

事例5は情報を取り寄せていたことと、ろう者の特性を把握した人が仲介したことが良かった点である。生活背景をよく知っている人が間に入ることで、対話がスムーズに行われたものと推測できる。


事例6(バス乗車拒否)
2019年7月、私が非常勤講師をしている滋賀の大学の授業に、大阪の車いすユーザーの友人をゲスト講師として招いた。最寄駅から大学へ向かう路線バス(車体に車いすマークあり)に乗ろうとしたところ、運転手から「スロープの出し方、知らんねん」と言われ、乗車拒否された。次に車いすで乗車可能なバスが来るまで、45分間待たねばならなかった。

友人はバス会社に事実確認のメールを送った。社内調査の結果、会社側は非を認め、友人は謝罪を受けた。運転手は「発車間際で焦っていた」と弁明したそうだ。

このケースで良かったのは、地元の障害者のネットワークの協力が得られ、バス会社と話し合いの場を持てたことである。話し合いの場では、地元の車いすユーザーも加わって、率直に再発防止策を話し合えたのである。さらに二か月後、この乗車拒否について国土交通省近畿運輸局からバス会社への行政処分が下った。これは以前からある「道路運送法」の運送引受義務違反にあたると説明された。だが実際、かつては同様の乗車拒否は珍しくなく、抗議してもうやむやにされたことを思えば、やはり解消法の影響があったように感じる。

ちなみに当該バスの乗車拒否はこの時初めて起こったのではなく、車いすを使う学生たちも過去に乗車拒否に遭っていたことが判明した。しかし日常的にバスを使い、乗務員に介助される立場にいる学生が行動を起こすのは難しい。あきらめてしまう人がいることで、差別は繰り返される。法ができただけでは差別はなくならないが、私たちが法を頼みにして行動した(※5)ことで、少しは変えることができた。

以上のことから、対話の大切さや、ふだんから事業者側が研修等で認識をアップデートしておくことの重要性がわかるだろう。特に障害のある人自身を講師に招いた研修が広がってほしいと思う。

バス乗車イラスト

3.企業側に求められるもの

ここからは、企業関係者に研修を行ってきた立場から、特に感じていることを書いてみたい。

(1)「よかれと思って」差別をしないために
主観では「よかれと思って」行ったことが、障害のある本人にはまぎれもなく差別だという事例がある。その背景には、企業関係者が「障害のある人のふだんの生活や考え方を知らない」という認識のギャップがある。「つきそい」の問題もその一例だ。

事例3は視覚障害者の単独搭乗をめぐるものだったが、聴覚障害のある人も頻繁に「つきそい」がいないことで拒否されている(※6)。こうしたケースに対し「安全のためなら仕方がないのでは」と思う人はかなり多い。が、それは障害のある人を「守ってあげるべき無力な存在」とみなし、経験に基づく判断能力を持った大人と認めていないことになる。

だが、こう書いている私自身、障害のある友人や仲間と親しくつきあう前はどうだったかというと、心もとない。彼らの日常に触れ会話してきたお陰で、「つきそい」を求められることの理不尽さがわかる。だが直接接した経験に乏しければ、不安に思ってしまうものだろう。ただ、保護的に扱うことが権利を奪い、尊厳を傷つけうることは知ってほしい。

別の問題もある。介護が必要な車いすユーザーは介助者を伴って行動するが、あくまでも主体は本人である。隣に介助者がいても「本人に話しかける、本人と話す」のが大原則であるが、いまだに介助者と話そうとする店員・駅員によく遭遇する。本人から目をそらし、介助者に話しかける。大変に屈辱的なことだ。これは内閣府作成のリーフレットにも記載されるほどメジャーな差別だ(※7)。「そうは言っても、知的障害のあるお客さんなら…」と思われるかもしれないが、話してみないとわからない。知的障害のある人も、場に即したシンプルな言葉掛けなら理解できることは多いのだ。

差別をしないために有効な方法の一つは、「多様な障害のある人とふだんから友人や同僚としてつきあう」ことだろう。だが誰もがそんな環境に身を置けるわけではく、個人が体験できることには限りがある。「交流がない、知らない」ことは、個人の責任というより、社会全体が障害のある人を排除してきた歴史があってのことだ。だから、まずは「自分は知らないことがたくさんある」と自覚して、もし機会が訪れたら、謙虚に対話をしてみてほしい。

対話イラスト

(2)「クレーマー」を恐れるのでなく、愚直に対話を
合理的配慮について企業関係者に説明すると、次のような質問を受けることがしばしばある。

「目の見えない人から、うちにある書類を全部点字にしてくれと言われたら、そうしないといけないんですか?」「老夫婦だけでやっている小さな店が2階にあって、階段しかなかったら、それも『エレベーターをつけろ、つけないなら差別!』っていうことなんですか」

こうした極端な例を持ち出して、「差別じゃないですよね?」と同意を求める人は、「モンスター」のような障害者像をつくりあげている。かれらには、障害のある人と対面で話すことへの恐れがあるようだ。

解消法は、「まずは対話の席につく」よう促すのが大きな役割だ。障害のある人は長い間、対話する能力がないかのように扱われてきた。それが認識のギャップを生んできた。

障害のある人も、事業者側も不慣れだから、最初からスムーズに対話できなくて当たり前だ。それでも(自分の知識不足が露呈されることが恥ずかしいと思ったとしても)まずは対話の席につく。愚直に対話することで、障害のある人はモンスターではないとわかるだろう。


(3)企業努力だけでは難しい時
「合理的配慮の趣旨や意義は認めるが、企業規模や財政状況により障害のある人が求める合理的配慮が行えない場合、どうしたらいいのか」という質問もよく受ける。設備をバリアフリー化するための工事費用、手話通訳派遣費用など、予算がネックになることは確かにある。

私の答えは、「障害のある人が何を求めているのか、よく話し合ってみてください。率直に事情を伝えて、話し合う中で落としどころが見つかることもある」というものだ。

スロープの設置が困難であれば人力でお手伝いする(難しい場合もあるが)、手話通訳者の派遣がどうしても難しい場合にスマートフォンの音声認識アプリを使うなど、「歩み寄る」方法はさまざまにありうる。

なお、事業者が合理的配慮を行うための公的補助はもっと拡充されるべきだろう。たとえば兵庫県明石市は、独自の条例のもとで商店等が合理的配慮を行うための費用を15万円を上限に補助している。その結果、次々と筆談ボードやスロープを導入する店が増え、啓発効果があったと聞く。こうした制度を国レベルで設けることが、解消法を事業者や市民に普及させる助けになるだろう。

車いすを押すイラスト

おわりに

冒頭に書いたように、解消法第一日目、私は街頭に立っていた。隣で運動仲間が「私たち全員に関係のある法律です!」と言いながらティッシュを渡していたことを鮮明に覚えている。ほんとにそうだ。「障害のある人のための」法律ではない。誰でも、いつ心身の調子を崩したり、何かのウイルスに感染して後遺症を持ったりするかわからない。どんな病気や障害があっても、それを理由に不当な差別をされない社会(かつ必要な調整を求めてもいい社会)なら、安心して暮らし、働く(※8)ことができる。

解消法は、誰かが取り残されている時(バリアがあって他の人と同じサービスを利用できない時)、あきらめなくていいよ、合理的配慮を求めてもいいよ、と呼びかける法律でもある。バリアを取り除くのは、その人だけのためでなく、自分や身近な人を含めた社会全体のためなのだ。

「自分の会社が問題を起こさなければ、それでよい」ではなく、この法律がもっと広く知られ、よりよく運用されていくよう、あなたの力を貸してほしい。

家族イラスト


※1:障害者政策委員会とは、障害者基本計画の策定又は変更にあたって調査審議や意見具申を行うとともに、計画の実施状況のモニタリングや勧告を行うことを目的として、2012年に内閣府に設置された機関である。障害当事者やその家族が半数以上を占める。


※2:第56回・57回障害者政策委員会、基本方針改定に係る障害者団体からの意見一覧
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_56/pdf/s2.pdf
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_56/pdf/s3.pdf
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_57/index.html
なお、上記は障害者団体からのヒアリングの結果であるが、事業者団体が解消法をどう見ているかについては、第59回政策委員会の資料が役立つ。関心のある方は参照してほしい。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_59/pdf/s5.pdf


※3:東京都の障害者差別解消条例(正式名「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」)は2018(平成30)年10月1日施行された。国の法律(解消法)に先立って、民間事業者の合理的配慮も「義務」としたのが特徴である。解消法の前後から、地方自治体の条例は数多くつくられてきたが、解消法よりも権利擁護の点で進んだ内容の条例(いわゆる「上乗せ横出し」)をつくってもよい、とする附帯決議が、2013年の解消法成立の時についていた。ちなみに、私自身が京都府で参画した府条例では、解消法にはない「障害のある女性等への複合的な困難」という条文が入った。これも「上乗せ横出し」の例である。


※4:内閣府では、合理的配慮の事例を幅広く収集してデータベースを作っている。障害種別と生活の場面、両方から「前例」を探すことができ、便利である。
「合理的配慮等具体例データ集 合理的配慮サーチ」 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/


※5:SNSに乗車拒否の事実を淡々と投稿したところ炎上し、メディアの取材も受けた。これは会社へのプレッシャーとして効いたと感じている。


※6:レジャー施設「レゴランド」が2018年に、および「富士急ハイランド」が2021年に、いずれも聴覚障害のある人を「つきそい」がいないことを理由に利用を拒否する事案が発生した。
「レゴランド東京、聴覚障害者の入館断る 運営会社が謝罪」(2018.6.21)
https://www.asahi.com/articles/ASL6M44NCL6MUTIL01J.html
「富士急ハイランド、聴覚障害者の乗車拒否を謝罪」(2021.10.08)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_615e718de4b084c824106ffb


※7:「本人を無視して、介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかける」ことは不当な差別だと示すパンフレットのページ
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/gouriteki_hairyo/leaflet4.pdf


※8:働く上で合理的配慮が必要な場合、雇用主がそれを行うのは法的義務である。煩雑になるため、本稿では触れなかったが、雇用・労働にかかわる差別禁止と合理的配慮は、解消法ではなく、「障害者雇用促進法」で定められている。合理的配慮の規定を含んで改正されたものが2016年4月に解消法と同時に施行されたが、その後2020年にさらに改正されている。もしあなたが今後なんらかの体調の変化により、これまでと同様に働けなくなったとしても、職場環境で配慮を受けながら働くことを後押ししてくれる法律である。まちがいなく働いている人すべてに関係がある法律だ。




2022.7 掲載

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