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塩見 鮮一郎 「東京の同和問題と浅草弾左衛門」 (その6)

身分の引き上げ願い

挿絵  幕末になると、最後の弾左衛門は、灯芯の専売権によって儲けた莫大なお金を使って、自分達の身分の引き上げを町奉行に願い出るという、そういう作戦にでるわけです。十三代弾左衛門は、神戸のある被差別部落の家から養子にきますが、とても頭が良かったみたいです。17才の頃「おまえ弾左衛門の養子になれ」ということで、家に迎えがくるわけです。十二代弾左衛門は松本から養子にきたんですが、町奉行に気に入られなかったんです。十二代は、この時まだ20代で、彼とは10才くらいしか違わないんです。彼らは天保の頃から幕末まで一緒に新町に住んで、いろんなことを考えるわけです。

挿絵  十三代は身分引き上げを画策するわけですが、そう考えるいきさつには、きっと黒船や、西欧からのヒューマニズム、平等主義、自由主義といった思想が、彼の頭の中に入ってきて決意したんだと思うんです。ここから今日の被差別部落の問題がはじまったんだと思うんです。それまでは、彼らはこういう制度の中に入って、代々同じことをやって来て、270年位続くわけですね。それがそうではないという風に彼らが思った時から、この身分引き上げの要求、俺たちも人間だという要求をどうしてもせざるを得なくなったんだと思うんです。町奉行(幕府)というのは、彼らの生殺与奪権を握っている存在で、そこに向かって身分を引き上げてくれというのは、余程の勇気がいると思うのです。勿論、幕府もすぐに「うん」とは言いません。

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