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レッツトライ

ひろがる人権問題<シリーズ2>「生命倫理」

科学技術の進歩に伴い、人権問題も複雑化してきます。「人権の世紀」といわれる21世紀を迎え、これからの人権問題として生命倫理の問題を考えてみましょう。

(1)遺伝子検査と人権

医療技術の進歩に伴い、生命倫理を新たな人権問題として考えることが不可欠になっています。
出生前診断や生殖医療・体外受精による胎児の人権、脳死・臓器移植の問題など、先端医療に関わる人権問題は多岐にわたりますが、その中で21世紀最大の人権問題は、遺伝子検査の問題であるといわれています。
日米欧は「ヒトゲノム計画」としてヒトの遺伝情報であるゲノムの解読を進めていましたが2000年初頭に米国のベンチャー企業がヒト遺伝子の約90%を既に解読し、残りすべての解読を2000年夏までに終えると発表したことを受けて、作業終了の目標を2003年に早めました。また、この米国企業が意図するヒトの病気に関する遺伝子の特許申請を阻止するため、これまでに得られた遺伝子情報を全て公開するとしています。
ゲノムは「生命の設計図」ともいうべきもので、約30億対の塩基配列からなるヒトゲノムが解読できれば、ヒトの寿命や病気の秘密に迫れることになります。そして遺伝子と病気の関係が明らかになれば、各人がどんな病気になりやすいかが分かり、個性に合わせた予防的な遺伝子治療や医薬品の投与など、オーダーメイドの医療が可能になります。
現在、ほとんどの病気や肥満、老化なども遺伝子が関係しているといわれています。しかしながら、遺伝子がすべてを決定する訳ではありません。遺伝子が限りなく近い一卵性双生児といえども、寿命や病気まで同じではないことを見れば、食生活やストレスなどの環境因子が加わることによって個人差が生じることが分かります。

(2)遺伝子による差別

21世紀は、生活の中に、ごく普通に遺伝子の話題が入り込んでくることが予想されます。遺伝子診断は病気を予防したり治療をする上では画期的な技術であり、絶大な医療への貢献が期待されますが、一方で、そのことが社会生活上にもたらす影響もまた、非常に大きいものが見込まれます。
将来、多くの人が遺伝子検査を実施するようになり、どのような病気にかかりやすい体質かが分かるようになった場合、就職・結婚などに際し、判断に大きな影響を与え、遺伝子による差別が発生する可能性があります。
クローン技術のヒトへの応用の是非をめぐる問題など、人間が人間の遺伝子をどこまで操作できるのかという、倫理的な問題もありますが、遺伝子情報の内でも特に病気に関係のある個人情報については、プライバシーの保護が決定的に重要になります。
これらの問題を未然に防ぐために、遺伝子情報の取り扱いに係るルールを整備し、遺伝子による差別を防止する公正な社会システムを構築する必要があります。


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