私たちは企業の立場から人権の輪をひろげるため、人権に関するさまざまな情報を発信しています。

レッツトライ

なぜ企業が人権問題に取り組むのか?

企業が同和問題をはじめとして、さまざまな人権問題の啓発や研修に取り組む背景について考えてみましょう。


企業の目的は「利益と成長」を求めることに加え、企業も地域の一市民として社会的問題に取り組むという機能をもつことが重要となってきています。これからの企業は社会問題に取り組み、社会全体の利益を考えることが大切な要素です。物の豊かさだけでなく、心の豊かさを求め人権問題や環境問題などに取り組み、明るく豊かな社会づくりに貢献していかなければなりません。

【市場環境の変化と企業】
   市場の未成熟時代 市場の成熟時代
需要と供給の関係 需要>供給 需要<供給
経営の考え方 顧客満足度の優先 顧客満足度の優先
経営の実践 企業利益の優先 顧客満足度の優先
市場の主導権 企業 顧客
力関係 企業が顧客を選ぶ 顧客が企業を選ぶ
 
【企業に対する社会的要請】
1960年代 公害問題
1970年代 エコロジー運動
1980年代 地球環境保全運動
1990年代 人権問題・社会貢献
 

求められる企業像は、人権意識にあふれ社会に貢献する企業です

・人間の尊重
人権を巡って、今日は社会的にも様々な動きがみられ、社会の人権に対する意識は一段と高まり、厳しい目で物事を見ています。企業は社会、社会を構成する顧客・従業員と共存・共生しており、あらゆる場で顧客・従業員の人権についての意識をもつことが必要です。
  
・環境の保護
環境問題も重要な課題です。環境破壊は人の命を脅かします。自社の利益だけを考え、環境への配慮を怠り公害問題などを放置すれば社会全体の利益を損ないます。企業は皆が幸せに生きていくために、環境の保護に努めなければなりません。
  
・グッドカンパニーへ
企業の評価基準は、「企業の利益」と社会および消費者、また従業員から見た「人類益」が矛盾しないことが重要です。今までのエクセレントカンパニーからグッドカンパニーとして、すなわち企業市民として社会全体の利益を考えていかなければなりません。


(2)企業の取り組みの背景

○差別撤廃・人権確立の法整備や法遵守も日本国内・国際的見地から要請されています。

  • 1965年(昭和40年)に「同和問題は憲法の基本的人権にかかわる問題であり、これを未解決のまま放置することは絶対許されず、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である…」とした同和対策審議会答申が出されました。この答申を具体化するために、1969年(昭和44年)に「同和対策事業特別措置法」が時限立法として制定され、同和問題の解決にむけてハード面(住宅・道路・上下水道など)の事業が展開されてきました。
      
  • 1960年代は、日本経済の成長に伴いさまざまな歪みが発生し、国民の企業を見る目が厳しくなりました。公害や環境破壊の問題が深刻化し、企業に対する社会的責任論が生まれ、1967年(昭和42年)「公害対策基本法」が成立しました。以来、企業モラル・倫理が強調され「人間尊重の精神」を根底にした企業経営が求められるようになってきています。
      
  • 1994年(平成6年)「人権教育のための国連10年」が国連の場で決議・採択されました。1997年(平成9年)発表された国内行動計画では、学校教育、社会教育の場とともに企業内研修啓発を通して「人権文化」の創造・構築が求められています。
      
  • 1997年(平成9年)「人権擁護施策推進法」が5年間の時限立法として施行され、人権教育および啓発に関する施策の推進ならびに人権救済について審議されています。
      
  • そのほか、雇用における男女の均等な取り扱いをより実効あるものにするため、1999年(平成11年)「男女雇用機会均等法」・「労働基準法」・「育児・介護休業法」等の法律が改正施行(一部1998年より施行)されました。さらに男女共同参画社会を形成させるための基礎的条件づくりとして、「男女共同参画社会基本法」も制定されました。
      

○しかしながらこの間、企業の社会的責任が追求された差別事象も生じています。

  • 「同和対策審議会答申」後10年、1975年(昭和50年)に企業の差別体質が社会に問われた、いわゆる「部落地名総鑑」などの差別図書の存在が明るみに出ました。この図書を利用して同和地区出身者を不採用にしていた企業もあり、企業の社会的責任が追求され、企業にとって大きなテーマとなりました。
      
  • 1998年(平成10年)に大手調査会社による「差別身元調査事件」が発覚。この調査会社と関わった企業は1400社にもおよび、人権の大切さが浸透している今日にあって、より悪質な差別事件として改めて企業の差別体質が問われています。
      

○人権意識の高まりのなかにあって、今なお続く差別事件。

  • 企業は、再度原点に戻って公正な採用選考の実施とあらゆる業務運営を人権の視点から見直し、人権を尊重する企業文化の形成が求められています。
      
  • 企業の反社会的行為に対する責任を問われるだけでなく、近年、通常の企業行動に社会的責任を問われるようになってきています。企業評価の基準が多様化し、SA8000、グローバル・コンパクトなど、企業行動のガイドラインが示されており、社会的に責任ある企業めざし、それらを採用する動きが今後強まることでしょう。

戻るホームに戻る