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自殺対策基本法


 日本における自殺者数は、1998(平成10)年に3万人を超えてから、8年連続でほぼ同じような水準で推移しています。2005(平成17)年の自殺者は32,552人で、性別では男性が23,540人で全体の72.3%を占めています。また、年齢別の状況では、「60歳以上」が10,894人で全体の33.5%を占め、次いで「50歳代」、「40歳代」、「30歳代」等の順となっています。(警察庁統計)
 このような状況の背景には様々な社会的要因が関係することから、2006(平成18)年6月に自殺対策基本法が公布され、自殺予防対策が社会的な取り組みとして行われることとなりました。
 自殺対策基本法の概要等は次のとおりです。

◆自殺対策基本法の概要

○目的
自殺対策を総合的に推進して、「自殺の防止」、「自殺者の親族等に対する支援の充実」を図り、国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与する。

○内容の概要

 1 基本理念
(1) 自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取り組みとして実施されなければならない。
(2) 自殺が多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることを踏まえ、単に精神保健的観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されるようにしなければならない。
(3) 自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施されなければならない。
(4) 国、地方公共団体、医療機関、事業主、学校、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者の相互の密接な連携の下に実施されなければならない。

 2 国、地方公共団体、事業主、国民のそれぞれの責務
(1) 国は、自殺対策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
(2) 地方公共団体は、国と協力しつつ当該地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有する。
(3) 事業主は、国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、雇用する労働者の心の健康の保持を図るため、必要な措置を講ずるよう努める。
(4) 国民は、自殺対策の重要性に対する関心と理解を深めるよう努める。

 3 政府による自殺対策大綱の策定と、国会への年次報告
(1) 政府は、推進すべき自殺対策の指針として、基本的かつ総合的な自殺対策の大綱を定めなければならない。
(2) 政府は、毎年、国会に、わが国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 4 国・地方公共団体の基本的施策
(1) 自殺の防止等に関する調査研究の推進並びに情報の収集、整理、分析及び提供の実施並びにそれらに必要な体制の整備
(2) 教育活動、広報活動等を通じた自殺の防止等に関する国民の理解の増進
(3) 自殺の防止等に関する人材の確保、養成及び資質の向上
(4) 職域、学校、地域等における国民の心の健康の保持に係る体制の整備
(5) 自殺の防止に関する医療提供体制の整備
(6) 自殺する危険性が高い者を早期に発見し、自殺の発生を回避するための体制の整備
(7) 自殺未遂者に対する支援
(8) 自殺者の親族等に対する支援
(9) 民間団体が行う自殺の防止等に関する活動に対する支援

 5 内閣府に、関係閣僚をメンバーとする自殺総合対策会議を設置
   会議は、次の事務をおこなう。
(1) 自殺対策大綱の案を作成する。
(2) 自殺対策について、必要な関係行政期間相互の調整をする。
(3) 自殺対策に関する重要事項について審議し、自殺対策の実施を推進する。

◆自殺予防の総合的な取り組み

 自殺の発生に様々な社会的要因があることから、政府は、2005(平成17)年9月に自殺対策関係省庁連絡会議を設置して、省庁の枠を超えた自殺予防対策の総合的な取組みを検討し、同年12月に「自殺予防に向けての政府の総合的な対策について」を取りまとめました。
 この中では、自殺の実態解明や予防のための正しい理解の普及・啓発、相談体制の充実、また、自殺未遂者や自殺した人の遺族などのケアといった各種の自殺予防対策を、関係省庁、地方自治体や民間団体などとの連携で実施していくこととなっています。
 2006(平成18)年6月、自殺対策基本法が国会で可決・成立したことにより、自殺対策はいよいよ社会的な取り組みとして行われることとなりました。自殺の悲劇を防ぐために、政府と民間団体が協力し、地方自治体、関係省庁が一体となってこの問題に取り組んでいくことになりました。

自殺予防の総合的な取り組み
資料提供 厚生労働省

<参考>

(1)自殺者は交通事故死者の約5倍

 わが国の自殺者数は、警察庁の統計によると、1997(平成9)年の2万4,391人から1998(平成10)年には3万2,863人へと急増しました。その後は3万人を超えて推移しています。2005(平成17)年中の交通事故による死者数が6,871人であることを考えると、交通事故死者の5倍近くの方が自殺により亡くなっていることになります。


(2)自殺は個人の問題だけではない

 自殺の真の理由を知ることは難しいことですが、自殺した人の心理を分析していくと、自殺を自ら選んだのではなく、追いつめられ、どこにも行き場がなくなり、唯一の解決策が自殺しかないという状況に追い込まれる過程が見えてくると言われています。このような過程でうつ病を発症し、正常な判断が出来なくなることもあります。一方、2005(平成17)年中の自殺者の原因・動機別の割合をみると、健康問題による自殺が全体の46%、倒産、失業、負債、生活苦などの経済・生活問題を原因とするものが24%、家庭問題を原因とするものが9%、勤務問題が6%となっています。


※政府広報オンライン、厚生労働省、警察庁のホームページ等より


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