私たちは企業の立場から人権の輪をひろげるため、人権に関するさまざまな情報を発信しています。

くらし

高齢者・障害者に配慮のモノづくり

 日本製品の品質向上などに寄与してきたJIS(日本工業規格)に、「高齢者や障害者に配慮したモノづくりの推進」が加わることになった。強制力はないが、国が規定を定めたことで、これまで個別に進められてきた製品のバリアフリー化(だれにでも使いやすく)に拍車がかかると期待される。

 JISは1949年に制定された国家規格で、鉱工業製品の標準化により、品質の改善・向上▽生産の合理化・能率向上▽互換性を保ち消費の合理化・利便性を図る——などを目的にしている。
 最近、バリアフリーの観点から標準化の調査・研究が行われ、第一弾として包装・容器についての高齢者・障害者配慮設計指針が10月20日に公示された。

 握力が低下したり視力が衰えた高齢者、視覚障害者を含むだれにも識別できて使いやすい包装・容器にするように素材を違えたり、切り込みやぎざぎざを入れる、触覚記号、点字、凸記号、浮き彫り表示、絵文字の採用を求めている。

 また、開け口の場所が分かりやすいように、周囲とは色彩やコントラストを変え、適切な表示をし、触覚でも分かるようにする。
 例えば、缶入り酒類は、点字や浮き彫りで中身を表示▽飲料用パックは切り欠きで、調味料容器はふたのデザインで中身を区別▽シャンプーとリンスは、シャンプーだけぎざぎざを入れる——などだ。

 このほか、短冊を引けば容易に開けられる紙箱、ねじ式容器の場合はふたに縦に大きな溝を付け滑らないようにする、フィルム容器のはがし用舌は大きく、缶のふたは引っ張って開けるプルタブなど、握力が弱っても開けやすいようになど具体的な例をあげている。

 包装・容器を皮切りに、電気、電子機器、情報通信機器、OA機器、玩具(がんぐ)、健康・衛生機器、設備機器などの操作性、それらの機器のオン・オフスイッチ(凸点、凸バー)の標準サイズ、形状、表示などの指針や、ISO(国際標準化機構)の「消費者生活用製品の取扱説明書」「消費者のための製品情報」を翻訳したものをJISとして順次公示し、来年は衣料品や機器の警報音の規格も定める予定だ。

 日本包装技術協会は「かつて容器は中身をいかに保護するかが主眼だったが、これからは開けやすさも重要な課題だ。企業も個別に取り組んできた。両立させるのは難しいことだが、強制力はなくても、規格ができたので普及してゆくのではないか」と話している。

容器ふたのデザイン例

【鈴木志津子】
平成12年11月19日 毎日新聞


戻るホームに戻る