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見聞

国立ハンセン病資料館

国立ハンセン病資料館

 国立ハンセン病資料館(東京都東村山市〈旧高松宮記念ハンセン病資料館〉)が2007年4月1日にリニューアル・オープンしました。
 ハンセン病は、かつて「天刑病(てんけいびょう)」・「業病(ごうびょう)」と呼ばれ、患者やその家族まで根強い差別や偏見にさらされてきました。資料館は、疾病に関する博物館施設としては唯一の国立施設で、ハンセン病に関するものならば過去の歴史はもちろん、全国にある国立・私立療養所の資料をあまねく収集し、最新の医学・世界のハンセン病事情などの諸情報を集積・発信しています。資料館は国立療養所多磨全生園に隣接した敷地に立地していますが、ここから何を語ろうとしているのでしょうか。

◆ 資料館の目的

 資料館は、「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」、「ハンセン病入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」前文および第一条(趣旨)、第十一条(名誉の回復等)に基づき国が実施する普及啓発活動の一環として、ハンセン病に対する正しい知識の普及啓発による偏見・差別の解消及び患者・元患者の名誉回復を図ることを目的としています。

◆ リニューアル・オープンまでのあらまし

 1992年に財団法人藤楓協会が創立40周年を迎えた折に、1952年から総裁としてハンセン病問題に尽力をされた故高松宮宣仁親王殿下を追慕するとともに、過去100年にわたるハンセン病を取り巻く社会の変遷と諸事業の歴史を明らかにし、後世に資するための記念資料館として、1993年6月25日に「高松宮記念ハンセン病資料館」として開館しました。
 その後資料館の建物は、国に寄贈され管理は藤楓協会が行っていましたが、2003年に解散し、現在は社会福祉法人ふれあい福祉協会が国の委託を受けて運営しています。1998年「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」が熊本地方裁判所において提起され、2001年5月に原告側勝訴判決が言い渡されました。政府は控訴を断念して「内閣総理大臣談話」を発表する中で「ハンセン病資料館の充実」を表明しました。「談話」を受けて増改築に着手した資料館は、1年半の休館期間を経て2007年4月にリニューアル・オープンを迎え、館名を「国立ハンセン病資料館」と改めました。

「山吹舎」の再現展示
▲ 1928(昭和3)年に全生病院(現多磨全生園)に建てられた男性独身寮「山吹舎」の再現展示。12畳半の部屋で8人が雑居生活をしていました。
「証言映像」コーナー
▲ 「証言映像」コーナーの様子。手前にあるのは療養所の中で実際に使用されていた補助具と同じものを使用体験できる「ハンズ・オン・コーナー」。
特別病室(通称重監房)の復元 ← 栗生楽泉園に設置された特別病室(通称重監房)の復元。明かり取りの窓からわずかな光が差し込んでいます。
▲ 資料館内の様子

◆ 資料館施設のご案内

●展示室
 約1000平方メートルの展示室は3つに分かれており、見学には1時間程度かかります。
 展示室1は「歴史展示」と題し、ハンセン病の歴史を通して見る、患者・回復者やその家族への偏見と差別、人権の回復についてあつかっています。
(1)古代から近世まで(古代から明治初期)、(2)患者収容のはじまり(1920年頃まで)、(3)隔離の強化(1945年まで)、(4)化学療法と患者運動(1996年まで)、(5)らい予防法廃止と国家賠償請求訴訟(1996年から)と5つに時代を区分し、ハンセン病に関する歴史的な事項を一覧できるようになっています。
 展示室2は「癩(らい)療養所」と題し、日本における1930年代の療養所での暮らしを中心に、患者やその家族の置かれた状況や待遇についてあつかっています。
 展示は(1)癩の「宣告」と収容、(2)療養所の衣食住、(3)癩の治療、(4)患者作業、(5)療養所内の秩序維持、(6)結婚、断種、中絶、(7)療養所の中の学校、(8)社会の偏見、(9)療養所の中の死で構成され、患者が療養所へ向かい、その中でどのような生活・人生を送っていたのかを来館者が追体験しながら理解を深めることができます。
 展示室3は「生き抜いた証」と題し、患者・回復者が厳しい状況の中をどのように生き抜き、生きる意味を見出してきたのかについてあつかっています。
 展示は(1)不治から可治へ、(2)生きがいづくり、(3)医療の進歩、(4)日本のハンセン病療養所の今、(5)海外のハンセン病事情、(6)共存・共生をめざして、(7)資料館の諸施設、で構成され、最新のハンセン病医学情報、海外事情、療養所の現状などを知ることができます。「証言映像」コーナーでは、全国のハンセン病関係者から集めたインタビュー・ビデオを自由に視聴できます。

●映像ホール
 大型スクリーンを備えた視聴覚ホールです。座席数は175席。

●図書室
 ハンセン病に関係する図書を自由に閲覧できる付属図書室です。蔵書数は、約1万2000冊。

●そのほか、企画展示室や研修室などの諸設備を利用し、さまざまな教育プログラムを催しております。

◆ ハンセン病への差別・偏見を無くすためにできること

 現在、国内のハンセン病療養所入所者数は2900人を切り、平均年齢も79才に達していますが(2007年5月現在)、ハンセン病に対する差別・偏見は関係者の努力の甲斐あって薄まりつつあります。しかしながら世界に目を移しますと、インド・ブラジル・インドネシアなどをはじめとして毎年約30万人の新患者が発生しており、ハンセン病自体はMDT(多剤併用療法)により完治するにもかかわらず、罹患した人やその家族への差別・偏見は依然として根強く残っています。
 「ハンセン病問題」はさまざまなことがらが複雑にからみ合い、一見すると近寄りがたい難問に見えます。全ての人がハンセン病に関する正しい知識を得ることができれば、無知から来る差別・偏見に惑わされなくなるのではないでしょうか。国立ハンセン病資料館は、私たちにハンセン病について知る機会を提供してくれています。

※おことわり
「癩」「らい」という言葉は、過去様々な偏見を伴って用いられ、患者及びその家族の方々の尊厳を傷つけてきたことなどを踏まえ、現在「ハンセン病」を用いておりますが、「国立ハンセン病資料館」では、固有名詞や歴史的史料を引用する資料など、必要最小限の範囲で使用しております。


■アクセス案内

国立ハンセン病資料館アクセス案内


■来館案内
・住 所 〒189-0002 東京都東村山市青葉町4-1-13
Tel 042-396-2909 Fax 042-396-2981
・休館日 月曜および「国民の祝日」の翌日
ただし、月曜が祝日の場合は開館
年末年始・館内整理日
・開館時間 午前9:30〜午後4:30(入館は午後4:00まで)
入館料無料
・西武池袋線  清瀬駅南口から西武バス 久米川駅行き・所沢駅行きで10分(「ハンセン病資料館」で下車)
・西武新宿線 久米川駅南口から西武バス 清瀬駅南口行きで約20分(「ハンセン病資料館」で下車)

■ホームページ
http://www.hansen-dis.jp/

(注)掲載にあたっては、国立ハンセン病資料館から資料提供をいただいています。


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