私たちは企業の立場から人権の輪をひろげるため、人権に関するさまざまな情報を発信しています。

見聞

食肉の歴史と人権 〜日本の食肉市場をリードする東京食肉市場〜

 皆さんは食肉市場や、と場(とじょう)のことをご存知ですか。食肉市場や、と場は新鮮で安全な食肉を安定的に供給し、私たちの食生活を豊かにするという大変重要な仕事を行っており、全国各地に所在しております。東京の食肉市場(東京食肉市場・芝浦と場)は、品川インターシティを中心とした高層ビル街と新幹線停車で都内でも今最も脚光を浴びている品川駅東口にあります。大消費地を抱え、牛や豚の大きな出荷先として全国の生産地から期待を集めており、また食肉市場での取引価格は、全国の目安とされ、わが国における食肉取引価格の形成にも重要な役割を担っています。

 食肉市場・と場の業務・役割等について皆さんに正しく理解され、また親しまれる開かれた市場作りと市場の活性化を図ることを目的に2002年12月同市場センタービル内6階に「お肉の情報館」が開設されました。館内はAVルームと展示コーナーに分かれ400平米のスペースを持っています。

展示物はパネルが中心

展示コーナーはパネル展示が中心で、入口を入ると先ず「芝浦と場・東京食肉市場の歩み」のパネルがあります。食肉市場・芝浦と場は、1936年開設以来、都民の皆さんに安全で新鮮な食肉を安定的に供給するという大切な役割を担っており、パネルではその歴史について分かりやすくまとめられています。

衛生的かつ近代的な解体作業ライン

写真
▲「と畜解体作業の流れ」を一本のレールで結ぶ  「と畜解体作業の流れ」のコーナーでは、全工程を一本のレールで結び、生体から枝肉になるまでイラストで示しています。そして、それぞれのポイントごとに実際の作業の様子を20数枚の写真で説明されています。またイラストのほかに解体用のナイフも展示されています。

 作業場は極めて清潔に保たれ、解体作業は自動車生産ラインのごとく整然とした流れ作業で行われています。BSE騒ぎ以来日本のと場では一頭一頭全て検査が為されています。全数検査を実施しているのは日本だけとのことで、日本のお肉は世界一衛生的かつ安全であるといえます。

▲パネルに見入る見学者  と場での作業について漠然とした知識しか持ち合わせておらず、その作業についてマイナスイメージを持っている人もおられると思いますが、機械化・自動化の進んだ解体ラインを見た時、驚きを感じる人もあられるのではないでしょうか。職員の説明によると、『日本では仏教の影響等から、食肉習慣の定着が遅かった為、家畜を解体することに対しマイナスイメージを持つ人が多くいるようですが、食肉文化の欧米では一流の解体の技術を持った人は尊敬されているそうです。

 欧米人並みの食肉習慣が根付きつつある日本では未だに生きている牛や豚がどのような作業を通して食肉になるのか理解している人はあまりいません。と畜解体作業の実際とそこで働いている人たちの姿を少しでも多くの方々に理解していただけるよう、このコーナーでは表現に工夫しました』とのことでした。

肉の商品知識もバッチリ

▲牛・豚の枝肉模型  リアルな実物大の牛と豚の枝肉の模型がある「肉部位・等級の説明」及び「市場取引の流れ」のコーナーでは、 枝肉・部分肉が卸売業者により、せり売りされ仲卸業者・小売業者を経て消費者へ流通していく仕組みが理解できます。なお内臓肉はせりにかからず定価で業者に引き取られます。肉の部位・等級に詳しくなればおいしい肉にありつける機会も増えることでしょう。

と畜に対する正しい理解が偏見を無くす

 「食肉の歴史と人権」コーナーでは、 食肉の歴史について、日本は明治維新に至るまで長く肉食の習慣が禁止されてきましたが、実際はどうであったのかが理解できます。日本でも昔は肉食についてはタブーではなく、豊かな食肉文化があったことを示す遺跡の写真、さらに肉食が禁止されていた江戸時代でも「山くじら」と称して猪肉を客に売る店の繁盛している様子の絵などと、明治時代以降文明開化時の牛鍋屋の絵など興味深い展示品が並んでいます。

▲送付されてきた悪質な文章 「人権」については、書籍等におけると場に対する差別表現の実際の例と、食肉市場・芝浦と場に対し送られてきた悪質な差別文書、インターネットの書き込み等が展示されています。
 展示された書籍には、と場における作業に対する偏見から、解体作業をことさら残酷に捉えたり、そこに従事する職員の人格すら否定するような表現がみられます。

 『歴史的に見て、牛や馬の処理や皮革の製造はもっぱら被差別部落の人たちが担うものとされてきました。ここに展示されているような、と場・食肉市場に対する差別意識の背景には、このような被差別部落の問題があると思います。と場・食肉市場に勤める人に対する差別は後を絶ちません。解体作業は、人間にとって必要不可欠な食肉を維持することであり、この情報館を通じ、と場に対する偏見を払拭していく努力も続けて行きたいのです』

 『一人でも多くの方に見学いただき、食肉市場・と場に対する正しい認識を持っていただくことが大切であると思っています』、との職員の方の言葉が、大いに実感できる施設です。是非一度ご見学ください。

お肉の情報館ご利用案内
問合せ先 東京都港区南2丁目7番19号
TEL 03-3474-4731
FAX 03-3474-8567
※見学にあたっては事前にお申し出ください。
開館時間 午前9時〜午後5時
休館日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
入場料 無料
交通アクセス
JR線・京浜急行線 品川駅港南口 徒歩3分

戻るホームに戻る