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クローズアップ

塩見 鮮一郎 「東京の同和問題と浅草弾左衛門」 (その7)

奥医師松本良順との出会い

挿絵  幕末になり政情が不安定になりますが、薩長の人が弾左衛門に会うために、新町にやって来るようになるんです。そのことが、今度は幕府の耳に入ります。これを、一番心配したのは松本良順という医者であります。この人はトントン拍子に偉くなりまして、奥御医師という地位、つまり殿様の脈をみる位に達するんです。その頃、良順は塾もひらいていたのですが、そこに一人新町から来ている人がいたんです。その人に良順は「実はお前の所、新町に行って見たいのだ」という話をするんです。するとその人が、十二代目が絶えず下痢がちだという話をするんです。「じゃ、十二代目を診てあげよう」と彼は言うわけです。奥御医師の松本先生が「十二代のお腹を診てあげようと言っていますがどうしますか」ということで、弾左衛門の家では相当びっくりするわけです。

 この話は、良順がどうしても行くということで実現するんですが、ただ陸路を通ることは出来ないということで、隅田川の大川橋辺りから船に乗って行くことになります。

挿絵  十二代将軍の脈を診ている医者ですから、弾左衛門のほうは当然恐縮するわけです。良順は私に任せなさいと、その代わりに薩摩につくなよと釘を刺します。十三代の弾左衛門は負けずに、実は身分引き上げをお願いしたいんですがと言います。お金はいくら払ってもいいので、まず自分から、そして新町全員へ、それから関東地方全体ということで順番に引き上げてほしいと、壮大なことを彼は要望します。

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