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クローズアップ

塩見 鮮一郎 「東京の同和問題と浅草弾左衛門」 (その5)

灯芯の専売権

挿絵  次に、弾左衛門の経済の基になった灯芯についてお話しします。灯芯はイグサから取りますが、灯芯の使い方は菜種油を入れた皿に入れて火を灯すわけです。もう一つはロウソクに入れるんです。日本橋の近くにいっぱいあったロウソク問屋が、灯芯を買ってロウソクにして売るんです。江戸城とかそういう所で使うんですが、この灯芯の専売権を江戸幕府の非常に早い時期に、弾左衛門は貰うんです。この専売権を持つ、これが物凄い金になるんです。最初はそれ程でもなかったと思うんですが、江戸がどんどん大きくなったのと、もう一つは人々が収入を増やすために夜なべ仕事をやるようになるんです。そういう状況もあって、灯芯の使用量がうなぎ上りに増加して、専売権を持っていた彼らの収入たるや凄いものになるんです。

挿絵  灯芯用のイグサを作るのは、茨城県の取手とか何カ所かあるんです。村々の百姓たちは幕府の決定に従い、弾左衛門にイグサを安い値段で売るわけです。村々と弾左衛門の間で取引関係が成立するわけです。問屋はマージンを取られるわけですから、黙っていたくないわけでして、幕府に働きかけたり、取手に実際に買いに出かけるんです。それは困るじゃないかということで、弾左衛門が町奉行に訴えるわけです。そんな中で、弾左衛門が一番打撃を受けるのは、天保の改革の際の占め売り禁止令が出たときです。その時は、専売権がなくなりましたので、弾左衛門は赤字になります。もうやっていけないという訴えを町奉行に起こしております。このように、いろんな事件がありながら、ともかく幕末までこの権利を持ち続けます。

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