基礎知識

公正な採用選考の確立をめざして

 一人ひとりの人間にとって、「就職」は、生活の安定や社会参加を通じての生きがい等、自己実現するための極めて重要な意義を持っているものです。日本の憲法は「職業選択の自由」を基本的人権の一つとしてすべての国民に保障しています。職業選択の自由とは、誰でも自由に適正や能力に応じて職業を選べるということです。
 このことを実現するために企業においては、同和問題や基本的人権についての理解を深め、差別のない公平で公正な採用選考を行い、就職の機会均等の保障に向けて取り組んできているところですが、残念ながらいまだに身元調査事件が明らかになるなど、就職にまつわる差別事象が発生しています。今後とも、基本的人権を尊重し、応募者の適性・能力を基準とした公正な採用選考の確立をめざして、一層の努力をすることが必要です。
 公正な採用選考の基本的な考え方、就職差別につながるおそれのある事項等についてのポイントは次のとおりです。

◆ 公正な採用選考にあたっての基本的な考え方
○「人を人として見る」人権尊重の精神、すなわち応募者の基本的人権を尊重する。
応募者の「適性・能力のみ」を基準として行う。


◆ 選考基準・選考方法のチェックポイント
1. 職務遂行能力を条件とした公正な基準ができているか?
2. 公正に評価する方法がとられているか?
3. 応募者の基本的人権を尊重する体制がとられているか?
4. 応募者の資質や長所を見出すための配慮がなされているか?
5. 募集・応募書類は適正なものか?
6. 採用選考を目的とした画一的な健康診断を実施していないか?


◆ 次の事項について質問や作文を課すこと等は、就職差別につながるおそれがあります
戸籍に関すること 本籍・家族関係は本人の能力や適性に無関係。特定の地域の出身者を排除する調査にもつながる
家族や家庭環境について 家族の職業・収入・学歴・住居状況・財産の有無などは職業選考に不要「親がこうだから子もこうだ」式の考え方は予断と偏見に満ちた発想
思想・信条について 宗教・支持政党・尊敬する人物・購読新聞・愛読書などに関して採用前に知ることは何らかの憶測をもって応募者を見る意図がある
自宅付近の略図 特定の地域を割り出したり、身元調査に利用すると考えられる。選考段階では不必要
画一的健康診断 健康診断は適正配置・健康管理に役立てるものであり、血液検査など採用職種によって必要が認められないものはやらない
個人の生活・容姿など 恋人の有無やスリーサイズなどを聞くことは、興味本位以外の何事でもなくセクシュアル・ハラスメントにも繋がる行為

●本人に責任のない事項
 1. 本籍・出生地に関すること
 2. 家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
 3. 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
 4. 生活環境・家庭環境に関すること

●本来自由であるべき事項
 5. 宗教に関すること
 6. 支持政党に関すること
 7. 人生観、生活信条などに関すること
 8. 尊敬する人物に関すること
 5. 募集・応募書類は適正なものか?
 9. 思想に関すること
10. 労働組合、学生運動など社会運動に関すること
11. 購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること

●その他の事項
12. 身元調査などの実施
13. 全国高等学校統一応募用紙・JIS規格にない事項を含んだ応募社用紙の使用
14. 特に必要な場合を除く、採用選考時の健康診断の実施


※1 東京都産業労働局、東京労働局・ハローワーク 2007.2「採用と人権」より
※2 厚生労働省ホームページ、東京労働局ホームページ資料等より
※3 関連リンク(ホームページ「ひろげよう人権」)
  



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