基礎知識

在日コリアンの人権について(3)

4.1945年〜現在まで

【法的地位について】

(6)在日コリアンの国籍には、「韓国」籍と「北朝鮮」籍があるのですか?

 現在、朝鮮半島には大韓民国(以下、韓国とする)と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮とする)というふたつの国家があります。そこで、在日コリアンの国籍を「韓国」籍と「北朝鮮」籍があると考えがちですが、これは誤りです。
 現状の外国人登録制度上では、在日コリアンの国籍表示にあたっては「韓国」と「朝鮮」のふたつの表記が存在しています。
 1947年5月2日、明治憲法下最後の勅令として外国人登録令が施行され、当時、植民地朝鮮の出身者は日本国籍を持ちながらも外国人としてみなされることになり、外国人登録上、国籍等の欄に出身地である「朝鮮」という表記をすべての朝鮮出身者に適用したのです。1948年に、朝鮮半島には韓国、北朝鮮の両政府ができ、その後、1966年の日韓条約批准をへて、1960年代後半から外国人登録の表示を「朝鮮」から「韓国」に切り替える人が増えました。
 このようにみると、「朝鮮」籍とは、単に出身植民地をあらわし、その後、「韓国」籍に変えなかったもので、「朝鮮」籍イコール「北朝鮮」籍でないのがおわかりいただけると思います。現在「朝鮮」籍を持つ在日コリアンには、北朝鮮を支持する人が多いのは事実ですが、「韓国」籍を持ちながら北朝鮮を支持する人もいます。また、どちらも支持しないという意味で当初の「朝鮮」籍をそのままに残している人もいるのです。

(7)「外国人登録証明書」って何ですか?

 外国人登録法により、90日以上日本に滞在する外国籍住民が常時携帯を義務づけられている一種の「IDカード」といえますが、日本政府が外国人を管理するための手段のひとつといえるでしょう。
 1960〜70年代には、不携帯が発覚すると警察署で取り調べや、刑事罰を受けたりしました。現在も常時携帯の義務は残っていますが、罰則規定は行政罰に緩和されました。
 現在の「外国人登録証明書」はカード式で、本人のサインが印刷されていますが、以前は、カード上にサインのかわりに指紋のコピーが印刷されていました。
 在日コリアンはこの「外国人登録証明書」を「犬の鑑札」になぞらえていました。日本人はこのような住民カードがないのに、外国籍住民だけに登録証明書の常時携帯を強要するのは、外国人を特別視し、日本社会を支える住民としてとらえる人権的観点が希薄なことに起因しているといえるでしょう。

(8)在日コリアンの参政権はどうなっていますか?

 朝鮮が植民地であった1925年から1942年までのあいだ、国政・地方選挙において当時の朝鮮出身者は参政権を持っていました。被選挙権がありましたから、国会議員や地方議会議員などに当選した朝鮮出身者もいたのです。戦後の1946年、第一回衆議院選挙が行われ、女性がはじめて参政権を行使しましたが、この選挙から旧植民地出身者(当時、日本国籍を持っていたが)には参政権が認められなくなりました。以来、今日にいたるまで、国政・地方選挙において在日コリアンには参政権がない状態が続いています。
 1993年、大阪府岸和田市議会が「定住外国人に対する地方選挙への参政権など人権保障の確立に関する要望決議」を採択しました。以来、千数百の地方議会において同様の趣旨の決議が採択されています。
 1995年、最高裁判所は永住外国人の地方選挙での選挙権付与に関して、憲法には禁止されてはいないと明言し、国の立法政策次第であるとの判断を下しました。このような流れを受けて、多くの地方自治体では、住民投票に永住外国人の投票権を認める状況が出現しています。
 外国籍住民であっても納税の義務を果たしている限り、地方選挙における参政権(選挙権・被選挙権を含む)を保証している諸外国の例もあります。

(9)在日コリアンと結婚するのですが、子どもの国籍はどうなりますか?

 在日コリアンの最近の婚姻状況をみると、約80%が日本人との結婚という統計があります。このような傾向は今後も変わらないでしょう。このような国際結婚から、在日コリアンを両親の一方にもつ韓国・朝鮮系日本国籍者の子どもの増加が予想されますが、在日コリアンとの間で生まれた国籍は、次の通りとなります。
《父が日本国籍、母が韓国(朝鮮)籍の場合》
子は日本と韓国(朝鮮)の重国籍です。出生届の提出により、父が日本人ですから子どもは日本国民として扱われ、父の戸籍に記載され、父の日本姓を名乗ることになります。
《父が韓国(朝鮮)籍、母が日本国籍の場合》
子は韓国(朝鮮)と日本の重国籍です。しかし、出生届の提出により母が日本人ですから日本国民として扱われ、母の戸籍に記載され、母の日本姓を名乗ることになります。
この場合、子は父の姓を名乗ることはできません。
 子が父と同じ韓国(朝鮮)籍を取得するためには、日本国籍を離脱する手続きが必要となります。この国籍離脱手続きをしない場合でも、子は22歳までに国籍選択(日本国籍、韓国籍、朝鮮籍)をしなければなりません。
 
 なお、在日コリアンと日本人との婚姻において、国籍の変動(国籍の得喪)はありません。一方の配偶者と同じ国籍を取るためには、国籍取得の手続きを取らねばなりません。在日コリアンの配偶者が日本国籍を取ることは可能ですが、日本人配偶者が韓国あるいは北朝鮮国籍を取ることは、日本、韓国、北朝鮮の戸籍法または国籍法の関係から事実上、不可能といえます。


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