基礎知識


障害者の雇用・就労を実質的に進めるための「特例子会社制度」
「障害者基本計画」が、新たに2003年から2012年にかけて実施されています。この計画の中には、障害者法定雇用率 (民間企業は1.8%) 未達成の改善、及び義務雇用となった知的障害者の雇用促進があげられています。
 2002年度厚労省統計の一般の民間企業における障害者雇用状況は、実雇用率で1.47%、そして6割近くの企業が法定雇用率未達成であるなど、依然として低い水準に留まっているといえます。このような状況を踏まえて、民間企業の障害者雇用をさらに実質的に進めるために、また知的障害者の雇用義務を果たしていくためにも、改正された「特例子会社制度」の活用は有効な方法です。今回はこの「特例子会社制度」を取り上げます。
特例子会社制度とは
特例子会社制度は、企業に対する障害者の雇用義務の特例として、障害者に配慮した子会社を設立した場合に、親会社の実雇用率に算入できる制度です。
 また、障害のある人にとっては、その特性に配慮した仕事の確保、就労する上での職場環境の整備、そして仕事や生活への指導が行われ、その能力をさらに引き出せるといわれています。また、この特例子会社の活用にむけては、法律上さまざまな改正が行われ、障害のある人の雇用を後押ししています。
特例子会社制度の改正について
1.特例小会社の設立要件の緩和について
 1997年に改正された「障害者の雇用の促進に関する法律」では、親会社及び子会社(関係会社)を同一の事業主体とする特例子会社は、要件を満たした場合に限り、その設立に係わる、親会社・子会社の要件が緩和されました。(図1参照)
図1. 設立要件の緩和
親会社に係わる設立要件 緩和要件
1. 親会社が子会社の意志決定機関を支配していること。(支配力基準は、子会社の株式所有または資本総額の50%以上を出資していること)
親会社と営業上の関係が密で、常時相当量を受注している事という要件の廃止。
2. 子会社への役員派遣、従業員派遣の出向等、人的交流が密であること。(注)連結決算となり得る子会社が対象となります。
3. 労働大臣の認定を受けていること。
子会社に係わる設立要件 緩和要件
1. 株式会社、または有限会社であること。
2. 雇用障害者数が5人以上、そのうち重度身体障害者及び知的障害者の合計数が30%以上であること。
雇用すべき従業員の数が10人以上から5人以上に緩和。
3. 従業員に占める障害者の割合が20%以上であること。
障害者の占める割合が30%以上から20%以上に緩和。
4. 障害者のための施設・設備を改善し、職業生活の指導をする指導員を配置するなど障害者雇用に特別な配慮を行っていること。
 この改正によって、企業はその体力にあった規模で、また親会社の事業にとらわれることなく、特例子会社を設立し事業を展開することが可能となっています。
2.企業グループでの法定雇用率制度の適用について
 2002年の改正で、公共職業安定所長の認定を受けた特例子会社を有する親会社は、関係する他の子会社(関係会社)についても、特例子会社と同様、親会社と通算した雇用率制度が適用されることになりました。つまり企業グループは、一定の要件を満たせば、親会社、子会社(関連会社)、及び特例子会社の障害者雇用の合計者数が、障害者雇用率に適用されることが可能となっています。(図2参照)
図2 . 2002年10月から企業グループでの雇用率制度が適用となりました
 
3.設立に向けた助成金の活用について
 特例子会社の設立に向けた助成金として(1)作業施設設置等助成金、(2)重度障害者介助等助成金、(3)特定求職者雇用開発助成金、(4)その他、障害者トライアル雇用事業等があります。このことは民間企業にとって有利ですが、設立に当っては、この助成金も含めて、関係機関と十分な協議を行う必要があります。
 以上のように、「特例子会社制度」は企業グループ全体で障害者雇用を促進していくものであるとともに、障害のある人の雇用・就労をより実質的に進めるものとして注目したい制度です。
※特例子会社設立に関しては、行政・事業主団体・専門機関の一体となった支援も行われており、相談窓口として、東京労働局・ハローワークの他に、東京経営者協会 TEL03-5204-1913、(社)東京都障害者雇用促進協会 TEL03-3288-5321、東京障害者職業センターTEL03-3989-9651等があります。




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