色覚検査廃止

 長年にわたり誤解を受けてきた「色覚障害」の歴史がようやく変わり始めた。厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく省令を改正し、新入社員を対象に実施する健康診断(雇入時健康診断)で義務付けられていた色覚検査を廃止し、10月1日から施行された。

 色覚検査については、危険な場所を色で表示している場合などに、色覚障害の人を配置するのは不都合があるとして義務づけられていた。しかし、現在では、色覚障害と判断されても大半は支障なく仕事ができることが明らかになっている。それにもかかわらず、採用した後で、入社を取り消す事例も報告されている。こうしたことを背景として、このたびの改正となった。

 (1)色覚障害
 一般的にいう先天性<色覚障害>者に対する差別。具体的には、色覚検査で<異常>と判断されたものに対する入学、就職、国家試験などでの不当な制限ならびに<色が見えない>という誤解や憶測、遺伝的形質からくる偏見を指す。家庭不和や結婚差別の例もみられる。諸外国においては、学校での画一的な検査や入学・就職差別や社会的偏見はほとんど存在しない。

 (2)偏見の是正
 「色覚障害」についての社会通念として、「色盲」や「色覚異常」という表現が示すとおり、「色の見分けがつかない」「自動車の運転は無理だ」「教師や技術者には不向きだ」などの強い偏見があり、就学・就職についての機会均等が奪われる状態がありました。
 しかし、今では、そのような行き過ぎた制約は反省され、ほとんどの学校は門戸を開き、企業も適性と能力により選考を行うようになっています。

 (3)用語の変遷
 視力による色彩についての障害は、「色覚異常」とよばれていますが、かつては、「色盲」と言われていたこともありました。「盲」という五感に、たとえば「文盲」や「盲信」のように、マイナスイメージが植え付けられていることもあり、現在では「色盲」という表現は、医学専門用語として使用される以外には、使われることはなくなっています。
 ところで、「色覚異常」という言葉にも「異常」という部分に差別性が感じられるとの指摘から、最近ではさらに改めて「色覚障害」という、より適切な表現が広がりつつあります。





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