国際社会と日本の人権<シリーズ1>「人権思想の歴史」

 過去の人権確立の歴史を振り返り、発展経過をたどることにより、私達が現代社会の人権の内実を理解する。

■ 解 説

(1)人権分野の拡大

1.第一世代の人権
フランス人権宣言(1789)に盛りこまれた権利は、表現の自由や信教の自由、職業選択の自由や居住・移転の自由などの、主として自由権利的基本権(自由権)と言われるものでした。なぜなら、フランス人権宣言は、人々の生活を隅から隅までしばりつけていた絶対主義体制の打破を目的としたフランス革命が生み出したものであったからです。

2.第ニ世代の人権
フランス革命やフランス人権宣言以降、誰もが予測しなかった新しい社会問題が生じてきました。例えば、多くの失業者、子どもたちが学校にも行けず、働かなければ食べていけないこと、住む家もない貧しい人々が都市にあふれてきたことです。こうした状況の改善を求めて労働運動が活発に展開されていくとともに、社会主義をめざす運動も力を持ってきました。
このような時代背景のもとに、1919年ドイツで制定されたワイマール共和国憲法には新しい人権として、社会権的基本権(社会権)が盛りこまれました。この社会権の中には、働く権利、教育を受ける権利、社会保障を受ける権利、労働組合を結成したりストライキをする権利などが含まれています。

3.第三世代の人権
第2次世界大戦以降、植民地支配を受けていた国が次々と政治的独立を遂げていきました。1970年以降、文化や情報の面においても発展途上国が対等に評価される必要があるとして、「新国際情報秩序」を樹立する必要が主張されようになってきました。そして、1986年の国際連合では、発展途上国において人権を確立するためには、国際社会が「発展の権利」を承認しなければならないとする宣言を承認したのです。
こうして、人権の分野はフランス人権宣言以降「自由権」「社会権」「発展の権利」と拡大してきたのです。

(2)対象の拡大
フランス人権宣言は、歴史的な意義を持ったものでしたが、女性を排除していたという決定的な欠陥を持っていました。また、フランス人権宣言が大きな影響を及ぼした独立直後のアメリカの憲法は下院議員の選挙に際して、有権者数を算定する方式として黒人5人で白人3人とみなす、というあからさまな差別条項を含んだものでした。
ところが、今日では、人権を考えるに際して、その人が男性であるか女性であるか、白人であるか黒人であるか、その人の先祖の身分が何であったかどうかなどは、全く関係ありません。人権は全ての人に保証されなければならないのです。

(3)世界への拡大
アメリカの憲法やフランス人権宣言の直接的な効力は、アメリカやフランスが直接支配していた地域に限定されていました。その点では、1948年12月10日、第3回国連総会で採択された世界人権宣言は画期的な意義を持っています。この世界人権宣言こそが、長い人類史上はじめて、世界中どこであっても、また誰であっても、すべての人に人権が保証されなければならないことを公的に明らかにしたからです。

【「はじめての人権問題」(部落解放研究所編)】より



「世界人権宣言についてはこちらを参照してください。」






同和問題 在日韓国・朝鮮人問題 障害者 性差別 人権全般 外国人その他