基礎知識

アメリカの雇用平等政策の概要
(その2)

EEOCの機構

 EEOCは、連邦政府機関であり、大統領から任命され、上院の承認を経て決定さ

れる代表顧問(GENERAL COUNSEL)と5人の委員(COMMISIONER)で構成さ

れており、委員の中から、大統領は議長と副議長を任命します。委員の任期は5

年、代表顧問は4年となっています。

 議長はEEOCの運営上の責任者で、委員はEEOCが管轄する雇用平等法に関する

全米レベルの政策を策定するとともに、EEOCが訴訟を起こすことを決定する権限

をもっています。また、代表顧問はEEOCが起こした訴訟に関して、法律上の責任

を負います。

 EEOCの本部は、首都ワシントン、事務所は全米50カ所、職員は約3,000名で、

うち弁護士は約500名、調査官が約800名となっています。


雇用差別の形態

(1)人種・皮膚の色・出身地に基づく差別

(2)性に基づく差別

 セクシュアル・ハラスメントは、この性に基づく差別の一種とみなされてい

ます。

(3)宗教に基づく差別

 宗教による差別を禁ずるだけではなく、宗教上の信念に妥当な便宜をはかるこ

とも要求しています。雇用者は従業員が、信仰上の信念からくる衣装を着用する

ことや、宗教上の休日をとることを、妥当な範囲内で認めなければなりません。

(4)年令に基づく差別

 採用、昇進、給与などに関して、40歳以上の人を年齢を理由に差別することは

1967年の年齢差別禁止法で禁止されています。

(5)妊娠・出産およびこれに関する体調に基づく差別

 1978年にタイトルVIIが改正され、妊娠差別禁止法が成立しました。この法律

は妊娠中に就労可能な状態にある女性や、妊娠や出産に伴い一時的に就労できな

くなった状態にある女性に対する待遇を、妊娠や出産以外の原因で同様な状態に

なった人々と同じようにすることを求めたものです。

(6)障害に基づく差別

 肉体的、精神的な障害を理由に差別することは1990年の障害者差別禁止法に

よって禁止されています。


雇用差別に対処するプロセス

(1)調査

 職場で差別を受けた、あるいは採用に際して差別的な対応をされたという訴え

がEEOCへあった場合、まず、フィールド・オフィサーと呼ばれる職員が調査を

して、EEOCの管轄するどの法律に違反した行為であるかを判断することになりま

す。

(2)和解勧告

 違反行為があったと判断された場合、EEOCは和解を勧告します。

(3)提訴

 和解が成立しない時、EEOCでは、提訴するかどうかについて、委員の投票を行

い、過半数の委員が訴訟の必要性を認めると、代表顧問は連邦裁判所に民事訴訟を

起こすことになります。

 個人の雇用差別の訴訟が特定の保護グループ全員に該当すると判断される場合

はEEOCは、しばしば個人訴訟を共同訴訟に変更します。

 EEOCが訴訟の必要性を認めなかった場合には、個人が、民事訴訟を行なうこと

ができることになっています。

 なお、タイトルVIIや年齢差別禁止法に関する訴えは直接EEOCにだすのではな

く、まず州や自治体の雇用平等機関に提出するといったように、EEOCと州や

自治体の雇用平等機関とは、運営面で、さまざまな協力関係をもっています。


救済措置

 これらの法的なプロセスを通じて、雇用差別の被害者は次のような救済措置を

受けることが出来ます。

(1)バックペイ(損失補償)

 バックペイとは、和解や判決に基づき解雇や不採用の期間の給与や正当な賃金

との差額を支払うことで、実際毎年何百万ドルのバックペイが支払われています。

(2)慰謝料・懲罰金

 さらに、バックペイのような実質的な損害に対する救済だけではなく、1991年

の公民権法の成立により、多額な慰謝料や制裁的懲罰金も経営者に課せられるよ

うになりました。

(3)復職・採用・昇進

 さらに、EEOCにより、復職、採用、昇進など、雇用差別の被害者を救済するた

めの様々な措置がとられています。

代表的な雇用平等法(連邦法)
法律名管轄法律の対象要約
公民権法タイトルVIIEEOC従業員15人以上の企業人種、皮膚の色、出身地、宗教、性別、妊娠・出産およびそれに関連する体調不調を理由とする労働条件に関する差別を禁止
年齢差別禁止法EEOC従業員20人以上の企業40歳以上の中高年齢者に対する差別を禁止
同一賃金法EEOCほぼすべての企業性別に基づいて賃金に差をつけることを禁止
障害者差別禁止法EEOC従業員15人以上の企業身体障害者に対する差別の禁止
セクション1981管轄機関はないほぼすべての企業人種、皮膚の色に基づく差別の禁止
移民管理改革法連邦司法省特別評議局従業員4人以上の企業市民権や出身地を理由とする差別の禁止


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