就職は、生活の安定や勤労を通じた社会参加など、豊な生活を営むうえで極めて重大な意義を持っています。わが国の憲法や職業安定法では、「職業選択の自由」すなわち就職の機会均等等をすべての人に保障しています。
これまで企業では就職差別をなくすため、(1)採用選考時の面接において、応募者の適性と能力には全く関係のない「家族構成」や「家族の職業」などを質問したり、「戸籍謄(抄)本」や「住民票」あるいは「自宅付近の略図」などの提出を求めない、(2)国の施策である「公正採用選考人権啓発推進員」の設置など、公正な採用選考システムの確立に向けて取り組んでいます。
就職における応募用紙については、1973年度からは全国高等学校統一用紙が作られ、家族欄、保護者欄、印鑑欄の削除など幾度の改訂がおこなわれました。一般的な「JIS規格履歴書」についても、本籍欄が削除されるなどの改訂がおこなわれています。
また、採用選考時の健康診断や応募者(求職者)等の個人情報の取り扱いについても、適正におこなうことが重要となります。概要は次のとおりです。
◆採用選考時の健康診断
労働安全衛生規則第四十三条に基づく「雇入時の健康診断」は、常時使用する労働者を雇い入れた際における適性配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務づけたものではなく、また、応募者の採否を決定するために実施するものではありません。
また、健康診断の必要性を慎重に検討することなく、採用選考時に健康診断を実施することは、応募者の適性と能力を判断するうえで必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれがあります。
採用選考時に健康診断を実施する場合には、健康診断が「応募者の適性と能力を判断するうえで真に必要か」「求人職種の職務遂行に関係ある検査項目になっているか」どうかを慎重に検討することが必要です。
◆求職者等の個人情報の取り扱い
職業安定法では、労働者の募集業務の目的の達成に必要な範囲内で募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集、保管、使用しなければならない旨規定されています。
また、併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない個人情報等が規程されています。
次の個人情報の収集は原則認められません。
(1)人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる
おそれのある事項
・家族の職業、収入、本人の資産等の情報
・容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報
(2)思想及び信条
・人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
(3)労働組合への加入状況
・労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
違反したときは、
(1)違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する
(2)改善命令に違反した場合は、罰則(6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が
科せられる場合があります。
※厚生労働省、ハローワーク飯田橋ホームページ等より