ご存じですか
雇用及び職業についての
差別待遇に関する条約
(ILO第111号条約)

 1998年6月に明らかとなった大阪の調査会社による「差別調査事件」を 教訓として、労働省・ハローワークなど各自治体、関係機関及び企業など により、公正な採用選考システムの確立に向けた取り組みが行われています が、各方面から、ILO第111号条約の批准を求める声が高まりつつあります。
 そこで、以下この条約を紹介します。

雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(ILO第一一一号条約)

採択 一九五八年六月二五日 国際労働機関総会第四二回会期
効力発生 一九六〇年六月一五日
日本国  未批准
 
 国際労働機関の総会は、理事会によりジュネーブに招集されて、一九五八年 六月四日にその第四二回会期として会合し、この会期の議事日程の第四議題 である雇用及び職業における差別に関するいくつかの提案の採択を決定し、 これらの提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定し、フィラデル フィア宣言が、すべての人間は、人種、信条又は性にかかわりなく、自由と 尊厳、並びに経済的保障と機会均等の条件のもとに物質的福祉及び精神的 発展を追求する権利を持つことを確認していることを考慮し、さらに、 差別は、世界人権宣言により宣明された諸権利の侵害となることを考慮して、 一九五八年差別(雇用及び職業)条約と称する次の条約を一九五八年六月 二五日に採択する。


(定義)
第一条
一 この条約の適用上、「差別」とは、次のものをいう。
 
(a) 人種、皮膚の色、性、宗教、政治上の意見、民族的出身又は社会的出身 に基づいて行われるすべての区別、除外又は優先で、雇用又は職業における 機会又は待遇の平等を破り又は害する効果をもつもの。
(b) 雇用又は職業における機会又は待遇の平等を破り又は害する効果をもつ その他の区別、除外又は優先で、当該加盟国が、使用者の代表的団体及び 労働者の代表的団体がある場合にはそれらの代表的団体及び他の適当な団体と 協議の上、決定することのあるもの。
 
二 特定の業務についてその固有の要件に基づく区別、除外又は優先は、 差別とみなしてはならない。
 
三 この条約の適用上、「雇用」及び「職業」とは、職業上の訓練を受ける こと、雇用されること及び個々の職業に従事すること、並びに雇用の条件 〔terms and conditions〕をいう。


(国内政策)
第二条
 この条約の適用を受ける各加盟国は、雇用及び職業についてのいか なる差別を除去するために、国内の事情及び慣行に適した方法により、雇用 又は職業についての機会及び待遇の平等を促進することを目的とする国内政策 を明らかにし、かつ、これに従うことを約束する。


(国内政策の実施)
第三条
 この条約の適用を受ける各加盟国は、国内の事情及び慣行に適した 方法により次のことを行うことを約束する。
 
(a) 前記の政策の受諾及び遵守を促進することにつき、使用者団体及び 労働者団体並びにその他の適当な団体の協力を求めること。
(b) 前記の政策の受諾及び遵守を確保するに適当とされる立法を制定し、 かつ、そのような教育計画を促進すること。
(c) 前記の政策と両立しないすべての実定法上の規定を廃止し、かつ、 行政上のすべての命令又は慣行を修正すること。
(d) 国の機関の直接管理の下にある雇用について、前記の政策に従うこと。
(e) 国の機関の監督の下にある職業指導、職業訓練及び職業紹介の部門の 活動について、前記の政策の遵守を確保すること。
(f) この条約の適用に関する年次報告において、前記の政策に従って 執った行動及びその結果を記載すること。


(治安と差別)
第四条
 国家の安全を害する活動について正当に嫌疑を受けている者又は この活動に従事している者に影響を及ぼすいかなる措置も、差別と みなしてはならない。但し、当該個人は、国内の慣行に従って設置 される権限ある機関に訴える権利を有する。


(特別の保護・援助と差別) 第五条
一 国際労働機関の総会が採択した他の条約又は勧告で定める特別の 保護又は援助の措置は、差別とみなしてはならない。
 
二 すべての加盟国は、性、年齢、廃疾、世帯上の責任、又は社会的 もしくは文化的地位を理由に、特別の保護又は援助が必要であると一 般に認められている特定の必要を満たすことを目的とする他の特別の 措置を差別とみなしてはならないことを、使用者の代表的団体及び労 働者の代表的団体がある場合にはそれらの団体と協議の上、定めるこ とができる。


(非本土地域への適用) 第六条
 この条約を批准する加盟国は、国際労働機関憲章の規定に従って、 非本土地域にこの条約を適用することを約束する。


(批准の通知) 第七条
 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知しな ければならない。


(発効) 第八条
一 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長により 登録されたもののみを拘束する。
 
二 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後 一二箇月で効力を生ずる。
 
三 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が 登録された日の後一二箇月で効力を生ずる。


(廃棄) 第九条
一 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた 日から一○年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に 通知する文書によってこの条約を廃棄することができる。その廃棄 は、それが登録された日の後一年間は効力を生じない。
 
二 この条約を批准した各加盟国で、一に掲げる一○年の期間の 満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないもの は、さらに一○年間拘束を受けるものとし、その後は、この条に 定める条件に基づいて、一○年間の期間が満了するごとにこの条 約を廃棄することができる。


(事務局長の通報事項) 第一〇条
一 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けた すべての批准、宣言及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告しなけ ればならない。
 
二 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関 の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずるについて加盟国 の注意を喚起しなければならない。


(国連事務総長への通報) 第一一条
 国際労働事務局長は、前諸条の規定に従って登録されたすべての 批准、宣言及び廃棄の完全な明細を国際連合憲章第一○二条による 登録のため国際連合事務総長に通知しなければならない。


(改正) 第一二条
 国際労働機関の理事会は、この条約の効力発生の後一○年の期間 が満了するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出しな ければならず、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題 を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。


(本条約と改正条約との関係) 第一三条
一 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約に新たに採択す る場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 
(a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件 として、第一六条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃 棄を伴う。
(b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が 効力を生ずる日に終了する。
 
二 この条約は、この条約を批准した加盟国で改正条約を批准 していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式 及び内容で引き続き効力を有する。


(正文) 第一四条 この条約の英語及びフランス語による本文は、ひとしく 正文とする。
(末文署名省略)

(「部落解放・人権法令資料集」第2版より)

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