働く人のメンタルヘルス(その2)

 
  
岡田 ユキ
●プロフィール
1948年 東京生まれ、小田原・函館で育ち
1972年 東北大学医学部卒業後、岩手県立病院(内科・精神科)
東北大学付属病院(心療内科)
呉羽総合病院(心療内科部長)
梅田病院(院長)を経て
1991年 横浜労災病院心療内科部長に
2001年 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長に就任
医学博士

【主な著書】
「ストレス一日決算主義」(NHK出版)
「メンタルヘルスマネジメント」(PHP研究所)
「自律神経失調症」(永岡書店)
「ストレス教室」(新興医学出版社)
「心の疲れを楽にする50のヒント」(ぎょうせい)などその他多数
ポートレイト


働き甲斐をもって仕事をする

 次は、労働です。みなさんは、日々の労働に生きがいを感じていますか?自分の存在価値を感じていますか?たとえば、あなたの仕事が顧客のニーズにこたえ、会社の売上げや利益に貢献したとしましょう。それにより社会的評価が高まれば、その人の労働は周囲の人や会社、ひいては社会の役にたっていることになります。そうした評価は、ストレスを解消し、やりがいという充足感に満たされるでしょう。こういう気持ちを得ることは健康にとって非常に大切です。もちろん、会社の売り上げなど、目に見えて貢献していることだけが、労働ではありません。家族の役に立つ家事も立派な労働です。大切なことは、自分が誰かに支えられて生きていることを実感し、その代わりに自分も誰かを支えている意識をもって生活すること、それが大切なのです。



働く人のメンタルヘルス
  (社会的な健康とは)  

(1)周囲と良い関係ができている。
(2)周囲の人たちに役にたっている。
(3)仕事など日々の活動に生きがいを感じる。
(4)自分の存在意義を感じる。



運動する習慣を・・・

 睡眠に関しては、眠りたいときに眠るのがメンタルヘルス的には一番よいでしょう。しかし、現代生活において眠りたいときに眠れる環境にいる人は、ほんの一部でしょう。ただし、どうしても眠いときは、ちょっとだけ仮眠をとることをおすすめします。
 また、一般的に言われている「早寝早起き」ですが、正確にいえば、「早起き早寝」が正しいでしょう。早く寝ようとすると寝られないものですが、早く起きようとすれば、自然と早く起きられるもの。そして、早起きをすれば夜も早く眠くなります。逆転の思想で、とにかく毎日早く起きるクセをつけてみましょう。
 休養も大事です。長時間続けての作業は、能率の低下を招きます。特に、コンピュータ―の前に一日中座っている生活は心をむしばみます。食後の一家団欒や、ゆっくりと入浴を楽しむことなど、日常生活で積極的に心と身体を休ませる時間をとりましょう。





食生活を見直す

 最後は、食事です。食事の基本はなんといっても三食ちゃんと食べることです。その中 でも朝食をとることは大事です。よく、胃がむかつくので朝食が食べられないという方がいますが、夜寝る前の食べすぎが胃のむかつきを招いているのでしょう。残業後の一杯な どは心休まる時ですが、あまり食べ過ぎないように気をつけることも必要です。そして、朝食は一日の活動源ですから、朝はしっかり食べて出かけるようにしましょう。また、食事はただ食べればよいというものではありません。仲間や家族と会話をしながら、楽しんで食事をとること、これが大切です。
 こうした5つの基本を守っていけば、まず、過度なストレスがたまることはありません。
 そのうえで、たまったストレスはその日のうちに、解消することが必要です。一日15分で構いませんので、自分が好きなことや熱中できることに時間を使うようにしましょう。それでも、悩みや不安が大きいときは、ストレス解消ができない時もあるでしょう。そのときは、一人で考えこんだり、抱えこまず、どうぞ周りの人に相談してみてください。特に、男性の方は一人で悩みがちです。実は、女性は男性に比べると約2倍もうつ病にかかりやすいと言われます。原因の一つは、男性に比べると女性のほうが環境の変化が大きいことです。
 たとえば、結婚や出産、育児など、人生の転機のなかで環境の変化を受けやすく、これがストレスの多さになっていると考えられます。でも、女性は困ったとき、周囲に相談したり、医師への受診率が男性に比べて高いのです。ですから、自殺率も男性の半分以下です。ストレスを受けやすいけれど、ちゃんと相談をしたり、現実的に対応できるのが女性です。 一方、男性は、誰にも何も言わず、死を選んでしまうのです。追い詰められる前に、一言誰かに相談しましょう。精神的に追い詰められているとき、どんな人でも冷静な判断をすることはできません。どうか、生きることをやめないで頂きたいと思います。



朝食を抜く人に多い心身症状

身体症状 精神症状
・胃がむかつく
・背中がこる
・胸焼けがする
・めまいがする
・からだがだるい
・のどが渇く
・陰口をいわれているようだ
・寝つきが悪い
・いらいらしやすい
・ユウウツになることがある
・朝起きると気分が悪い
・言いたいことがうまく言えない



《仕事のストレス要因チェック表》
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(16)
非常にたくさんの仕事をしなければならない
時間内に仕事が処理しきれない
一生懸命働かなければならない
かなり注意を集中する必要がある
高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ
勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない
からだを大変よく使う仕事だ
自分のペースで仕事ができる
自分で仕事の順番・やりかたを決める事ができる
職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない
私の部署内で意見のくい違いがある
私の部署と他の部署とはうまが合わない
私の職場の雰囲気は友好的である
仕事の内容は自分にあっている
働きがいのある仕事だ
=中央労働災害防止協会の資料から作成
※各項目とも「そうだ」「まあそうだ」「やや違う」「違う」の4段階で答える。
※(1)〜(7)と(11)〜(13)は「そうだ」「まあそうだ」
 (8)〜(10)と(14)〜(16)は「やや違う」「違う」をストレス要因として数える。
◇(1)〜(7)は仕事の負担度。ストレス要因が男6個以上、女5個以上は要注意
◇(8)〜(10)は仕事のコントロール度。2個以上要注意
◇(12)〜(14)は仕事の対人関係。2個以上要注意
◇(11)(15)(16)は仕事の適合性。2個以上要注意

 

次回に続く

働く人のメンタルヘルス
ストレス一日決算主義のすすめ(3)
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