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企業の社会的責任」Corporate Social Responsibility(CSR)ということが言われ出してから、久しくなりました。日本経済団体連合会(日本経団連)は1991年に作成し、1996年と2002年に改定した「企業行動憲章」を、一昨年5月にSRの視点から更に改定し、また、昨年「社会貢献度実績調査結果」を発表致しました。経済同友会も2003年の3月「市場の進化と社会的責任経営」をその第15回企業白書として発表。東京証券取引所や、各企業も、それぞれ独自の「企業行動憲章」を制定し、その中でCSRに言及しています。
国際的にもSRに対する関心は高まり、国連環境計画の公式協力機関であるGRIはじめ、SAI、BiTC、CSR Europe、IBLF、Account Ability などの組織が活動し、それが日本にも影響を与えています。アナン国連事務総長の呼びかけによって始まったグローバルコンパクトには、世界の3600ほどの企業等が参加し、日本からもすでに50ほどの企業や自治体が参加していますし、国際標準化機構ISOも、企業の社会的責任に関するガイダンス規格ISO26000の2008年作成をめざして作業中です。 従来、企業の社会的責任については、環境問題に重点を置いて進められていましたが、最近は、雇用さらに人権に関する関心が高まって、各企業でも「環境報告書」を超えて「CSR報告書」という形で人権に対する問題を含めて自社の取り組みを公表する所も増えてきているようです。 |
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アメリカのフリードマン博士は「企業にとっての社会的責任は、利潤を増大することである」としました。また2004年に経済広報センターが行った「生活者の(企業感)に関するアンケート」調査でも、「企業の社会的責務として何が重要か」という設問に対して、「優れた商品・サービスなどをより安く提供すること」。つまり、本業に徹することを重要と考える人が圧倒的多数でした。利潤も上げられず、配当も出来ぬようでは、経営者として失格です。しかし、短期的に業績を上げ、高い利潤を得ても、不祥事を起こしたり、内部の不満が嵩じて騒乱が激化し、社会の信用を失えば、長期的には業績自体も悪化し、極端な場合に倒産ということになれば、元も子もありません。企業の継続的発展のためには、環境だけでなく、雇用、人権という面に対する配慮も必須です。渋沢栄一も『青淵百話』の中で「自己の利益ばかりに着目する事業は、仮令一時順境に向うて隆昌を極めることがあるとしても、終には社会の同情を失墜して悲運に陥る時が来る」と述べています。前記の日本経団連の「企業行動憲章」の序文の中にも「経済・環境・社会の側面を総合的に捉えて事業活動を展開」とありますが、企業の最終成果をこの三側面から総合的に評価しようとするのが「トリプルボトムライン Triple bottom line」の考え方です。
そして、この「社会問題」というのは、つきつめれば「人権問題」なのです。1966年石油大手のテキサコが人種差別問題の和解に1億7610万ドル支払わされました。1997年には靴やスポーツウエアで大手のナイキ社がベトナムで過酷な児童労働で製品を作らせていたことが発覚し、大規模な不買運動によって大打撃を受けました。2000年末には人種差別を理由に訴えられていた米国コカコーラ社は1億9250万ドルの支払いを余儀なくされました。2002年4月には、女子従業員から性的いやがらせを受けたとして訴えられたスーパーマーケット・チェーンに対して、カリフォルニア裁判所は総額3060万ドルの支払いを命じました。これらの場合、それらの企業は、直接の多大な経済的負担だけでなく大きな社会的信用の失墜という打撃をも受けたのです。わが国でも、人権意識の高まりや、国際化による外国人従業員の雇用等により、今後類似事件の起こる可能性は増大しています。 |
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