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人と接していて、あまりいい気持ちのしない会話もある。夫ノブのことをほとんど知らない人から「いいご主人ね」と言われたり、結婚について「ご主人はよく思い切ったね」という言葉に悲しい気持ちになってしまう。
それは言外に「ハンディを持った女性と結婚したなんて偉い」という意識を感じてしまう。
もし私が車椅子生活になっていなければ言われなかっただろう。
これは一般にはわかりにくいかもしれないが、受ける側は、微妙なニュアンスを敏感に感じ取ってしまうのだ。だから、いつも返事に困ってしまう。実は内心では「ノブは別の女性と結婚して失敗していたかもしれないし、私が他の男性と結婚して幸せになっていたかもしれない。それを<いいご主人がいたから幸せになれた>というのはヘンな気がする。「ふたりだから幸せなのに」と思っている。でも「いえ、ホントは、夫は意地悪なんですよ」などと言ったら、単なるひねくれ者になってしまう。それに確かに私にとっては世界一の夫なので「ええ、幸せです」と答えておくことにしているのだが・・・。
ノー天気な夫は、ただ自分が褒められていることが嬉しいらしく、妻の心の機微にまで思いを馳せない。世間的には優しい理解のある夫が車椅子の妻を包みこんでいて、その手の平で妻が精一杯の努力をしているというステレオタイプにしたいみたいだ。
今、私はクイズミリオネアの取材を受けている。私の仕事には全く触れず、健気な障害者がオットのために食事を作り掃除をすることに喜びを感じ明るく生きている、という構成になりそうだ。現在では、たいていの障害者は就職をしているのだけれど、どうもマスコミは、障害者の認識に一歩も二歩も遅れているようだ。同情心を煽ることで視聴率をとれるなんて安直なことで、世間を侮れない。いつまでもその手は通用しないだろう。
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