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さて、パワハラ相談にはどう対処したらよいのであろうか。まず、発生した事態を明確にし、それがパワハラかどうかの区別する必要がある。職務契約本来の範疇にあり、一時的なものである場合はパワハラとは言えない。但し、たとえ一時的なものでも本人に大きなダメージを与えている場合は別である。次に、事実関係や相談者の精神状態をしっかり把握することが重要である。セクハラの訴えでも同様だが、妄想を持ちやすい人や攻撃性のある人などの訴えを鵜呑みにすることは危険である。従って、パワハラ相談を受ける立場の人にはカウンセリングスキルが必要であろう。 また、明らかにパワハラに該当するケースでも、相談には慎重に応じなければならない。なぜなら、パワハラの加害者は職権のみならず、集団への影響力が大きいことが多いため、迂闊に訴えたり抗議することがかえってハラスメントの強化に繋がる可能性がある。 これまでの調査から言えることは、自分の置かれている状況がパワハラだと認められただけで本人は随分楽になるようである。前にも述べたように、被害者は受容しがたい事態に直面して「自分が悪いのではないか」「自分は少し頭が変になっているのではないか」と自問自答し混乱している場合が多いからである。自分は不当な被害を受けているのだと認識することによって少し状況が見えてきて、どう対処すべきかを冷静に考えることができる。そこで、人としての尊厳を持つ権利があることや、いろいろな選択肢の可能性を共に考えながら好きなように生きる自由があることを伝えている。重要なのは「その状況の解決は自分にはできない」という思い込みから脱却することである。加害者は相手が弱いと感じるとハラスメントをさらに助長するのが特徴である。被害者はできるだけ多くの選択肢を想定し、自分にも状況を打開する力があるという自覚によって、自ずと毅然とした態度を取り得るようになる。 まず事実関係をしっかりと把握することをお勧めしている。いつ、どのような場で、どんなパワハラを受けたのか。メモや録音を取ったりして事実関係を明らかにし、自分に起きていることを客観的に捉えることが重要である。また、職場の中で孤立しないように、理解を得られそうな同僚や上司を味方につけることも大切である。加害者は孤立した人ほど対象にしやすいからである。人事部や労働組合など組織内で問題化できる部署を見つけておき、必要に応じて相談したり人事異動などを要請することも考えに入れておきたい。それでも人権侵害であるパワハラを許せないときには法的手段に訴える道もあるが、その前に労働相談の専門機関に相談することをお勧めする。 |
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以上のように、多くの職場にパワハラが日常的に存在していると思われる。公然と罵ったり、無視したりするケースも多いが、パワハラは被害者本人にしかわからないように巧妙に行われることも多い。傍目にはそのような気配が見えなくても、独り思い悩んでいる人がいる可能性は高い。このような状況で、組織としてはどのようなパワハラ対策が考えられるのであろうか。 |
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私たちはセクハラ対応に関するプログラムをいくつか企業に提供しているが、パワハラ問題の解決にも同じようなプロセスが有効なので紹介しておきたい。 まず、パワハラがどのレベルで行われているかを把握する必要がある。加害者が特定の人物でその人だけが異常な言動を繰り返しているのか、職場自体がハラスメントの起きやすい風土になっているのかを識別しなければならない。もしそれが後者であれば、組織風土を改善しなければならない。そこで、組織と個人の状態をチェックするための職場状況調査を行っている。 |
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次に、顕在化したパワハラから個人を救出するための対策が必要である。モビング(職場いびり)対策をしている海外の企業では、人間関係のトラブル解決のための手順を社員に明確に提示している。 そして、社内外に調停担当の専門窓口を設け、問題の内容ごとに迅速に対応する体制を整えている。現在、日本の組織における相談窓口は不十分だが、孤立した被害者を救う具体的な措置として、社内外に信頼できる相談機関を設けることが大切である。最近企業の度重なる不詳事に対応すべくコンプライアンス経営が注目されているが、コンプライアンスという言葉自体わかりにくいし、個々の現場で起こるケースについて法律との照らし合わせは難しい場合が多い。また、これをはきちがえると「法令を遵守させる」というまた別のパワハラが起きかねない。むしろパワハラ相談とうまく統合して、それぞれの職場からどんな問題でもくみ上げるような仕組みづくりが大事であると考える。事実私どもの相談にも違法行為を強制されているのではないかという相談も多い。こうした窓口の設置と共に、相談担当者向けのカウンセリングスキル向上研修の実施や、適切なアドバイザーの配置なども必要である。 |
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啓発活動としては、パワハラの起こらない職場作りのための管理者向けコースと、パワハラの被害者にならないための一般社員向けコースを実施している。 管理職として「どのようにしてパワハラのない職場作りをするか」については、まず多様な価値観を持つ人材をマネジメントするノウハウの習得が重要であることを認識してもらう。また、組織内の揉め事をいち早く察知し、問題の輪が広がらないうちに解決を図るためのコミュニケーションスキルを身につけることも非常に大切である。 パワハラやセクハラについては、むしろ被害を受ける人の側に問題があるという意見も相変わらず多い。しかし、これは加害者に罪がないということにはならないし、どんな人であれ突然被害者になる可能性もある。そこで、なるべく被害を受けないような関わり方を教えるのが一般コースである。 そして、これらの対策が実際に効果を生むために何よりも重要なことは、最大のパワーの持ち主であるトップマネジメントがパワー・ハラスメント防止のための断固たる姿勢を率先して示すことである。 |
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