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| 海外ではSRIを促進するための法的整備も見逃せない。注目されるのが英国の年金法改正である。2000年7月の改正で、年金基金はそれぞれの投資方針において「社会、環境、倫理の側面を考慮しているか、している場合はどの程度か」を開示することが義務付けられた。この法改正の3ヵ月後には6割の年金基金でSRIの投資方針を取り入れている。この法律改正は各国で注目され、その後、ドイツやオーストラリアでも同様の法改正が行われている。 米国では、確定拠出年金401kプランがSRIを後押ししたと言われるが、新しい消費者層LOHAS(Life Style of Health and Sustainability)の存在も大きい。彼らは自分の心と身体の健康、地球環境、社会的正義、地球の持続可能性などを重視する新しい消費者層で、6300万人、成人人口の3割を占めている。このLOHAS予備軍はすでに3000万人おり、近い将来米国市場で最大の消費者層になると予想される。LOHAS層はSRIの認知度は高く、実際に2000万人以上がSRI型金融商品の購入者と推測される。 またSRIの観点で組み入れ銘柄を選別する、SRI型株式指数もSRI浸透の有力なツールである。すでに指数作成機関とSRI調査機関の共同による3種のSRI型株式指数(ダウジョーンズ社とスイスのSAM社によるDJSG指数、FTSE社と英国の調査機関EIRISによるFT4Good指数、S&P社とベルギーのEthibel社によるES指数が作成されている。こうした指数は、ファンドマネージャーがSRIで運用する際の評価の基準として活用でき、またSRI指数をもとにしたインデック型投信設定により、SRI型金融商品開発を促進する。 |
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現在日本では9本のSRI型投信が設定運用されている。このうち環境に特化したエコファンドが7本、DJSAM指数をもとにしたインデックス投信1本、環境に加えて、市民社会貢献、消費者対応、雇用についての評価も加味した本格的SRI投信が1本となっている。(図表3)。最初のエコファンドの発売が99年ということもあり、日本のSRIの歴史は浅く、かつ環境が中心で、今のところSRIコンセプトの広がりはない。さらに株式市場の低迷もあり、残念ながら、現在のところパフォーマンスは芳しくないという状況である。
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| SRIにとり、もうひとつ重要な要素は、どのような評価クライテリア(評価の項目や規準)を用いてどのように評価しているのかというSRIスクリーンの実際である。論理的、客観的説明が可能な財務的評価と異なり、社会的評価クライテリアはその社会の価値観に左右される。SRIの目的には資本市場の力を通じてより良き社会を構築することも含まれるため、社会的価値観に合致したクライテリアを選ぶことがSRI成功のひとつのかぎとなる。 欧米を中心とする先進国における「人権」の考え方は、※1Global Reporting Initiative(GRI) の※2持続可能性報告書ガイドライン に端的にあらわれている。ここでは企業の人権対応として報告すべき項目として、企業の人権に関する戦略・マネジメント、差別禁止、結社の自由・団体交渉、児童労働、強制労働、懲戒慣行、従業員の安全確保の手段、地域住民の権利をあげている。 一方先述したFT4good指数では現在人権の評価クライテリアの案を公表し、パブリックコメントを募集中である。これはかなり特徴的な人権に対する考え方を示している。まず、※3人権抑圧国23カ国 と、※4影響の大きい業種 を選別し、これらに該当する企業を影響の大きい企業と認定。これら企業は、(1) 世界人権宣言に署名、(2) ILOのコア労働基準2つ以上の遵守、(3) グローバルサリバン原則の署名、(4) グローバルコンパクトの署名、の4つのうちいずれかを満たす必要があるとしている。 一方先述したベルギーのEthibelでは人権対応は、(1) 公式の人権方針の有無、(2) この方針を企業活動で実践させる仕組みとそれをモニターする制度の存在の有無、(3) 企業自身の人権対応への自己評価、(4) 取引先の人権配慮(特に途上国の下請け工場を使う場合)、の各側面で評価している。 なお株主行動でも人権問題は注目される社会的テーマである。今年米国ではSRI投資家グループが45社に対して人権配慮を促す株主提案を提出。このうちミャンマーでの強制労働がSRI投資家から批判されている米国石油会社ユノカルでは、「人権や基本的労働者の権利を謳った倫理綱領の策定を求めた株主提案」が32%の賛成を得た。
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| 以上に示した人権の考え方に戸惑いを覚える読者のかたもいらっしゃるかもしれない。こうしたSRIクライテリアは、その社会の価値観を反映するだけに、日本的価値観に合致するとは限らない。ただし、こうしたSRIのクライテリアから日本における人権の考え方を議論し、日本のSRIとしてふさわしい評価方法が確立されれば、日本のSRIの幅を広げると同時に日本の社会をより善くするツールとなろう。 |
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