大阪ボランティア協会事務局長 早瀬 昇

  プロフィール
1955年 大阪に生まれる。
1973年 「大阪交通遺児を励ます会」の活動に参加。
1991年 現職の大阪ボランティア協会事務局長に就任。
1995年 阪神・淡路大震災時に、全国の市民団体と連携し「被災地の人々を応援する市民の会」を結成。
現 在 大阪大学人間科学部 客員助教授、大阪ボランティア協会の他に多くの社会福祉・ボランティア団体にて指導的立場で活動を展開。
著 書 「元気印ボランティア入門」/ボランティアと人権1問1答」/「ボランティア白書2001」等多数。

 少子高齢社会でのボランティア活動

 そして、少子高齢化が極端に進む今後の日本社会を考える時、このボランティア活動などの民間非営利活動を活性化することが非常に重要になってくると考えられます。
というのも、まずそれぞれに波乱に満ちた人生を歩んできた高齢者は個性派集団でもあります。そこで、これらの人々を一律に遇するだけでなく、それぞれの個性を尊重した対応が必要になってきます。

 また少子化による労働力人口の不足を補うため、近い将来、外国人労働者の入国規制が緩和されると予測されますが、この「人の国際化」を進める上で課題となるのが、多文化共生社会をどう築くかということです。

 そして、これらの課題に対する有効な対応策として、ボランティア活動などの民間非営利活動による多彩な公共サービスの創出が必要だと考えられるわけです。

 それにボランティア活動は、実は元気な方が多い退職後の高齢者が社会に参加する舞台としても最適です。余暇開発センターが発行する『レジャー白書』では、数年前、「社会性余暇」というキーワードでボランティア活動に焦点を当てましたが、無償の活動であるボランティア活動に取り組むには一定の時間的余裕が必要です。高齢期は、この余裕の生まれる人たちが増えます。(もっとも最近はNPOという形で、有給の仕事として非営利活動に取り組む例も増えてきました。活動に関わるスタイルにも幅が広がってきました)

 それに、活動に参加する条件は「共感」だけ。閉じた人間関係に陥りがちな会社人間が、退職という形で従来の関係が切れた後、新たな人間関係を結ぶチャンスがボランティア活動の世界には豊富にあります。

 では、活動を始める際の鍵は?と言えば、「何をするか」を選ぶこと。「何かしたい」と思っても「何をするか」が決まらないと、何も出来ないのがボランティア活動です。

 では、どのようにテーマを選ぶか?その基本は皆さん自身です。皆さんの好きなこと、皆さんの得意なこと、あるいは皆さんが悩んでいること…。たとえば、子ども好きな方が児童福祉施設で活動するわけですし、海の好きな人が干潟を守る活動に取り組んだりしています。得意なことから活動に関わる例では、簿記の知識がある方が市民団体の会計役を引き受けたり、公務員として仕事をしてきた人が助成金申請の書類づくりを一切任されていたりします。また、悩みを起点とする活動ではさまざまな当事者活動があります。

 もっとも、このように「私」にこだわってみても、特に自分には取り立てて好きなこともなければ得意なこともないという方もいらっしゃると思います。では、どうするか?

 ここで意外に大切なのが「半身の姿勢」と「フットワーク」。つまり、実にさまざまな活動があり、数多くのボランティアグループがある、あるいはボランティアを求める行事があります。そういった活動に、とにかくちょっと顔を出してみる。そこで、もし雰囲気が合いそうになかったり、関心が高まりそうになかったりしたら、また別の活動に顔を出してみる。少し無責任に聞こえるかもしれませんが、気の進まない活動に取り組む方がかえってトラブルが起きやすいものです。自主的に責任を負おうという意欲がわく活動を探すことこそが大切なわけで、一度でも顔を出したら二度と抜けられないという世界ではないのです。

 もっとも自分にフィットする活動を見つけるのは、そんなに難しいことではないと思います。大切なのは、未知の出会いや体験に尻込みしないこと。これまでの履歴、経歴にこだわりすぎると、新しい役割を得ることはできません。自分の個性にこだわりつつ、しかし新しい出会いに柔軟に対応する。このバランスさえうまくいけば、活動に参加するチャンスはいくらでもあるはずです。それにある特定のテーマに限定して活動を始めても、活動はそこからさまざまな課題に広がっていく面があります。

 ともあれ、皆さんも、あまり構えすぎずに、まず第一歩を踏み出してみましょう。世界を広げ、新たな役割を得、かつ多彩で柔軟で開拓的な公共サービス創造の担い手となる機会が、たくさん見つけられるはずです。


海外ボランティア相談
(写真提供:日本シルバーボランティアズ)
 
「社会の一員として多少の時間や金銭を費やしても役に立ちたいと思う」と「無理のない程度に役に立ちたいと思う」と回答した人の割合の合計(15〜69歳の全国の男女約4000人より))