日本文化の基層

 大ざっぱに述べたが、このような6つの源流が、日本民族形成史の

基層にある。特に第3から第6に至る民族的系譜は、地誌的にも歴史

的にも相互に入り組んで錯綜しているので、一筋縄では解明できない。


 例えば「倭人」であるが、『魂志』の東夷の条に収められている倭

人伝を読むと、明らかに東南アジア系の文化と風俗が色濃く投影され

ている。しかし、その源流がどのようなプロセスとルートを経て日本

に入ってきたのかという問題をはじめとして、まだまだ未解決の問題

が多いのだ。


 言語学的には、南島語であるアウストロネシア語が日本語の基層に

入っている。その後から北方語であるウラル・アルタイ系が入ってき

て、今日の日本文法に代表されるような支配的言語となった。


 日本語の基層には南島語系がかなり入っているが、なぜ文法構造が

北方語系になったのか。それは、北方系民族が政治と文化の領域にお

いて支配権力を握るようになったからであろう。ついでに言っておく

と、アイヌ語の系統関係については今日ではまだ結論が出ていないが、

その基層にはやはり南島語が入っていて、はるかにその源流を辿ると、

南方系の古モンゴロイドに連なる可能性が強い。


 このように、日本の歴史の深層をいろいろ調べてみると、アジアの

各地から入ってきた多様な文化の痕跡、その民俗的な刻印を今でも見

つけることができる。



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