多様なアジア文化

 日本文化は、きわめて多様性に富むアジア文化圏の一分流である。そして、

歴史の古い東アジア圏では、最も後になって形成された小さな新しい文化圏で

あった。

 このところのアジア学ブームもあって、日本文化の起源とその基層にあるもの、

すなわち、その最深部の流れと構造を解明しようという動きが活発である。つまり、

私たちの生活基盤となっている日本文化の「アイデンティティー」、すなわち、

その存在根拠を明らかにするためには、なによりもまずアジアの諸文化との関

わりを念頭において、その源流を探らねばないという問題意識である。

 ところで、日本文化の起源を探るためには、この列島に定住するようになった

ヒトビトの源流をまず明らかにしておかねばならない。一口で言えば、「日

本人の成り立ち」「日本民族はどこから来たのか」といった課題である。

 今日では、考古学の著しい進歩によって、十数万年前まで、この列島における

ヒトの足跡を辿ることができるようになった。さらに研究が進めば、もっと、遡

ることができるだろう。だが、戦前では、せいぜい縄文時代の創始期、すなわち

1万2千年程度までは遡るとされていたのだから大変な学的進歩である。

 それでもアジアの各地から出土する人骨と比べれば、この列島におけるヒトの

足跡はきわめて新しい。もちろん、今日そこに住んでいる現代人との直接的なつ

ながりがあるわけではないが、ジャワ原人は約150万年前、北京原人は約70万

年前の人骨である。


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