男女雇用機会均等法

挿絵

 現行男女雇用機会均等法が一九八六年(昭和六十一年)

四月に施行されて一〇年余が経過しました。かえりみま

すと、この法律ができるまでは、男女別定年や女性の

結婚退職制をはじめ、男性は基幹職、女性は補助職などと、公然と男女別雇用管理

がなされていた時代。「雇用の男女平等法なんかができたら、男性が外で働き、女

性が家庭を守るという我が国の醇風美俗を壊し、企業経営が成り立たなくなる」

「勤続年数が短い女性を男性と別扱いするのは、差別でなく区別だ」という主張が

経営者などからなされ、一方で「諸外国と比べこんなザル法ない方がましだ」

「女子保護規定を緩和すれば女性は働けなくなる」とする女性労働者などの厳しい

批判にもさらされる中で、やっとのことで成立したのです。

 それから一〇年余りたった現在の状況をみますと、均等法はまず男女平等について

の社会の意識の向上に大きな効果を与えました。また一九九六年(平成八年)には女

性雇用者数は二〇八四万人となり、この一〇年で五〇〇万人増え、職場の四割が女性

となっています。平均勤続年数も八.二年(男性は十三.一年)に伸び、一〇年選手

が女性の約三割、二〇年選手が約一割を占めています。女性自身の意識や能力の高ま

り、職域の拡大も見られます。企業においても、均等法の内容に沿った雇用管理制度

の見直しが行われました。

 しかしながら、その一方で、この一〇年間、雇用の分野において女性が男性と均等

な取扱いを受けていない事案が依然として後をたたないということも事実であり、近

年、企業における女性の雇用管理の改善はむしろ足踏み状態にあったと総括せざるを

得ません。

 「男女不問求人だったので応募したら、女子は採らないので帰ってくれと言われ

た」「女子は自宅通勤でなくてはダメと言われた」「同級生の男子と同じように資料

請求したら、男子には山のように詳細な資料がきたのに、説明会の案内の葉書がきた

だけだった」「恋人の有無、失恋経験、スリーサイズ、スカート丈など仕事とは関係

のないことをしつこく聞かれた」。

 これは、昨年、全国の婦人少年室(均等法の施行などを担当する労働省の出先機関

で、本年一〇月からは女性少年室に名称変更)に寄せられた女子学生からの相談事例

のほんの一部です。女子学生の嘆き、怒り、憤りが聞こえてきます。

 女性が女性であるというだけの理由で、あるいは女性は一般的・平均的にはこうだ

からというような理由で差別されることなく、男性と均等な機会と待遇が確保され

、生き生きと活躍することができる雇用環境の整備を図ることは、女性の人権という

観点から重要であることはもとよりですが、二十一世紀を展望したとき、少子化・高

齢化の一層の進展の中で、引き続き我が国経済社会の活力を維持していくために喫緊

の課題です。

 また、企業活動がグローバル化する中で、国際的水準に照らしてみても、経済大国

日本に相応しい女性の地位、あるいは均等法制はこれでいいのかということを改めて

考えるべき時期にきていました。

 労働省では、こうした課題に適切に対処するために、関係法案をとりまとめ、国会に

提出したのです。

 改正法が成立するまでには、審議会や国会で非常に多くの時間をかけて慎重な審議

が行われましたが、いま述べたような状況認識は、企業、経営者にもご理解いただけ

たのではないかと思います。


法改正のポイント

1 男女雇用機会均等法

事項 改正法 現行法 施行期日




募集・採用 禁止 努力義務 1999年
4月1日
配置・昇進 禁止 努力義務
教育訓練 禁止 一部禁止
複利厚生 一部禁止 一部禁止
定年・退職・解雇 禁止 禁止
女性のみ・女性優遇 原則として禁止 適法
調停 一方申請を可とする 双方の同意が条件
制裁 企業名の公表 (規定なし)
ポジティブアクション 国による援助 (規定なし)
セクシュアル・ハラスメント 事業主の配慮義務 (規定なし)
母性健康管理 義務化 努力義務 1998年
4月1日

2 労働基準法

女性の時間外・休日労働、深夜業 規制を解消 就業を規制 1999年
4月1日
多胎妊娠における産前休業期間 14週間 10週間 1998年
4月1日

3 育児・介護休業法

深夜業 育児又は家族介護を行う労働者の深夜業の制限 (規定なし) 1999年
4月1日

4 労働省設置法

地方支部局の名称 都道府県女性少年室 都道府県婦人少年室 公布の日から6月以内の改令で定める日(1997年10月1日)

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