「痴呆」から「認知症」へ呼称変更

 厚生労働省の『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』では、「痴呆」という用語が侮蔑的な意味合いを含んでいることや、症状を正確に表していないことなどから、用語による誤解や偏見の解消を図る一環から検討をおこない、2004年12月に「痴呆」に替わる呼称として「認知症」が最適とする報告書をとりまとめました。
この報告書を受けて同省は「痴呆」から「認知症」へ用語を変更し、自治体においても「認知症」が行政用語として使用されることになりました。
同省では、2005年度を「認知症を知る1年」とし、症状や原因、予防・治療法、介護の仕方などを広報するなど、病気の理解や用語の普及を進めています。
 なお、関係する法令の表現についても、今後の国会で見直す予定となっています。

◆「痴呆」という用語の問題点
  @侮蔑感を感じさせる表現である
   ・痴呆という用語は、「いったん個人が獲得した知的精神的能力が失われて、元に戻ら
   ない状態」とされており、「あほう・ばか」と通ずるものであり、侮蔑的な意味合いのある
   表現である
  A痴呆の実態を正確に表していない
   ・痴呆について、一般的に「痴呆になるとなにもわからなくなってしまう」というイメージ
    で捉えられる場合があるが、近年、国内外で痴呆の当事者が自らの体験や気持ちを
    発言され始めており、こうしたイメージが全くの誤りであることが明らかになってきた
   ・痴呆の実態について誤ったイメージが広く存在している原因の一つが、「痴呆」という
    表現にあると考えられる
  B早期発見・早期診断等の取り組みの支障になる
   ・痴呆の早期発見、早期診断の重要性が指摘されているが、実態としては、痴呆になる
    ことは怖いことであり、恥ずかしいことであるという認識が広く存在し、「痴呆」に関する
    症状であるとわかると、診断の受診や早期対応プログラムへの参加が拒否されるなど、
    施策を実施の際の支障となっているとの指摘がある
   ・「痴呆」という表現が、こうした恐怖心や羞恥心を増幅していると考えられる

◆「認知症」を使用する理由
  @痴呆の本質を端的に表現すると「認知障害により、社会生活や職業上の機能に支障を
    きたす状態・症状」ということになる
  A「認知」とは、覚える、見る、聞く、話す、考えるなどの知的機能を総称する概念であり、
    痴呆に関しては記憶機能の低下のほか、
    @失語(言語障害)
    A失行(運動機能が正常にもかかわらず、運動活動を遂行することができない)
    B失認(感覚機能が正常にもかかわらず、物体を認知固定することができない)
    C実行機能障害(計画を立てて、それを実行することができない)
   などの症状が見られる。こした「痴呆」の本質に着目し「認知」を用いることとした。
  B語尾を病気の状態を示す「症」とするのは、「痴呆」の中には一部治癒もしくは症状が
    安定するものがある一方で、他の多くの場合は進行性であり状態が固定していないた
    めである

※「痴呆」に替わる用語に関する検討会報告書(厚生労働省ホームページ)
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1224-17.html