|
求職時の採用選考にあたり、応募者の適正と能力に基づく公正な採用選考を
確保するという目的から、統一応募用紙は定められていますが、これまでの改
定の趣旨及び経緯は次の通りです。
各企業で作成した社用紙に就職差別につながるおそれのある事項が多く存在
していたことから、新規高卒者の応募用紙について、労働省、文部省及び全
国高等学校長協会の協議により定められた様式を統一応募用紙として1973
(昭和48)年度から全国的に使用してきました。新規中卒者についても職業相
談票(乙)を、また、1983年度から新規大学卒業者については標準的事項の
参考例として様式が示されており、一般の採用に使用する履歴書についても、
1974年7月に日本工業(JIS)規格として定められました。
さらに、統一応募書類制定の趣旨を一層徹底させることを主な目的として、
1996(平成8)年4月に全国高等学校統一応募用紙類の一部様式変更(1997
年3月卒業者から対象)が行なわれました。新規中卒者用の職業相談票(乙)、
新規大卒者用の標準的事項の参考例についても、同様の趣旨から同様の改定
がなされています。
1996年4月の改定は、高等学校生徒指導要録の改訂、学校保健法施行規則
の改正及び最近における「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」
(人種差別撤廃条約)への加入や「人権教育のための国連10年」の取組みの
開始など、人権にかかわる社会の変化や国民意識の高まり等に適切に対応す
るため、応募者の人権に配慮するなどを踏まえて行なわれました。
主な改定事項は、
- 「本籍」欄、保護者に係る「本人との続柄」と「年齢」欄及び「家族」
欄の削除、
- 「胸囲」欄及び「色覚」欄の削除など、 となっています。
ただ、この統一応募用紙や履歴書用紙について関係機関は、あらゆる機会
を利用し、周知徹底を図ってきましたが、いまだにこの趣旨を理解していな
い企業があり、社用紙(企業が独自に作成した応募書類)や戸籍謄(抄)本
を求めるといった事例があとを絶たない実情にあります。
東京都労働経済局職業安定部が1997年に実施した、アンケート調査(*)
によれば、採用選考時に応募者に提出させる書類の状況についてみると、
「家族構成を記入させる書類」 1,096社(14.8%)
「住民票」 845社(11.4%)
「自宅付近の略図を記入させる書類」 330社(4.4%)
「家族の職業を記入させる書類」 275社(3.7%)
「本籍地(地番まで)記入させる書類」147社(2.0%)
「戸籍謄(抄)本」 98社(1.3%)など、
応募者の適正と能力に基づく公正な採用選考という視点からの取組みがなされ
ていない現状もあり、事業主の公正な採用選考のための正しい理解と真摯な取
組みが望まれています。
*都内の各公共職業安定所へ選任報告を提出している事業所の企業内同和問題
研修推進員全員(1997.4より「公正採用選考人権啓発推進員」へ改称)を対象
に1997年1月〜2月実施。調査対象は12,266件で、7,418件の回答(回答率
60.5%)を得たもの。
|