ご存じですか



「身元調査をしない」「依頼しない」 

 1985年3月20日、大阪府議会において、国内で初めて差別の営利行為を法的に規

制する「部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」が制定されました。

 この条例は、「部落地名総鑑事件」が出発点となり、府議会や同和対策審議会など

大阪府をはじめ諸団体や多くの府民などの長年におよぶ努力により成立したものです。

 この条例ができるまでは、「部落地名総鑑」を作成・販売しても、これを使って身

元調査したとしても、それ自体を規制する法律はなく、行政指導もできない状況でし

た。

 この条例の目的は、「同和地区に居住していること、又は居住していたことを理由

になされる結婚差別、就職差別等の差別事象を引き起こすおそれのある調査報告等の

行為を規制することにより、部落差別事象の発生を防止する」とともに、「府民の基

本的人権の擁護に資すること」としています。

 この条例の主な内容は、部落差別に基づく身元調査をなくすために

1.大阪府は、この目的達成のため啓発を行うこと。

2.府民は、この目的に反する調査の依頼をしないように努めること。

3.興信所・探偵社業者は、この目的に反する行為をしないように努めること。

具体的には、

(1)調査対象者およびその親族が同和地区に居住しているか、居住していたかどう

かを調査し、報告しないこと

(2)同和地区の所在地の一覧表などを提供したり、教示しないこと

であります。

 この2項目について、興信所・探偵社業者の団体は、規約を設定し府へ届出を行い、

構成員各社に遵守させる指導を行うこととされています。(業界の自主規制)

 次に、部落差別と身元調査の問題について説明します。一般市民に対するある意識

調査結果において、結婚差別・就職差別が最も深刻と答えている人がかなり多くいる

という結果がでています。

 では、結婚差別や就職差別の問題が起きるときに、一体何が行われているのかと考

えれば、身元調査にいきつくのです。そして、同和地区出身者が、人生の門出でもあ

る結婚や就職時に行われた身元調査に基づく差別の結果、自殺に追いやられるような

事象が起こっていることも銘記しなければなりません。

 特に、「部落地名総鑑事件」が発覚して以降、さまざまな組織によって啓発活動が

行われ、行政機関などにおいても、啓発活動はじめさまざまな取り組みが行われてい

ます。

 例えば、市町村では、差別につながる身元調査や各種リストをつくることを防止す

るため、戸籍謄本の交付の制限や住民基本台帳の閲覧等の制限が行われてきました。

 このように多くの取り組みがなされてきたことは周知の事実です。しかしながら、

1984年12月8日に出された「大阪府同和対策審議会」答申においても「もともと差

別的な身元調査は、表面化しにくい性質のものであるにもかかわらず、毎年事件の発

生をみている。」とのべられており、この現実を直視すれば、「規制等条例」が制定

・施行されるに到ったことは当然の道筋であったといえるでしょう。

私たち一人ひとりが、この条例の趣旨を理解し、「身元調査をしない」、「依頼しな

い」ことの重要性を十分に認識する必要があるでしょう。


「これからの人権研修のすすめ方」(大阪同和問題企業連絡会 編集・発行)より

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