エッセイ

“願い”
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 子どもの名前を決める際、はじめて母親に私の名前の由来を聞きました。私が生まれてはじめてもらったプレゼント「健一」という名前。「健康で、すこやかに育ってもらいたい」という願いを込めて付けたそうです。母親も私が生まれた時に同じように祖母と名前について話をしたそうです。その時に祖母から聞いた話を私にしてくれました。
 私の祖母が父を生んだ時代は、日本は戦時下にありました。男の子を生んだ瞬間から、悲しい覚悟を胸に秘めて、育てていかなければならない時代。子どもの成長の一つひとつを悲しく感じた時代。そんな想いで子どもを育てた時代がありました。光輝かしい未来があることを願い父親の名前を決めたそうです。生きている歴史的背景の違いで子どもが生まれたときの感じ方に違いがあることを知りました。
 親になり9年間、以前よりもこの言葉が深く重く心に響きます。子どもからの真っ直ぐな眼差しや笑顔に勇気をもらっていると感じることがあります。子どもが一生懸命に一日の出来事の話をしてくれたり、子どもの弾く下手なピアノを聴いたり、一緒にテレビを見て笑ったり些細な日常の子どもとの関わりが大切で幸福なことだと心から感謝しています。
 残念なことに今現在も戦時下にあり、悲しい覚悟を胸に秘めている人びとがいます。多くの尊い命と文化を奪う最大の人権侵害の一つは戦争。戦争のない明るい社会になることを願っています。


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