エッセイ

桜に思う 高木 潤

 満開の桜とともに採用シーズンに突入し、担当者として多忙な日々を送っている。たとえ数分の面接であっても、彼らにとっては人生を大きく左右する勝負の時間であり、だからこそこちらもそれに真剣に応えなくてはならない。
 社会に出て活き活きと働くということは自己実現のひとつでもあるが、いくつもの難関を突破して入社しても、この仕事は自分に合わないと思った途端にあっさりと辞めてしまうケースも最近は目立つらしい。入社以来ひとつの会社にいる私自身は、そんな彼らの潔さをうらやましく思うと同時に、担当者として複雑な思いを抱く。
 学生が学校を卒業し志望する企業に就職するということは、ごく当たり前のことと思われるかもしれない。しかし、人権啓発担当者でもある私は、世の中にはさまざまな事情により進学や就職ができない学生もいれば、企業の一方的な都合に振り回されて、これが決して当たり前ではない現実があるということを今まで学んできた。
 一期一会。限られた時間や制約の中でひとりでも多くの学生と出会い、会社として精一杯の公正な採用選考を実施していくこと。これは、私に課せられた最大の仕事であると同時に、人権啓発担当者として、その責任の重さを肌で感じるときでもある


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