エッセイ

「他一名」 とは・・・ 辻 毅 

テレビの報道を見て感じたこと  我が家に投票所入場整理券が送られてきました。その整理券を入れた封筒の宛名は、世帯主である私の名前と他一名と記載されていました。他一名とは私の妻のことです。妻は専業主婦ですが、この宛名書を見て、「私はまるでオマケみたいね」とチョッピリ憤慨しておりました。中身の整理券にはそれぞれのフルネームが記載されていましたが、宛名を世帯主他一名としたのはおそらく役所の事務効率化のためであろうと思います。
 私は最初、この宛名を見ても特に何とも思いませんでしたが、妻の反応を見てすぐ「失礼な手紙だ」と同感してしまいました。世帯主とは、世帯の主たる生計を維持している者です。国民の等しい権利である選挙権の行使については、経済的強弱や性別で区別されるべきものではありません。事務効率化のためとは思いますが、この手紙の出し方はいかにも配慮を欠いているといわざるをえません。市区町村によっては、個人ごとに送られてくるところもあり、少なくとも該当者総ての連名で出すといった配慮があって然るべきではないかと思います。
 ではなぜこのような手紙が出されたのでしょうか? 勘ぐりが過ぎるかもしれませんが、要するに一部の行政には旧態依然とした家意識(戸主である父親が中心であり、妻以下の扶養者はその父親に養われている者達に過ぎない)という固定観念が染み付いているからではないでしょうか。
 かくいう私も妻に指摘されるまで気づかなかったわけですから、人権担当者としては汗顔の至りであります。固定観念の払拭がいかに難しいものであるか、再認識した次第です。


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