|
休みの日、買い物帰りの混雑した電車で、私は立っていた。右側に50歳くらいの男性が立ち、その前に17〜8歳の若者が座っていた。発車して間もなく、若者は携帯電話をかけ出し、私は注意をすべきだな、どう注意したものかなと思い始めたとき電話が終わった。
電車はつぎの駅へ到着、何人かが降り、何人かが乗ってきた。年輩の女性が男性の右に立った。座席の若者は一目その女性をみたが知らぬ顔をしていた。そのとき、右側の男性が若者に小声で何かをささやいたようだった。と、若者はすっと席を立って乗車口付近へいった。年輩の女性はお礼を言いながら若者のあとへ座った。男性はつぎの駅で何事もなかったかのように降りていった。
私はこのことがあってから、あの男性は何をささやいたのか、すんなり席を譲らせたのは何だったのだろうか、そして私にあのようにできるだろうか、と考え続けている。ただ「席を譲ってあげろよ」だったのか、譲るチャンスを失したところへの適切な一言だったのか、いや別にたいしたことをいったのではないが「声をかけるという行動」がそうさせたのか、等々。
自己中心的、自分の権利だけ主張、他人に対する思いやりの欠如、みてみぬふりが多いなど、こうした近頃の風潮の中で、形はちがっても、いつか、私もあの男性のあの日の「ささやき」のような言動をとりたいと思う。
|