エッセイ

「新入社員合同研修会に参加して」  藤堂 京子

挿し絵

 私は社内で人権啓発を担当するようになり3年半になります。それまでは「道徳」や「人権」などには拒絶反応を起こしていたのですが、現在の部署に配属され、いやいやながらも人権啓発講演会や研修会を受講し、参考図書に目を通しているうちに、最近になってやっと人権を尊重し合うことの意味が少し分かってきたような気がしています。

 とはいえ、まだまだ表面的な知識に止まり、人に伝えられるところまではなかなかたどり着けそうにありませんが、人権についてじっくりと向かい合うことができるこの部署に配属されたことは、自分にとって非常に有意義なことであると考え、この巡り合わせに感謝しています。

 新入社員合同研修会の引率は今年で3回目になりますが、講師の丘乃れいさんは、関東出身の私には若干きついと感じる関西弁ではありますが、いつも熱意ある講演をして下さりとても印象的です。受講者の反応は人それぞれですが、これまで育った環境も、受けてきた教育もその消化具合も異なる2000名を超える人を相手に、堂々と講演をなさる講師の方の思いはどれほどのものかと考えると、毎回のことながらその熱意に感動します。

 人の心を動かすのは、人の思いだと思います。企業の中で行われる研修では、技術や知識を教えるものはあっても、人の思いや痛みを感じる研修は他にありません。このような研修の意義を年1回程度の研修の中で伝えきる事はとても難しいことではありますが、今後ともこのような機会がたくさん与えられ、一人でも多くの人に参加していただきたいと考えるとともに、自分自身もより多くの講師の講演を聞き感性を磨き、いつかは自分の言葉で何かを伝えられるようになりたいと思っています。

「飽くなき意欲に感銘を受ける」 藤崎 壽彰

挿し絵

 シドニー五輪女子マラソン代表選考会で世界歴代9位の好記録を出しながら、惜しくも代表落ちした弘山晴美選手が、5月7日の水戸国際陸上競技大会「女子一万メートル」を好記録で快勝し、この種目での五輪代表に決定した。

 マラソン代表の選考に漏れたショックはなかなか癒えなかったようだが、周囲、特にコーチでもある夫の勉さんのフォローもあり、この「女子一万メートル」に再挑戦したもので、久しぶりに手に汗したテレビ応援となった。気持ちの持ちよう、切り替えには、人に言えない並々ならぬ苦労があったことは十分窺い知れ、決してあきらめない最後までベストを尽くす姿勢は感銘を受けるものであった。

 弘山選手はマラソンをやって走法に磨きが懸かり確実に力がついたと評され、「自分から動けば、環境や生き方は、どのようにも変えられる」のとおり、回り道も決して無駄ではなかったことを証明してくれた。通常であれば挫折してズルズルといってしまう人が多い中で、このたくましさには羨ましさを感じる方も多いのではないか。不況やリストラ、人間不信等を原因に自殺者の増加等暗いニュースばかりの昨今、マイナス転じてプラスとしたこの出来事は私たちに力強くはげましを与えてくれるものである。

 それにしても五輪代表選手選考については、様々な種目でいろいろと考えさせられるが、ともかくがけっぷちからつかんだシドニー五輪代表の座だ。悔しい思いをエネルギーに変えた弘山選手の本番での力走を期待したいものである。

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