エッセイ

「最近の報道から想うこと

挿し絵  今年はいわゆる「2000年問題」の担当ということで元旦に広報ルームに出勤した。

 正月早々に職場にしかも一人きりでいることはもちろん初めての体験である。本社の対策本部に連絡をとって、全店舗、事業所の異常なしを確認したあと、つけっぱなしのテレビをみる。各局の正月番組を見ながら、フッと今年は頑張るぞという想いが沸いてきた。

 さて、最近、気になる報道がやたら多い。

 例えば、小学校で「学級崩壊」が起きていて授業にならないとか、小中学生の重大犯罪が急増しているとか、更には高齢者への人権侵害や子どもに対する虐待、行政や教育の現場におけるセクハラ事件の続発など信じられない報道が連日のようになされている。このような社会状況の中で、高齢少子社会を本格的に迎えることは本当に心配である。今こそ、社会全体で「人を大切にする文化」、「人権尊重の文化」を創造していくことが急ぎの課題と言えるだろう。まさに日頃の人権教育・人権啓発活動が重要になってくる。

 東京人権企業連担当も益々忙しい1年になるぞ、という新たな決意を持ってお互い臨みたいものである。

「”こころの回復”を願って」 中末 妙子

挿し絵  今年2月、新潟県の女性監禁事件に対し、心の傷を障害認定とするPTSD(心的外傷後ストレス傷害 Post-Traumatic Stress Disorder)が適用されました。
 被害者の救済の観点からも、画期的な判断が下されたと言えます。

 人の心は、思いもよらぬ事故・出来事(暴力・犯罪)・災害(地震・火災・流行病)に遭ったとき、大きく傷つけられます。
 そして、その時間を自己の処理能力を超える強烈な体験として、記憶の中に冷凍保存してしまうのです。
 この記憶は、時間とともに色あせていく通常の記憶とは異なり、鮮度を保ったままでフラッシュバック(再体験)などのかたちで、心身に苦痛や不安、恐怖や無力感を与え続けます。
 これがPTSDです。

 一般的には、馴染みのない言葉ではありますが、誰もがPTSDを引き起こす可能性を持っています。
 日本では、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件などで、多くの患者を出し注目されました。

 かくいう私も、阪神淡路大震災の被災者であり、5年を経過した今日でも、揺れる感覚がフラッシュバックとして現われ、身体が凍りつくことがあります。
 幸い、家族や会社の同僚を含めて、震災体験者が周りにたくさんおりますので、自分の不安や恐怖を言葉で表現することにより、心のダメージが解消されている様子が実感できます。

 ところが、新潟の女性の場合は、心の傷である恐怖と孤独を、9年間も1人で背負って生きてきたわけであり、その苦痛たるや、私には計り知れないものがありました。

 彼女の“こころの回復”には、長い年月がかかるものと思われますが、今後マスコミを含め、周囲の人々の支え方・接し方により、その苦痛が和らぎ早期の回復が期待されます。
 そして人間には、もともと時間とともに心の傷を回復する力があります。彼女自身の力である、自然治癒力と自己回復能力を信じて、強く生きてほしいと切に願います。

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