エッセイ

妻とのコミュニケーション

挿し絵 男女共同参画社会基本法が制定されたこともあって、会社の研修で「男女が対等なパートナーとして・・・」という話をすることが多くなったが、いざ家庭に帰ると、我がパートナーから対等な参加を要求されることが多々ある。そして、最近、何より求められているのが、妻とのコミュニケーションである。

 男の身勝手で「空気のような存在を望む」夫に対し、妻は「都合の良い家政婦ね」などと定年後を睨みながら痛烈なボデーブローをきかせる。

 「どうしてそんなに女房に気を使わなくてはいけないのか」という思いもなくはないが、会社での人間関係には十分気を使ってきたのに、こと家庭の中ではあまりその努力をして来なかったツケと素直に反省すべきだろう。

 無駄話でもいいから、家族との間に常にコミュニケーションができていないと、いざトラブルが発生した時、対応ができないとも思う。こどものいじめや幼児殺害などの暗い事件の背景にも、会社と家庭という夫婦間の役割分担の行き過ぎやコミュニケーション不足による弊害が見え隠れしている。

 ところで小生は、人間ドックで成人病の指摘を受けたことがきっかけとなり、夫婦でウォーキングを始めた。といっても1時間ぐらいかけて、自宅付近を散歩したり、これまで車に頼っていたスーパーの買い物を徒歩に変えた程度のものであるが、妻との共通の話題も増え、健康とコミュニケーションの両方を得ることができた。

 今後は少し足を延ばして、都内の下町や街道の面影を残す川越あたりを歩いてみたいと話し合う、今日この頃である。

 

高齢化社会に向けて

挿し絵 先日の日曜日に参加した研修会で、ストレスに陥り易い人として、A型気質の人が多いと伺った。このA型というのは血液型のことではなく、アクティブ、アグレッシブなという文字の頭文字の総称としてのA型であるらしい。つまり、能動的で積極的なタイプや、攻撃的でややもすればけんか好きなタイプの人が一般的にはストレスが溜まり易いという。

 例えば、「競争が大好きで、上昇志向が強く偉くなることへの強い願望があり、早口で、早食いで、夜遅くまで仕事をすることが限りなく好きといったことなど、概してのろいのがいやであり、人に弱みを見せたくない人」という定義の解説を受けると、ややステレオタイプ化と言えなくもないが、自分自身に当てはめて思い当たる事もあるから、一概に一般化とも言えないのかとも思ったりしてしまう。

 こういった人は、普通の人に比べて2.4倍以上の確率で心筋梗塞になり易いというから、要注意である。

 このA型気質の人への提言として、「自分自身の気質に気がつくことが大切で、時にはテンポをゆっくりとさせ、のろい人を受け入れることが大切」とご教授いただいた。

 そんな研修会を終え、JR山の手線・田町駅から高田馬場駅へ向かう電車の中で、もう70歳に近いであろうか、やや不安な眼差しの女性の隣の席に座った。

 「何かお困りでも」との私のしぐさに、『あのう…、この電車は新宿へ行くでしょうか』と言う。東京駅で来た電車に飛び乗ったそうで、半信半疑であったということだった。『ええ、行きますよ』と言うと、ホッとしたという表情であるものの、やや落ち着かぬ様子。『新宿駅は、あと8つ目か、9つ目ですよ。私も新宿へ行きますから、安心して乗っていてください』というとやっと安心したらしく、背もたれに背を付け、やおらバッグから喉飴を取り出し私にすすめてくれる。私も飴は持っているので、『持っているから結構です』と言うと、『せっかく出しましたので』と言ってなおもすすめる。不安を解消した彼女のお礼の気持ちと理解し、素直に『ありがとうございます』といって受け取った。

 そんなきっかけから、東京駅で山の手線に飛び乗ったいきさつやら、新宿から小田急線に乗り換え自宅に戻ることなど、話しているうちに新宿駅についた。

 日曜日の午後も相変わらず新宿駅は人の波であり、結局、小田急線の乗換口が見えるところまで案内してお別れした。車内でのアナウンスや駅構内での案内板や表示物など、また、駅構内での混雑具合にもよるが、高齢者か否かを問わず、慣れていない人たちには、この激しい流れにはなかなか乗れないだろうなという感想を持った。

 それと同時に、自己中心的にならず、ゆっくりしているものを見守り、受け入れることや、何か困っている者がいれば、相手の求める行動を社会の誰もがとって行けるようにしていくこと。これが、人権尊重という文化を築く上で、重要な課題であると感じた一日であった。

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