友人と待ち合せのため、予定の電車に乗り込もうと、
駅のホームに駆け上がる。階段1/3くらいの所で、
80歳代のお婆さんを追い越した。
お婆さんは、小脇に風呂敷き包みを抱え、手すりと
黄色い杖を頼りにハアハア言いながら昇っていた。
電車がホームに到着しても、お婆さんのことが気になって電車には乗れませんでし
た。
戻ってみると、お婆さんは階段半分を昇りきった所で止まっていました。
私は階段を駆け降りて行き「一緒に昇りましょうか?」と声をかけた。
するとお婆さんは「ワシ、山崎まで行きますねん。どうしても用があって」と言う
ではありませんか。私:「山崎って…」 お婆さん:「へぇ、姫路からバスに乗るん
や」 私:「こっちは大阪方面だから、向う側のホームですよ」と言った瞬間、お婆さ
んの杖がカラカラと階段の下まで滑り落ちてしまった。
下まで杖を拾いに走り、お婆さんの荷物を引き受け、一緒に階段を降りはじめまし
た。
身体を支えていても「なんて軽いんだろう?」と感じるほどの老体でした。
お婆さんの足元を気にしながらも、昇る人の邪魔にならないように2人で小さく
なって、ゆっくりと階段を降りていました。
すると50半ばの女性に「アンタ、こっちは昇り!降りるのは反対側やろ!」と大声
で注意されました。
悔しかったけれども、お婆さんに悪いと思い「すみません」と頭を下げて謝りまし
た。
ブツブツと文句を言う女性が去ったあと、さっきから繰り返し「山崎に行く」とし
か言わなかったお婆さんが「スマンね、ワシが間違うてしもうたから…」と済まなそ
うに言うのです。
「大丈夫!気にしないで降りよ」と下まで戻り、隣りのホームまで一緒に昇りまし
た。
姫路駅に停車する快速電車に乗ってもらいましたが、とても心配でした。
結局、約束の時間に30分以上も遅刻してしまい、友人にお茶をご馳走するハメにな
りましたが、その後もお婆さんのことが気になっていました。
通りがかった“生田神社”でお賽銭を入れて、お婆さんの無事をお願いしました。
私に出来ることはコレくらいしかないなんて、人間一人の力って、本当に非力です
ネ…。
これからの高齢化社会に対応すべく、施設の完備や駅員の配慮、人の協力の大切さ
をいろんな方に知って、感じて欲しいと思った一日でした。
(この出来事に直面して感じたことは、高齢化社会は他人の問題ではなく、みんなの、
そして自分の問題として考えてほしいということに尽きると思います。老いは、
どんな人にも必ずやって来るものなのです。)
|