エッセイ

ふ〜ふ〜ふ〜
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 当社の情報システムを専門とする関係会社にM氏という人がいた。郷(さと)も自宅も島根県の田舎町。彼は、26年もの間、東京で単身生活を送り、奥さんは島根で留守を守りながら、3人のお子さんを育て上げた。そんな彼が、今年の7月に定年を迎えた。
 地元に戻るのに、飛行機を使えば1時間少々。それでは26年間の都会の垢も拭えないと、1年前からある計画をたてはじめた。「故郷まで歩いて帰ろう」と。距離は1,007km。1日30kmで34〜35日で完歩できる計算。そんな計画をたてていると、「私も一緒に歩く」と奥さんが言った。奥さんは「26年間の夫婦生活の空白を、2人で歩いて何かを取り戻したい」と言う。
 7月2日早朝、2人は日本橋から1歩目を踏み出した。そして沢山のサポーターが見守る中、1日も休まずに歩き、そして奥さんの誕生日である8月8日にゴールした。東京から島根まで38日間、毎日2人だけの時間の中に26年間の「絆」を取り戻しただろう。そして今「私たちの夫婦生活はこれから始まります」と2人は語る。
 こんなエピソードが今年の夏、私の周りで展開された。夫婦の会話が減ったといわれる現代に何かこころ温まる出来事であった。

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